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第5話【私は貝になりたい(遠い目)】

今日は少し早めの更新です。


※4/5日にて改稿。読みやすいように、改行と段落一字下げを行いました。

「げ…聖騎会…。」


「うむ、面倒臭いね。ボクらは巻き込まれただけだと思うがどうだろう?」


「その通りよ、私達絡まれただけだしっ。」


 空気だったリリたんとティナが言葉を零す。周りには聖騎会の精鋭達が武器に手をかけ、部隊長の指令に備えている。

 エルフ&ドワーフコンビは両手を上げて何もしない降参の意思表示だ。


 ここ騎士養成学園の生徒達の代表である、それが聖騎会。

 所属する生徒はC級以上、つまり上位89位以内の実力者が募る集団で、後は素行さえ問題なければ入る事は可能だ。

 腕っ節が自慢の騎士課の生徒達や、爵位を鼻にかける貴族達、問題が起きない筈は無く毎日休み時間にシフトを組んでパトロールし、騒ぎを聞きつけて問題の対処に当たる。

 後はイベント事の裏方の活動も行う、日々雑用に追われている。

 メリットは卒業時に国に良い印象を与え、優先的に騎士団の内定配属先に良い顔をして貰える事。

 デメリットは日々忙しく、自分の時間があまり取れない事だろうか。後は協調性が無い人、マイペースな人には合わない事だ。


 今この場にいるキョウシロウ、静流さん、アンリ、リリたん、ティナにそしてルイスも聖騎会に所属していない。

 もっともルイスの事だ。聖騎会の面々はある程度の実力と素行問題無しならば入会出来るので、庶民や亜人も中にはいるわけであって、そいつらと一緒に行動するのが嫌だったのではと予想出来る。

 そいつらが上の立場にいると頭も下げないといけないしね。


「雁首揃えて良くもまあ…俺ら所か、そこの劣等女にも劣るお前に何が出来るか言ってみたまえ。」


「命拾いしたぜ、チキン。聖騎会に感謝するんだな。」


 A級序列9位、ゴルグ・グローリア。俺らと同じ2年でA級入りした実力者。庶民の出で農家の息子の三男坊。

 学園入学前は村の周囲の魔物の間引きをしていた村一番の腕っ節みたいな存在だったらしい。身長は2m近く、刈り上げた頭に丸太のように太い腕。武器は両手に付けるガントレット。見た目そのままに肉弾戦タイプの武闘派騎士生だ。付いた異名は【鉄鬼剛拳】一応申し上げて置くと攻略キャラではない。ファンの間ではゴリラやゴリさんと呼ばれている。


 先程の武装解除の命令を出したゴルグに向かって、ルイスは挑発する。

 殺し合いにならなそうな雰囲気になったので、このままうやむやになるといい、握っていた刀の柄から手を離す。

 ゴリさんが来た!頼りないけど、この人数だ。ルイスのヘイトが俺からゴリさんに移ったぜ!

 『助かった、命拾いしたよ。聖騎会に感謝感謝!』って、ちょっとぉぉおお!火に油注がないでぇぇえ!助かったのミー!ミーだから!

 それとルイス、貴様は目が腐っているぞ。静流さんみたいなおっぱい大きい美人を劣等女だとは、そこは許さん。


「ふんっ、誰がA級は俺だけと言った?」


「うはは!ゴルグ、舐められちってるね。」


 ゴリさんが鼻を鳴らして言い放ち、俺の軽口にルイスが反応し言い返そうとする前に、無邪気な笑い声と共に後ろから小柄な少年が姿を現す。

 少年は頭の後ろで手を組み無邪気な笑みと共にゴリさんの前へと踊り出す。


「で、ルイス?俺が居ても同じ事言えんの?しかも、この場合1対1対2の三つ巴だけど?」


 少年が不敵に言って退ける。

 ちゃっかり数に入れないで!もう俺武装解除してんじゃん!早く教室入ってJK達眺めて平和に過ごしたいんだよ。今4月終わり頃の季節だし、夏が楽しみだ。薄着と季節、sukeburaが俺を待っている。


「恭士郎様、微力ながら私もお力添え致します。」


「ア、アタシも手伝うよ〜。」


「アンリ、貴女は下がって居なさい。恭士郎様のお邪魔になります。」


「う…うん。でも盾位にはなれるよ〜!」


「今はその時ではありません。」


 あ〜空が綺麗だな、快晴だね。外で運動するスポーツ少女達を眺めたい。

 俺の背後に居た静流さんが、スッと隣より少し後ろに歩を進める。申し出ようとしたアンリは静流さんに制止されその場に止まりシュンとする。

 何勝手に盛り上がってんの!?邪魔になるのどちらかと言うと俺だからね?それと俺は国の財産の美少女を盾にするような真似しないから。

 嫌だもう、A級の化け物同士のバトルロイヤルに参加したくありません!ええ、断じて。


「ロイ、貴様ァ…、良いだろう。生意気な鼻っ柱叩き折ってやる。授業料は貴様の命だ!」


「そんな睨むなよ。何々?もしかしてお爺様の事まだ根に持ってんの?何十年前の話だっつーの。俺ら関係ないじゃん。ノーカンノーカン!あはは!」


 今にも射殺さんとする表情で少年を睨み付けるルイス。

 俺に対する態度は侮蔑と見下しだが、彼に対しては憎悪が宿っている。どちらも嫌いだが、嫌いのベクトルが違うのだ。


 少年の名前はロイ・ロードス・ヴォルフガング。黄色に近い明るい金髪を肩まで伸ばし、後ろ髪を結び短いポニテにしている、大きな目は猫目で悪戯っ子な雰囲気を感じさせる。

 攻略キャラの一人だ。ここに来て二人目の攻略キャラ登場、タイミングの良さに作為的な物を感じる。あ、厨二病の陰謀論的な事を考えてしまった。

 それは置いといて、彼の口上で分かる通り、ルイスの家を没落させた伯爵家の内の一つで、更にチキンの蔑称を広めたのも彼の家の先代だ。

 ロイ自身は先代の事件の事を何とも思ってないし、どうでも良いと思っているがルイスの気持ちはそうも行かないだろう。

 年齢はキョウシロウの一個下の1年生。伯爵家の四男坊で、身長150cmのショタ枠だ。

 ガキだと言って侮るなかれ、1年にしてA級序列6位の神童。【麒麟児ロイ】の異名を持つ。多才で器用、あらゆる分野で天才的な才能を発揮する文字通りの麒麟児だ。反面、ガキらしく飽きっぽく、ある程度身に付けてしまったら直ぐ投げ出す。一つの分野を極めたら歴史に名を残すキャラになるのにだ。

 因みにルイスルートでもロイルートでもお互いが重要キャラとしてイベントに関わって来る。


「ガキが…。」


「む…ガキ言うな。俺成長期だし!1年後は20cm伸びてるんだからな!」


 いや、残念ながら伸びないぞ。3年になっても5cm伸びて155で成長止まるから。残酷な未来知っててすまん。


「ロイ、宗像の方には龍蔵寺も加わったぞ。」


「お、じゃあこれで1対2対2だね!」


 ちょ、ゴリさん何余計な事言っちゃってくれてんの?さり気なくジリジリ後退してフェードアウトしようとしたのに、こっちに注目しないで。


「ゴルグナイス、すっかり忘れてた。キョウシロウにシズルちゃんか、ちょい厄介な組み合わせ。邪魔だし、そっこールイス潰してから、じっくり戦おっか。」


「ああ、二人で一気に仕留めるぞ。」


 ふむー、と顎の下に親指と人差し指を当て考える仕草をして決定したロイの意見にゴルグが賛同する。

 その間に逃げて良いっすか?静流さん、愛刀抜いて準備しないで。真剣な表情で隙あらば切り込みそうな抜き身の刀みたいな雰囲気になってるけど、いつもの素敵な笑顔の方が好きよ。


 序列5位のルイスvs6位のロイと9位のゴルグか。サシでやったらルイスが一番強い筈。だが数の上で有利なのは後者。

 ゴリさんが足止めしてロイが仕留めるスタイルかな。

 聖騎会のデコボココンビのこの二人は、仕事に当たる時はコンビを組む事が多い。

 お互いA級で聖騎会の幹部だし、普段は部隊長としてB級やC級を引き連れて仕事に当たってるけどな。今回のように問題を起こしたのがA級やB級上位相手だと余裕を持って、聖騎会実行部隊の最高戦力のこの二人が出てくる。


「速攻潰すのは、こちらの方だ…!」


「ぬっ!」


 余裕を出しまだ武器を準備していないロイ。ルイスはロングソードを片手にゴルグに向かって駆け出す。ゴルグはガントレットを構える、両手を前に翳し空手で言う前羽の構えに似ている。


「へっ、狙い通りに動いてくれてサンキュ。」


 二人が肉薄するタイミングを狙い、笑ってから腰に装着するトンファーを取り出し地面を跳ねるように飛びルイスの背後から襲いかかる。


「うわわ!」


「なっ!」


「う、ぬ!」


 突如、三人の前に何もない空間に刃がほぼ同時に現れる。

 上からロイ、ルイス、ゴリさんだ。

 ルイスが持つロングソードとロイが振り下ろそうとしたトンファーが現れた刃に弾かれ仰け反り一歩後退。ゴリさんは流石のパワーでガントレットを付けた片腕が跳ね上がるもその場からは動いていない。

 来たか…カズヒサに取っては大歓迎の出来事だ。


「三人共。めっ、だよ?」


 目の届く範囲にはいるがその距離、30m近くは離れた場所から声がかかる。

攻略キャラ、正確には三人目。

恭士郎、ルイス、ロイ。後三人は考えているけど、少ないかな。

イケメン共もその内揃ったら、誰が人気か総選挙でもしようか。ゴリさんも選択肢に入れますよ(笑)

次は五人目のヒロイン(?)の登場です。

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