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超初心者うさみの困惑  作者: ほすてふ


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困惑のさいとしーいんぐ その13

 ぐー。


「少々脱線しましたが、こちらがうさみさんの褒賞金と、支給品、それからおまけの品です。目録をどうぞ」

「なんかいっぱい書いてあるんだけど」


 ぐー。

 エイプリルが地面に敷いたシートに三人は座って話をしている。

 脱線というのは魔法創作祭りであり当たり障りのないものを試してみただけでもうさみの魔法技能の高さは確認できていたので、それ以上は悪ノリであり、完全に脱線していたのである。


「説明させていただきますね。まず現金が二千万リネ」

「にせんまん。りね?」

「お金の単位ですわ。メニューのお金の欄のところ、“Rine”となっているでしょう? それにしても二千万とは、思った以上の額でしたわね」


 エイプリルがコインのマークの刺繍された袋を二十、手元のポーチから取り出す。取りだしたものとポーチの容量が合っていないのは、うさみの鞄と同様の効果を持つ品なのだろう。


「こちら大金貨が十枚ずつ入っています。結構重いですが、うさみさんには問題ありませんよね」


 一つの口を開いて見せてくれたのは大ぶりの金貨だ。金貨とか初めて見たうさみが、おー、と眺めていると、確認するように尋ねられた。

 はてなと首をかしげていると、バニさんが捕捉してくれる。


「現金は受け取るとメニューに格納されますから、重さも嵩も気にしなくていいんですのよ」

「ほうほう。おー、消えた。お財布いらずだね。……どうやって取りだすのこれ、ってあ、出た」


 うさみが金貨を手に取ると金貨が消えて、メニューの所持金欄が十万増える。金貨の袋を手にすると百万増えた。支払いどうするんだろう、出てこーいと念じると、手の中に出現した。


「両替も自前でできますから不要ですわ。銅貨や銀貨を集めて金貨や白金貨を作りだせるという。まさに錬金術ですわねえ」


 それは結構大変なことじゃないの? うさみは言われて小銭を出したり戻したりを試してみる。

 金銀銅に鉄と白金だろうか。サイズと種類で使い分けられるようだ。材質の関係で金額と重量、体積が比例していないのでちょっと日常的に使うのは大変そうだなあと思った。まあうさみには関係ないみたいだけれど。


「ちなみにお金は破壊可能ですが消滅するので鋳つぶして再利用などはできないみたいですわ」

「ちょ、恐ろしいことを言わないでくださいよ」

「そうなんだ」


 ぐー。

 よくわからないがそうらしい。

 ゲームだからというか変な設定だなあとうさみは思った。金銀銅なんかいろいろ使い道あるだろうに。通貨を壊すのはまずいというのはわかるけれど、両替で材質変換できても使えなかったら意味がないよね。

 なぜかエイプリルがビビっているのはスルー。そんなことより。


「エイプリルさん、おなかすいてるならこれたべる?」


 さっきからぐーぐー聞こえるお腹の音が気になるうさみは、リュックからリンゴを取りだした。

 迷いの森産のうさみのおやつだ。


「あーおかまいな……ってそれは!」


 お皿代わりの葉っぱの上にちゃちゃっと八つに割って、ついでにウサギさんスタイルに仕上げたリンゴを並べる。


「これ、迷いの森産のアイテムですよね? これだけで五千リネ以上の価値がありますけど、よろしいんですか?」

「そうなの? まあ、もう切っちゃったし食べてよ。バニさんも」

「あら、ありがとうございます。いただきますわね」


 自分で一切れつまみながらうさみが勧めると、バニさんは遠慮なく、エイプリルは遠慮がちに手を伸ばし、お礼を言って口にする。


「あまくておいしい……そういえば皆さんは食べなくても平気なんですよね?」

「ですわねえ。食事をすると能力値が一時的に上がったりするだけで、食べなくとも死ぬことはないですわ」

「え、そうなの?」


 そういえば別にお腹がすいたことはなかった気がする。ちょくちょくおやつを食べていたせいかと思ったが、よく考えたら栄養偏りまくりで一ヶ月過ごしているのに体調とかまるで問題ないなと思い至った。とはいえそもそも死にまくっているので参考になるかどうかわからない。


「たとえばこの、迷いの森のリンゴ……知力向上小、敏捷向上微、一時間? 敏捷力はウサギさん効果でしょうか」

「ほうほう」


 うさみがなるほどなあと頷いているとバニさんがあれっという顔をした。


「もしかして……。うさみ、このリンゴに《鑑定》スキルを使ってみてもらえます?」

「ふぇ? か、《鑑定》?」


 いわれるままにスキルを使うということをやってみる。だいたい魔法を使う感じ。あるいはクラスチェンジするときの。

 するとウィンドウが新たにポップアップした。そこには今バニさんが言ったようなことがかかれていた。そのほか産地や採取した時間、調理した人物の名前に品質なんかも数値で表示されている。


「なにこれすごい便利?」

「ええ、便利ですのよ……失念しておりましたわ。うさみ、能動的に使うことでこのように効果を発揮するスキルがあるのですわ。《鑑定》なんかは使わなくてもなんとなく類推したりの助けにもなりますけれど、使えばこの通り」

「おおー」


 ここにアクティブとあるのは能動的に使う想定をされているスキルですから、などと説明し、されている二人を見つつエイプリルはリンゴのウサギを食べるのだった。

 おかわりももらった。

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初心者うさみシリーズ新作はじめました。
うさみすぴんなうとAW
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