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超初心者うさみの困惑  作者: ほすてふ


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困惑のわんだーらんど その5

10/4 誤字訂正 始点→視点

「さて、話を戻しますけれど」


 ぱちんと手を叩いてバニさんが言う。仕切り直しましょうという意志表示である。


「誘拐犯?」


「それはもういいですわ! うさみさん、いえ、うさみが嫌な思いをしたという話です」


 あいすがバニさんを指さして言うと、バニさんにぺちんとおでこを叩かれた。


「目立った割に正体不明だから、噂が一人歩きしておかしなことになってる。そのせい」

「ですわね。うさみ、これは貴女がドラゴンに乗ってきたときの、他のプレイヤー視点のレポートですわ」


 と、先ほどのウィンドウを差し出すバニさん。

 うさみはウイィンドウそのものに気を取られ、読んでいなかったので改めて目を通す。


「んー? よくわかんないけど大げさなことになってない? あとウサギさんは呼び出したんじゃなくて勝手に来たんだけど……」

「そうなのですね、ですがうさみの事実に反するとしても、他の有象無象にとってはこれが事実なのです」

「うさみーに関する情報が出回ってないから正確な認識ができない。このレポートはそれなりに有名なプレイヤーが書いたもの。ここに書かれたことが基準になって話が盛り上がってしまっている。……今もクランハウスの前で張ってる人がいるみたい」


 あいすがブラウザを呼び出して話題になっている掲示板に目を通しながら言う。


「もしかして、巻きこんじゃってる?」


 うさみは沈んだ声で言った。

 問題の中心らしいうさみがこの場にいることで迷惑がかかるなら早急にどうにかしなければならないだろう。どうすればいいかはわからないが。

 しかし、


「問題ない。わりといつものこと。それにバニさんがうさみーを連れてきたのが原因」

「そうですわ。というか、有象無象が少し騒いでいるだけのことです。まともに取り合う必要などありません」


 全く揺らぐ様子もないアイスに、胸を張って言いきるバニさん。

 うさみは目をぱちくりさせる。


「なんていうか、男前だね」

「ぷっ」


 うさみがいうと、あいすが吹きだした。

 バニさんは変な顔をして、肩を震わせているあいすのおでこをぺちんした。


「わたくしのクラン、【Wonderland Tea Party】には不思議と悪目立ちする子が集まりますので、慣れているだけです」

「類は友を呼ぶ」

「なるほど」


 うさみが頷くと、またバニさんが変な顔をした。

 あいすもそうだしバニさんもちょっと変なのはすでに感じた通りなので、うさみはある種納得したのだけれど、バニさんは不満らしい。


「まあいいです。ともあれ、堂々としていればいいのです。不躾な視線など鼻で笑っておやりなさい。この程度のことは当たり前なにも不思議なことはない、と態度で示してやれば勝手に落ち着くものですわ」


「というのは男前のバニさんの意見。気になるなら幾つかできることはある。ただうさみーの協力も必要」


 男前なバニさんは放っておけばいいと言い切るけれど、うさみはそこまで思い切れるかなあと思った。なによりあのヒソヒソ話が気持ち悪い。何か言ってるらしいのに全く聞こえないあれ。

 なのでうさみは、あいすの話を聞いてみることにした。


「協力って?」

「ある程度うさみーの情報を流す。知らないから勝手に噂に尾ひれを付けて盛り上がる。だからああなった経緯と、できればステータスとスキルを教えてほしい」


 正しい情報を発信して噂を上書きするということか。

 ただ、正しい情報といっても、その中でうさみがおかしな行動をしていた場合、同じ結果になるのではないだろうか。

 うさみはそう思ったが、それでもおかしなことをしているかどうか、うさみには判断できないので、話してみないことには始まらないということに気づき、


「うさみのお話にはわたくしも興味はありますけど、あいす、ステータスなどを聞くのはマナーに反するのではなくて?」

「そう。だからできれば。判断材料」


 ステータスとスキルというと、さっきのメニューにあったなとうさみは思いだした。

 とりあえず表示してみるが、なんだか項目と数字がいっぱい並んでいた。


「んー、よくわかんないけど、いいよ。わたし判断できないから、まかせていい?」

「悪いようにはしないつもり」

「いいんですの? もちろん悪用するつもりはありませんけれど」


 バニさんが心配してくれているのはわかるのでそれなりに重要なことなのだろうとは思うが、とりあえず見方を教えてもらいたいところでもあるので、うさみはお願いすることにした。


「うん、いいよ。えっと共有するんだよね? バニさんとあいすさんに、【共有】? これでいいかな?」


 ステータスとスキルの表示されたウィンドウを見える場所に動かして、共有するように念じてみる。

 早速覗き込む二人。


「……は?」

「これはちょっと想定外」


 絶句するバニさんと片手を頭に当てるあいす。

 もしかして、いや、やっぱり何かおかしいの?

 うさみは内心ドキドキしながら二人の反応を見ていたのだが、どうやら状況はあまりよろしくないらしいと察したのだった。

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初心者うさみシリーズ新作はじめました。
うさみすぴんなうとAW
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