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第8話【ABC包囲網破れる】

続けて朝の投稿。今日夜中にもしかしたら、もしかしたらもう一話投稿出来るやも。


※5/7日にて改稿。読みやすいように、改行と段落一字下げを行いました。

 結論から言うと犯人は30分もしない内にあっさりと見付かった。だってみんな、犯人探しに疑心暗鬼に周りを見渡しながら視線で牽制をかける中、一人だけずっと俯いてブルブル身震いしてる子がいたんだもの、ほぼ確定っしょ。


 しかし相手が悪かった。その子自身は男爵令嬢で、ランクも平凡なE級の中でも、中位以上上位以下の平凡の中でも優秀な方に位置するって位の人物だ。容姿もそこまで良いと言うわけでもなくスタイルも平凡、ただJK補正で3割り増しに見える。

 おっさんになると補正の掛かった色眼鏡で見るようになってしまうのだ。レディには優しいからね、俺は。女の子を容姿で全て判断したりはしないよ。


 話が逸れたが、男爵令嬢は【騎士は誓いの剣と愛の花束を】の悪役令嬢を務める、辺境伯ご令嬢の取り巻きの一人。いや、取り巻きの中でも有象無象の一人の捨て駒なのだ。

 この国の爵位は大公、公爵、侯爵、辺境伯、伯爵、子爵、男爵、準男爵とあり、辺境伯は上から数え4番目下から数えて5番目と真ん中辺りの偉さは、大した事がないように思える。しかし、それは大きな間違いなのだ。

 辺境伯家は他国との領地の最前線に領地を持ち、その私兵の戦力は国内でも随一に当たる。更に辺境伯家出身の者が六英将の一人を務めており、多大な戦力を持つ。


「ひっ…ぅう…。」


「はぁ…。」


 ビクビクと怯えている様子から、男爵令嬢は自ら進んでキョウシロウにちょっかいをかけたわけではなく、辺境伯令嬢が火種を作る為に、俺の机に悪戯しろと命令を出したのであろうか、思わず嘆息をする。


「恭士郎様…。」


 怯える男爵令嬢に視線を送りながら、静流さんが浮かない顔を浮かべる。

 恭士郎が男爵令嬢に手を出せば、必然的に辺境伯令嬢の所有物に手を出した事になり、問題になるのは確実だ。

 男爵令嬢に手を掛けた犯人が俺でないとして、グレーゾーンだとしてもだ。あらゆる証拠をでっち上げて俺とぶつかるのはほぼ確実だろう。

 浮かない顔の静流さんを尻目に心配するなと不敵に笑って見せる。今はまだどうしようか、どうなるのか考えが付かず強がりではあるが何も反応しないよりはマシだろう。従者にあまり心配かけない事も主人の務めだ、きっと。


 恭士郎ルートでは悪役令嬢は大きな役割を担っているわけではないが、他ルートでは大小あれど、それなりの役割を果たす事になるのだ。

 主人公ちゃん転入前のまだ共通ルートが始まってもいない今、接触するのはデメリットが大きいだろう。展開によってはルートが破綻する事になるのは勿論、重要人物に死者が出てイベント自体が発生しなくなる可能性もある。


 今朝、ゲームの登場人物として目が覚めてから学園の教室に着くまでの間に色々ゴタゴタがあったが、今後の生活の指針を定めておこう。

 何が原因で恭士郎になったか分からない、元に戻れるかも分からない。最初はイケメンになれて美女美少女に囲まれてラッキーや!クソが、イケメン共も沢山いる死ね!とか思ってた。

 原作知識もほぼあるから知識チートもあるしスペックの高い狂様の身体だし楽勝やわ。と内心楽しんでいたが、良く考えて見たらそうも言ってられない。恭士郎の体であろうとも、俺自身はあがり症のアラサーで、恭士郎に見合う戦闘技術も狡猾さや頭のキレもない。

 疑われるのは構わないが出来るだけボロを出さず、いかに中身が別の人物とバレずに、安定した生活を送るかだ。最悪老後、いやこの地に骨を埋める事も覚悟せねばならない。

 カズヒサが平穏無事に過ごす為に、ベストは主要人物全員が幸せなご都合主義の大円団ルートを目指す事。ベターは俺や俺の周りの人物の従者’sが不幸な目に合わず可もなく不可もなくの他攻略キャラのルートのトゥルー及びグッドエンドを迎える事。バッドは恭士郎ルートだ。

 トゥルーは勿論グッドでさえ俺は兎も角、俺の周りが被害を被る。バッドエンドは以ての外だ、俺も静流さんもアンリも悲惨な死を迎える。


「あらあら?スザンナさん。そんな小鹿のような怯えた表情をしていかがなさいましたの?」


 これからの事を考えていた頃、教室の扉を開き、一人クラスメイトの視線を一向に受ける男爵令嬢の名前を呼ぶ声が掛かった。

…うわ、早速来やがったか。


「まるで皆様から攻め立てられているような。」


「まあ!イジメですの?困った現場を目撃してしまったようですわね。」


「これはこれは、由々しき自体ですのね。私達、シャルロッテ様一派の威厳に関わる問題でしてよ。」


 教室に入って来たのは三人組。上から皆が子爵令嬢青髪のエミリ、黄色髪のビーチェ、赤毛のシエラ。

 騎士課でランクはC級の中位辺りを彷徨うも、B級でないとは言え、まだ2年生と考えると将来有望で優秀な奴らと考えられるだろう。

 悪役令嬢事、辺境伯令嬢のシャルロッテの取り巻きの中で、一番の権力を持つ三人組だ。プレイヤーからはA子B子C子のABCトリオ又は髪の色から信号機と呼ばれている。

 ゲームではシャルロッテの使いっ走りで噛ませキャラの三人、今回も火種の確認に訪れに来たのだろう。


「いえ、イジメと言うわけでは…。」


「はい、ただ…そのですね…。」


「け、決してイジメではありませんよ!」


 三人の登場とその台詞に、クラスメイトのモブ達が俺と静流さんを気にしながらも否定の言葉を口にする。

 シャルロッテ一派と宗像騎士団の諍いから争いへの発展の危機のとばっちりを受けたくないのであろう。

 恭士郎も危険人物ではあるが、個人の力で行える事には限界がある。クラスメイト達は危険度の高さを天秤にかけた結果、シャルロッテ一派の恐怖に負けたようだ。

 高位貴族は存在せずに下級貴族や庶民が殆どのこのクラス。全員を消すのにシャルロッテは躊躇いもせずに虫を殺すように平気で行えるだろう。


 背後にランドガルフ帝国随一の辺境伯軍を率いるシャルロッテに、正面真っ向から意見を口に出して喧嘩を売れる人物はこのクラスには居ない。一人を除いては。


「こうなるように仕向けた癖に。何が、イジメですの?由々しき自体ですのね、よ!白々しい!」


 リリたんが腕組みして吠えるように三人組に意見する。

 三人組は驚いた風に視線を向けるも発言の主を確認しては、ハッとすると歯嚙みして一瞬発言を躊躇う。


「あらあら…リリーシャさん。ご機嫌よう。ですが、頂けないですわね。」


「ええ、汚らしい口調だ事。王族とは言え所詮は亜人、程度が知れますわね。」


「ふふ、シャルロッテ様に喧嘩を売ってその卑国人ひこくじんを庇い立てしますの?」


 エミリ、ビーチェ、シエラの順番で返事をする。どうしようかと思ってたが、思わぬ展開。吉と出るか凶と出るか。


 リリたんは俺、というよりも粗暴な男に対してはビビりではあるが、曲がった事が嫌いな真っ直ぐな性格。

 エルフである耳長族の王族の彼女ならば辺境伯とは言え、一貴族に過ぎない。堂々と意見を言うのも吝かではないのであろう。

 原作でも悪役令嬢のシャルロッテが主人公ちゃんにやり過ぎないように庇い立てするし、抑止力になっている。


「そっちこそ三人揃って気持ち悪い口調じゃない!別にシャルロッテに喧嘩売ってるわけじゃないわよ。取り巻きの金魚の糞に文句言ってるだけだから。」


「き、気持ち悪い口調…。」


「き、金魚の糞ですって!?」


「わ、私達はシャルロッテ様の精鋭ですのよ!ご報告しますわよ!」


 てか、俺当事者なのに空気じゃね?まあ、いいんだけどな。

 教室に入ってからも色々あったが、そろそろホームルーム始まる時間だろ。壁にかかってる時計を見れば開始まで後三分ってところだ。


 そんな事を考えていたら、教室の前の扉が開いて教師が姿を現わす。

 眼鏡をかけたボサボサ頭のやる気の無さそうな男だ。あ、コラ教師テメェ。リリたんとABC子のやり取り目の当たりにして、面倒臭そうに後ろ歩きで扉を閉めて廊下に戻って行くな!カムバック、何とかしろ。

前回空気だったリリたんのターン!代わりに主人公が空気だ。


悪役令嬢の登場かと思ったか?引っかかったな!的な引き延し(笑)

今回はベタですが取り巻きの三人娘、ABC子又は信号機ちゃんのご登場です。サブキャラもサブキャラですが、今後ちょくちょく登場させる予定であります。

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