現状を確認しよう
今回一部の人に不快に思われる描写があるかもしれません。
ご容赦ください。
「・・・・・・・・・いったいどういうこと?」
遡ること十数分前、俺は混乱のあまり動けなかった。
当然だ。昨日はいつも通りベットで寝たら、屋外の地面で目を覚ましたのだから。
冷静に改めて落ち着いて現状を確認しよう。そう、クールにならなければならない。
まずここはどこか?
軽く見回した限りどこかの森の中にある泉のほとりとしか言いようがない。ちなみに誰もいない。
泉の方を確認したが、非常にきれいで一見飲めそうな気がする。確かめ方とか分からないからアレだけど。
俺の現状はどんな感じか?
さっき泉を確認したとき明らか俺じゃない女性の顔が写っていた。
まだ全体を見た訳じゃないが、手も足も昨日までとは比べ物にならないくらい細くてこんがり日焼けしている。声なんて一瞬自分の声だとわからなかった。
少なくとも昨日までの自分とは全くの別物だ。
結論を言うと俺は今、知らない女の体で知らない場所にいるということだ。
「・・・ほんとどういうこと?」
これはもしかして異世界転生というものなのだろうか?
あまりそういうものに明るくないが、何でも最近流行っているそうじゃないか。
その場合は俺は死んでいるということなのだが、生憎とそんな記憶はない。
そもそも生まれ変わったのなら、記憶を思い出すのはもっと早くてもいいんじゃないか?それこそ生まれ落ちたその日に思い出しても問題ない気がするのだが。
今この時に思い出したというのなら、なぜこれまでの記憶がない?おかげで今の状況がさっぱり分からない。
考えれば考えるほど、現在の状況に生まれ変わりというものとは違う気がするんだが。
じゃあ実はこれは夢なのだろうか?
そう思いたいのだが、今吸っている空気や体に触れる感触なんかはかなり現実感があって夢と断ずるにはかなり難しい感じだ。
というか今俺、女子高生のブレザー着ているから体の違和感が半端ない。
・・・違うんだ。これは俺の趣味だがそうじゃない。
俺は女子高生の制服は好きだが着る趣味はない。決して女装する趣味はない。あくまでも俺は女子高生が好きなだけであって女装の趣味はない。大事なのは中身だ。
・・・話を戻そう。
現状だが他にも気になるものはある。
左手にある、謎のゴツい腕輪だ。
なんなんだろう、これ?どっかで見た記憶があるのだが。なんか大して大事じゃないものだった気がする。いやでも、このすごい存在感のあるものを無視するのもアレだし。
それで色々とさわってみたのだが、さっぱりわからん。
表面は謎の素材でツルツルしてるし、ボタンらしき物も無し。
それどころか手首にピッタリ嵌まってるそれがどうやって手首に入ったのかもさっぱりわからん。
現状をまとめてみると俺は今、知らない場所にいて、知らない女の子になって、使い方の分からない道具しか持ってないということだ。
そう理解すると同時に溜め息が出てしまったが、許してほしい。いやほんと勘弁してほしい。
しかし、このままにしておくわけにはいかない。現状を確認した以上、なにもしないというわけにはいかないのだ。
とりあえず、今確認したことをもっと詳しく調べるしかないんじゃないかな。
しかしどこから手を出すべきか。
場所を調べようにも道具も持たずに知らない場所を動き回るのは怖いし。
じゃあ手に持っている道具を使えるようにするか。
・・・と思ったが、これはどうやって調べたらいいのか分からないんだが。
先程も言った通り、表面はどれもツルツルでボタンらしきものはなく、どう触っていいのかすら分からない。
つまり消去法でいくと今調べられるのはこの女性の体しかない、ということだ。
これは仕方がない、だって他に調べられることがなさそうだし。いや、ほんとそれだけだから。イヤーシカタガナイナー。
・・・いやぶっちゃけ、さっきから黒いお胸が気になってしょうがないのである。
起きた時は気にしてなかった・・・いやそれなりには気になってたけど、改めて確認すると存在感が違うというね。
この女の子、巨乳だわ。
サイズとか分からないけど、グラビアアイドル並みに大きい。現実の女性ではなかなかお目にかかれないレベルだわ。自分の胸で渓谷ができるってすごいことなんだね。さっきから目線が吸い込まれていくんだわ、谷間に。
・・・冷静になれ俺。
確かに状況的にはこの体は今は俺のものなのだろう。だが、今はそんなことを気にしてる場合ではないはずだ。この体の元の女性に失礼ではないだろうか?
というかもっと他に考えることがあるだろう。
・・・いや待てよ、本当にそうだろうか?
冷静になれ俺。俺の感覚が正確なら昨日の俺よりこの体は十センチ以上身長が低い。
さらにこのさっきから気になってしかたがないオッパ・・・胸元があるということは、今までとは体のバランスが変わっているということだ。これは果たして無視していいものなのだろうか?
むしろこれからのことを考えると、今のうちに把握しておくべきではないだろうか?体が馴れないうちにトラブルとかに巻き込まれたら眼も当てられないことになるかもしれない。
幸い、今なら誰もいないしそこの泉を鏡がわりにして全身のチェックも容易なはず。今の状況はかなりうってつけと言うやつじゃないのか?
・・・いやいや、落ち着け俺。冷静になって状況を思い出せ。今はどういう状況だ?見知らぬ土地に使い方の分からない道具を持って一人でいるんだぞ?そんななかでやることが女体のボディーチェックなのか?他にもあるだろ?
・・・いやいやいやしかし、さっきも言った通り見知らぬ土地を下手に動き回るのは不味い気がするし、道具は調べた限り鍵となりそうなものはない。となると今詳しく調べられるのはこの体ぐらいだし・・・。
いやいやいやいやしかし・・・・・・。
地面にあぐらをかいて数分の葛藤の末、とりあえず俺のなかでの決着は決まった。
「・・・よし、やるか!」
ごちゃごちゃ考えてもしょうがない!
そういうことはやることをやってからでも遅くない!
というわけでこの体を調べよう!
なんやかんやでいつかは必要になるだろうし!なんやかんやで!
「それじゃあ、やはり最初はこれから調べるか」
まずは一番目に付く胸だろう。
俺が脳内で会議していたときに腕組みをしようとしたら、上手く組みにくくしていた原因である。
これを確認しないと先にいけない気がする。
まずは制服の上から触って・・・、確認してみよう。
パッと見た感じなかなかのボリュームがあるから、下から掬い上げる感じに触ってみる。
「!うおっ」
思わず声が出てしまった。
まずこれ、重い!なんていうか、大きくて実の詰まった野菜や果物を持ち上げたようなズシッとした重みがある!
そして柔らかい!でも水風船みたいな感じじゃなく、ちゃんと押し返してくる確かな弾力感とかもあってなんというか、その、・・・ダメだ!俺の貧弱な語彙力じゃこれを言葉にするのは難しい!
「これは・・・いいものですねぇ」
思わずどこかの鑑定しみたいなことを言いながら制服越しに触り続けてしまう。
今度は上にスライドして正面から触っているのだが、これすごい。さっきから俺の手のなかで自由自在に形を変えているのに、元に戻ろうとしてる力も感じられて触ってて楽しいわ。
そして制服の上から触ってて気づいたことがある。
それを確認するために制服を脱ぐが、これは詳しく調べるためなので勘違いしないように。
「・・・うそだろ、おい」
服を脱いで俺の眼に飛び込んできたのは、なにもない胸だった。
そう、なにもない。
ブラもない胸だった。
この体の女性は今までどういうところで生きてきたのだろうか?
普通に生活していればこの大きさでブラを着けないというのが大変だと思わなかったのだろうか?今まで関係のなかった俺でさえ必要だと言うのわかるのに。
いや、俺は超嬉しいけど。
褐色で巨乳でノーブラとか最高じゃないですか。
しかも水着の日焼けあともない!これは賛否両論に別れるだろうが、俺はどちらかと言うと全身こんがり焼けてる方がポイント高いと思うんだよな。
というかノーブラでも垂れてる感じがしないし、この娘スペック高いなぁ。
先っちょもきれいなピンク色してるし、この娘オッ○イだけでもかなり俺好みなボディしてるわぁ。今は俺なんだけど。
それで直接さわってるんだけど、素肌の感触が違うんだわ。
昨日までの俺の肌とは比べるのが失礼なくらい触り心地が最高。
これが肌のキメが細かいと言うことなのかと、感動すらしている。
「すげー、これは、・・・すげーわ」
あまりの衝撃に俺の語彙力が死んだが、些細なことだ。
世の女性は見なこんな肌をしてるのだろうか?なんか本当男とは別の素材でできてると言われても信じてしまいそうなんだけど。
さっきまで服の中にあったからか多少汗ばんでいるがそれがしっとりとした肌触りとして手についてくる。
もうさっきから、俺の手の形に会わせて胸が変形するのは感動すら覚えてしまうほどだ。
「・・・これは、もうすこし調べる必要がありそうだな」
「・・・・・・ふぅ。とりあえずここら辺にしておくか」
一通り堪能したあと、思わず感嘆の溜め息が出てしまう。
だがしかし、ここで終わらせてはならない。まだ調べたのは胸だけなのだから、他にも調べるところはある。
次は胸から順々に降りていこうと思う。
というわけで、お腹や腰を触っているのだが、これがまた気持ちいいのだわ。
やっぱり柔らかいのだが、胸とは違ってすぐ下に筋肉があるのがわかり、確かなクビレを感じさせてくれる。
そして肌がほんとスベスベ!もうずっと触っていたいぐらいだ。
さて、胸・腰と来たら当然その下だがいきなりさわる前に確認すべき事がある。
スカートの中だ。ふざけず真面目に言うと今履いている下着の確認が先だと俺は思うんだ。
さっきのノーブラの件があるように、もしかしたら下も着けていない可能性がある。さすがの俺も半裸族の女の子はキツいというかそんな娘になってしまったと思うと色々と思うとこがある。
というわけでまず尻をさわる前にパンツの確認からいこうかと思う。
といってもあぐらをかいたままだからスカートをたくしあげるだけなんだが、これ結構恥ずかしい。スカートたくしあげとか好きなんだけど、自分でやると本気で恥ずかしいわ、これ。
・・・まぁとにかく、確認したけどちゃんとパンツ履いてたよ。
濃い紫で若干布の面積小さい気がするんだけど、ちゃんと履いてたよ。
というわけで尻の確認にいこうと思います。
さすがにあぐらをかいたまま尻をさわれないので、膝立ちに移行する。
やはりだが尻の感想も柔らかいという言葉に尽きる。
だが、やはりというかこちらも他とは違う柔らかさが手のひら全体に伝わってきた。
なんというか、胸の柔らかさとは違いこちらは確かな筋肉が存在するのだ。だけどそれが胸以上の弾力があり、胸以上の揉みごたえを産み出していた。
そして触って思ったのだが、この尻、大きくてきれいな形をしているんだ。
スベスベの尻の肌をさわっているとそれが大きめできれい球体を思わせる感触が楽しくてしょうがない。
最近は引き締まったこぶりな尻が人気らしいが、俺はやはり安産型の大きめのお尻が最高だと思う。
そういう意味でもこの尻は俺の好みの形をしているのだろう。後ろについているので、見ることができないのが残念だ。
それでいて尻に力を入れると、筋肉によって触り心地や形も変わって趣を変えてしまう。
おしりって、すごいんだな。
同じ尻なのにちょっとしたことで違う姿を見せる。痴漢どもが狙うわけだ。まぁ、許されないんだけどね。
「これは・・・、実に面白い」
言ってから大分あれなことを言っているが、今は誰もいないのだ。多少は問題ないだろう。
そんなことを言いながら尻をさわっていると俺はとある事に気づいた。
さっきからどうも、尻の方のパンツの布地をさわっていない気がする。
どういう事だこれは。俺はまだパンツを脱いだ覚えはない。
そう思いスカートをめくってパンツを確認すると、そこには確かに紫の布地が見えている。
しかしさっきからいくら触っても布らしきものはない。
どういうことだ?前の方には確かにあるのに、後ろの方はいくら探しても感じられない。
そう、前の方にはあるのに後ろには・・・。
そこで俺は気づいた。いや、それしか思い付かなかった。
俺はそれを確認するために尻をさわっていた手をより中央の、尻の谷間に向けて滑らせた。
そして、”それ”が指先に当たって俺の予想はかなりの確率に上がった。
”それ”を確認した俺は立ち上がり、履いてたパンツを脱いでそれを顔の前まで持ち上げた。
俺が履いていたのは”Tバック”だった。
後ろに布地がないのは当たり前だ。後ろの部分は紐しかなく、布なんて最初っからなかったのだ。
「・・・・・・マジかよ、おまえ」
いや、好きだよ、Tバック。
だけど、何度もいうように、俺は着てもらうのが好きであって、着るのは趣味じゃないんだ。
別にそういう趣味の人を嫌う訳じゃないけど、俺も俺でそこんとこ勘違いしてほしくないんだ。
俺は女性にTバックを履いてもらうのが好きであって、履くのは趣味じゃないんだ。
気づいたらパンツを脱いだまま少し時間が経ったが、これで体で気になるところは確認できた。
さて最後に今の自分の顔を確認して終わろうと思う。
さっきは風が吹いてて波がたっており上手く確認できず、自分の顔とは輪郭や色が違うことしか確認できなかったが、今ならちょうど凪いでいて鏡のようになっている。
そう思い、自分の顔を改めて確認しようとして、俺はようやく気づいた。
「・・・ん?」
まず眼に飛び込んできたのは、特徴的なピンクのロングヘアーだ。
前は眼にかからない程度で真っ直ぐに切り揃えられていて、よくみると所々にダークブラウンのメッシュが入れられている。
後ろは今は屈んでいて分からないが、肩や背中に4~5㎝ぐらいかかりそうなぐらい長い。
「んん?」
次に気になるのは目だ。
瞳の色は紫色で、目の形はタレ目ともつり目とも取れない、にやけてるような形をした目。
まつげは上下ともに盛っているのかボリュームは多く、少し目力がある。
右の目元には泣きボクロの代わりのように小さな白いハートマークのタトゥー。
「んんん?」
薄めの唇はさっきから俺の声や感情に合わせるように動いていて、そこから覗く歯はきれいな白色と歯並びを見せている。
耳には見覚えのある両耳あわせて三つのピアスが大小様々に銀色に輝いてるし、よくみると首元には見覚えのあるチョーカーが当たり前のように輝いている。
「んんんん!?」
全体的な印象は軽薄そうで遊びが激しそうな黒ギャル女子高生。
それが今の俺の体。
そして俺はこの娘を現実で見るのは初めてなのだが、それでもこの娘を見るのは初めてではない。
”フェンリル・オンライン”で気づけば三年間も慣れ親しんだ顔が、俺がアカネと名付けた女の子がそこにはいた。
「これ、俺が作ったゲームのアバターじゃないか!?」
そこで俺はようやく気づいた。
俺は生まれ変わったんじゃない。
俺はゲームの世界の住人になったのだと。