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超初心者うさみの困惑  作者: ほすてふ


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困惑のあちーぶめんと その6

 うさみは踏んだり蹴ったりしていた。


「なんかもう踏んだり蹴ったりだよ。なんでじゃまするのもー!」


 魔法の練習であった。

 いろいろと魔法の試案をもらったので、実際に使えるものに調整するために、実際に試しながらうまいことやれるように反復と修正を繰り返すのだ。

 うさみはすでにオリジナルで魔法を作ってきているのでうさみなりのノウハウは持っている。

 しかし、街での活動で得た新しい見地、ゲーム上の仕様の利用やほかのゲームや漫画からのアイデアの流用、この世界における魔法の常識などを仕入れてきたことで今まで以上にできることが増えていた。

 特に生き延びることに特化した思考と試行を繰り返したために偏っていた部分があるということ、またステータスに表示される数値という指標が手に入ったこともあり、試すべきことは多かった。

 なので自ら実験台になったり、るな子を実験台にしたり、そのへんでからんでくる敵を利用したり、飛んだり跳ねたり逃げたり追いかけたりしていた。激しい運動をしながら運用できなければ使えるうちに入らないだろうということだ。足を止めたら大体死ぬからだ。足を止めても死なないようにするための魔法もあったが、それも含めて、いやそういう魔法こそ脅威から逃げながらでも使えないと失敗したら終わりだよね。


 そしてそんななか、隕石を落とす魔法を試したのは理由がある。

 字面から想像される危険度は高い。

 隕石とかおちたらこう、熱と衝撃波で吹っ飛ぶ。クレーターとかできる。恐竜とか絶滅する。そういう認識だ。やばい。

 使わないで済むなら使わないでいいのだけれど、問題は隕石を落とす魔法はゲーム側で用意してあるらしいことであった。


 魔法を作りかたは大きく2パターンあって、ひとつは自分で想像してMPを注ぎ込んで作るやり方。魔力の使い方が重要だ。世界の法則……自然現象とか、神書のエピソードとかに沿う形にすると必要な魔力が減る。この作用を利用して、欲しい効果と必要な魔力のバランスを見極めてノウハウを積み上げるのが重要だ。学校で学んだ科学知識なども活用できたりするのでなかなか面白い。

 慣れればその場その場でアドリブで魔法を作って使えるようになる。効率はお察しだけれど、それでも大体想定できる。もっと慣れれば精度ももっと上がるだろう。


 もうひとつはシステムに用意された項目を選んでいくやり方だ。

 これこれこういう魔法を作ろう、としたときにゲームシステムから補助がある場合があるのだ。ウインドウが立ち上がる。星降山攻略する間はそういったAR表示を全部オフにしていたらしいのでスターティアの街に帰還するまでは気づかなかったわけだが。

 項目を選んでいくだけでそれなりに魔法が作れる。【魔法創造】スキルが関係しているようだというのは、魔法を作ったり調整したりしているときにレベルアップするのでわかった。

 効果を欲張りすぎると消費魔力が莫大になったりするし、いちいち選んでいると時間がかかるのでアドリブ向けではないのが欠点である。これも慣れればスムーズにできるのかもしれないけど。


 隕石を落とす魔法は後者だ。

 【隕石を落とす】【攻撃魔法】。消費MPは大きい。最低4桁である。

 これは推測ですらなく感想なのだけれど、ここに項目があるということはゲームシステムが想定しているということであり、もしかするとゲーム内では発明済みのものなのではないかとうさみは感じている。

 もしそうなら、急に使われたら大変だ。だってやばい。隕石だもの。

 なので自分で使ってどういうものか確かめておくべきそうすべき。そうすれば使われても対応できる。かもしれない。


 とまあそういう理由で最小威力で使ってみたのだ。

 まさか魔法が乗っ取られるとは思わなかった。

 どうやってかとんでもない大きさの隕石が出現したのである。やばい。恐竜滅ぼしたのって直径10kmとかだって聞いた覚えがあった。それよりでかいかもしれない。どうなの。

 隕石を落とす魔法は空間に穴を開いて宇宙、この世界でいう星界から取り寄せる形だった。

 乗っ取られた魔法は尋常じゃないサイズの穴をあけようとしてくれた。どこから損な魔力を持ってきたのかわからないけれど。

 あわてて乗っ取られた魔法を乗っ取り返した。

 このときまで魔法を乗っ取るという概念がなかったけれど、やり方を認識すればどうにかなる。要するに魔力の扱い方なのだ。見本があったら対応できることもある。魔法が発現する前に叩き潰すのはもうやっていたのでその応用みたいなかんじだった。

 超巨大隕石が通る穴をあけようとする相手と綱引き状態になったり、相手がしびれを切らせてこちらにやってきて攻撃してきたり、星光竜さんがやってきてもろとも穴の向こうに飛んで行ったり、強引に穴を閉めたら隕石の先っぽが切れてこっちに残ったので落ちないようにあわてて支えたりした。結局魔法を乗っ取ろうとした相手が何をしたかったのかはわからないけど。なんか言ってたけどそれどころじゃなかったので聞いていなかったので。


 まあそんな話は過ぎたことだ。

 問題の残った巨大隕石の先っぽ、先っぽだけでも十分でっかいこの岩塊の処理をどうしようかと悩んだ末に、仕方ないのでちょっとずつ削って問題ないところに捨てることにした。

 ものすごい地道な作業だ。

 というか終わるまで魔力が持つかわからない。なんといっても大きすぎる。全部をカバーするほど魔力はない。月は見えないし時間的に朝になっている。小規模に何か所何十か所と分散して対応している。自重で崩壊しそうになる。仮に1/10が崩れて落下しても下は大惨事だろう。大惨事なので【危険感知】スキルが反応する。そこに駆け込んで対応していた。

 正直手が足りないじり貧である。それでもどうにかするしかないのだけど、どうしよう。


 そしてバニさんからの連絡があったのだ。

 地獄に仏というやつだった。約束をすっぽかしてしまった結果になったのは大変心苦しいことだけど。後で謝らないと。

 ともあれMPがいっぱいあればもう少しやりようがある。

 落下を防止するのにリソースのほとんどを費やさざるを得ない状況を打破するには大規模な魔法を使って一度にえいやとやるのがいいだろうことは疑いない。

 うさぎさん仮面ならうさみのできることはできるはずなので、大量の魔力を集められるだろう。バニさんたちは顔が広いみたいだし、プレイヤーの人とかよりレベルが高いウサギさんたちもいる。受け取りにいく猶予を作らないと。


 といったところ奴らが現れたのである。

 六匹の竜。

 竜って匹でいいのかな。六頭? 頭三つ生えてるのもいるから頭はややこしいかもしれない。六体? いっそ六柱とか?

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初心者うさみシリーズ新作はじめました。
うさみすぴんなうとAW
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