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第12話~異形②~

今日はちょっと早めですねw

「殺す」


 司はアインとの距離を一気に詰め、爪で攻撃する。アンナのときよりさらに速い速度。だが、アインはしっかり反応し、攻撃を捌いていく。


「単調な攻撃だな。知能のかけらもない」


 アインが蹴りを放ち、司を吹き飛ばす。司もダメージは負っていない。


「エンチャント! ライトニング」


 アインの剣を雷が包み込む。


「ステータス強化! 出し惜しみは無しだ。お前は強い」


 アインの姿が消える。今までとは比べ物にならないほどの速度に上がっていた。速度を生かしヒット&アウェイで攻撃を当てていく。司は反応できず、ただ斬られることしかできていなかった。アインの剣が当たった場所は、ライトニングが当たった場所のように溶けていく。


「回復の隙は与えん。短期決戦だ」


 司の体から腕や足が分離していく。知性のないただの化け物と一国を守る騎士団の団長。実力差は明らかだった。


「これで終わりだ! バーニングフレイム!」


 動けなくなった司にアインが魔法を発動する。バーニングフレイムはライトニングよりも発動時間がかかるが、威力はお墨付きレベル。


「ライトニング!」


 その魔法はアインに向かって飛んでいく。アインは魔法の発動を中止し、すんでのところで回避する。


「これはどういうことだ? あの化け物の味方をするのか? どうなんだ! 東条花音!」


 魔法を放ったのは花音だった。たまたまではない。確実にアインに向けて魔法を放っていた。


「どんなに姿が変わっても司は司です。これ以上司が傷つくところを見るのは耐えられません!」


 花音の目に涙はなく、何かを決心したような強い眼差しだった。


「司は私が何とかします。これ以上司を傷つけるなら、私が相手になります」


 花音は自分の腰についている剣を抜く。


「あれがどんなに危険かわかっていないのか! あれがこの国に放たれれば大勢の人が死ぬんだぞ!」


「そんなことは分かっています。でも、私が優先すべきものに気づいたんです。もう二度と大切な人を失ったりしない! 私の選択は間違ってない!」


 二人が言い争いをしていると、再び司を黒いオーラが包み込む。


「しまった!」


 アインが司に斬りかかろうするが、花音の剣に阻まれる。オーラがはれると、復活した司が現れた。


「ステータス強化まで使うとは」


 ステータス強化とは一時的にステータスを跳ね上げる魔法。中級魔法とされ、使った後にステータスが一時的にダウンする。発動するだけで、発動者の本気度がうかがえる魔法である。


「あれが人間だというなら元に戻して見せろ。少しだけ待ってやる。できないのなら俺の邪魔をするな!」


 アインが花音に剣を向ける。


「分かりました」


 すんなり諸諾した花音に、アインは驚きの表情を見せる。


「何か方法があるのか?」


「分かりません」


「は? 何も手がないのに戻すと言っているのか。君も貴重な戦力だ。無駄死にはするな!」


 アインの言葉を無視して花音は司に近づいていく。


「もういいんだよ司。落ち着いて。大丈夫だから。辛いことがあるならもちろん相談に乗るし、一緒に解決しようよ」


 ゆっくりゆっくり距離が縮まっていく。


「大丈夫。大丈夫だから。いつものやさしい司に戻って。私が守るから。司がこんな姿だったら私も辛いよ」


 花音が間近まで近づいた瞬間。司が花音に向かって爪で攻撃をする。


「避けろ!」


 花音の腹に向かって爪が近づいていく。アインが大声で叫ぶが、そんなことはお構いなしに花音は司の体に抱き着こうとする。花音の体を司の爪が貫く。ことはなかった。


「絶対防御」


 花音の能力で司の攻撃は無効化されていた。


「早く戻ってよ! このまま戻らないなんて許さないから! このままじゃ、会話もできない。そんなの……辛すぎるよ……司」


 花音の頬には涙が流れたいた。


「か……の……ん」


「司!」


「かの……ん」


「司!」


「かのん!」


 異形となった司の目から涙があふれ出していた。次の瞬間、司の体に黒いオーラが集まり始める。


「そんな」


 黒いオーラがはじけ飛ぶ。そこには元の姿に戻った司が倒れていた。


「司! よかった! よかったよ!」


 倒れた司に抱き着き、花音がさらに涙を流す。


「本当にやってのけるとわ。予想外だな」


 アインの拍手と花音の嗚咽まじりの声だけが、訓練場に響いていた。

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