あの世界からやってきた
僕がいた世界と
君の見ている世界をすり合わせて
それで何か変わったかなんて
聞いても仕方がなかった
相変わらず
空気の薄い家庭の中で
めだかみたいに僕は息を吸い
早く自立しなければと思っているのに
中々そうならないことがもどかしい
この体がそうさせる
僕に夢を見させる
僕をどこかへ連れていく
誰かがいる世界へ
そしてそこで少しおどけているように
僕の脳が指示をするのだけれど
僕の体は染みついた恐怖で震えて
言葉がのどを通らない
敵対心むき出しでかっこつけているだけだ
そんな風にして僕は水槽で泳ぐめだかの分際で
まるで自分が黄金のウミヘビだと錯覚している
全部君のせいさ
君が僕を必要以上に軽視して
なめくじかなんかだと間違えたから
きっと君の目にはそう見えたのかもしれない
だから僕は
水槽を泳ぐウミヘビではなくうつぼになった
それで
人から遠ざけられ同時に恐れられて崇拝されて
そんな風に僕は夢見る世界で生きていた
そうさ
僕はあの世界からやってきた
まだ光の生まれてこなかった太古の世界の残骸だ
だれから見たって
僕は草原の雑草に過ぎないのさ
それでダイヤモンドを首に飾り
道を歩く猫たちに
お前らをいつだって支配できると
言い聞かせていた