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困惑のわんだーらんど その6

「種族レベル1、クラス……超初心者? レベル221? えいちぴー千、えむぴー二千……。 器用値10プラスさんびゃ……うわあ、補正値がすごい」

「ちょっと、スキルレベル三桁がありますわよ……たくさん。火魔法に・ひゃ・く・は・ち!?」

「どれ。……ちょっと整理する。分類してレベル降順でソート。……総スキル数187、内魔法スキル数109個? でも知られている魔法スキルがほとんどない」

「あ、魔法は大体作ったやつだから」

「「作った」!?」


 うさみのステータスとスキルは二人を大いに驚かせるに足るものだったようで、二人の反応を見てうさみはやっちゃったかなあと思い肩を落とした。

 しかし、バニさんがすぐに気づき、


「大丈夫ですわよ、うさみ。むしろ胸を張りなさいな。どうしてこうなったのかはわかりませんけど、これは誇るべき成果ではあっても、負い目になるようなものではありません。このわたくしが保証しますわ」


 力強く言い切って、うさみの頭をぽんぽんと撫でたあと、うさみの頬を両手で挟む。

 あひる。


「にゃにひゅるのー」


「わたくし、火魔法ではトップ争いできる程度習熟しているものうぬぼれておりましたの。そのレベルはたったの43でしたわ。そこに文字通り桁が違うのを見せつけられまして、もう何といってよいやら。とりあえずものすごく悔しいのでやつあたりですわ!」


「うにょあーひゃめてー」


 うさみの頬をこねくり回すバニさん。

 あいすもやりたそうにうずうずしているのだが、カウンターをはさんでいるので届かない。

 なのでバニさんの独壇場であった。

 うさみが抗議と思われる声を上げているが何を言っているのかわからない。

 バニさんだんだんと楽しくなってきたらしく、うふふふふふと笑い声を漏らしながらやめる気配がない。

 しばらく我慢していたうさみだったが、そのうち耐えかねて脱出する。

 ぬるり。


「あら?」


 二度目の妙な手ごたえに、バニさんが首をかしげるが、うさみお怒りにつきそんな場合ではなくなった。


「もー! やめてっていったのに! んもー!」


 両こぶしを振り上げて怒ってますよと主張するうさみは大変愛らしかったのだが、バニさんは抱きしめるのをなんとか我慢し、うさみをなだめにかかるのだった。




 □■□




「大体わかった。【ヒール】……たりない。【ヒール】【ヒール】」


 うさみとバニさんがじゃれている間、うさみのスキルに目を通していたあいすがおもむろに魔法を放つ。

 するとうさみの身体が緑色の光を纏う。


「あ、あれ、体が重くなったよ?」


「うん、えいちぴー回復したから、補正が減った。大体半分くらい」


 あいすがうさみのステータスウィンドウを指し示すと、六項目ある能力値という区分の数字が変わっていた。「10前後の数字」+「三百いくつ」だったのが、「10前後の数字」+「百いくつ」に下がっている。


「これでも十分驚異的な数字だけど」


 と前置きして、ステータスの見方をうさみに説明するあいす。


 ステータスウィンドウには、名前、種族、種族レベル、クラス、クラスレベル、HP、MP、ST、能力値六種(器用値、敏捷値、筋力値、生命値、知力値、精神値)、それから状態、称号という項目があり、クラス名と称号の横に矢印が円を描いたマークの付いたボタンがついている。

 能力値の横にある二つの数字は、左側が基本値で右側がスキルなどで補正された数字。実際に影響するのはこれらを合計したものである。

 うさみの能力値は左側は敏捷が29でほかは10と8であり、右の数字は敏捷のみ400、他は差はあれ300台であったのが、ヒールを受けた後、130~140ほどにまで下がっていた。


「ピンチになると強くなるスキルがたくさんあって、えいちぴーが自動回復しないスキルもあった」

「なんですのそれ、バッドスキルじゃないですか」

「普通だとそうだけど、これだけ相乗効果があると、そうとも言いきれない。能力値2倍以上の補正量は大きい。それに能力値以外も強化されている」


「ねえ、えいちぴーってなに?」


 意見をかわしているところにうさみの質問が飛ぶ。

 ふたりはえっと驚いた顔をしたがすぐに気を取り直す。


「HP、公式にはどちらでしたっけ、ヒットポイント? エイチピー?」

「おぼえていない。RPGで一般的な、生命力を表す数値。攻撃を受けると減って、ゼロになると死ぬ。うさみーは1000ちょっとある。そのうち1000くらいがスキルによる補正だけど」


「ん、んー? もしかして、もしかしたら、いやでも……一回当たったら死ぬんじゃないの?」


「「えっ」」


 二人が驚いて顔を見合わせる。

 そしてそれ以上にうさみはショックを受けていた。

 一回で死なないのなら、道中もっといろいろやりようがあったはずである。

 とはいえ、これだけ体の軽さが変わるんじゃそうともいえない……? いやあ、でも。


 頭を抱えたうさみ。

 それを見つつ、二人は頷き合った。


「うさみ、改めて、ゲームを始めてからあったことを教えてもらえるかしら」


 バニさんのお願いに、うさみは顔を上げ、初日にバニさんにぶつかってから、ドラゴン襲来事件のことまでのことを、語りだすのだった。

 

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初心者うさみシリーズ新作はじめました。
うさみすぴんなうとAW
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