表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/24

第20話【よろしい、ならば戦闘だ・前編】

2話目投稿!日付け変わったけど。前話見てない方はお気を付け下さい。

「キョウ様が聖騎会室に。」


「ミリア様、聖騎会室には勿論私達も同行して構わないのですよね?」


 聖騎会室への案内と聞くと難しい顔をする二人。エリザ様へ警戒していた目線を一斉に同じタイミングでミリア様へと向ける。やっぱり仲良しだよお前ら。


「それは勿論!」


「ごめんね。聖騎会としての呼び出しは宗像恭士郎君個人なんだよ二人共。」


「ミリア、良いではありませんか。」


「ダメなの。会長の命だからね。」


 笑顔で了承しようとしたエリザ様の言葉を遮り、ミリア様が断りを入れる。ケチな事言わないでと言うエリザにきっぱりと会長命令だと告げるミリア様。

 ヴィンセントの命かよ、面倒臭い。何で態々イケメンに会いに行かねばならんのだ。まだ会ってない攻略キャラに会いに行くのだと仕方ないと気持ちを切り替える。

 従者二人の目線が今度は俺に注がれる。指示を仰いでるようだ。


「大人しく授業受けてろ。後で休み時間のタイミングでお前らの教室に行く。」


 しっかりとこうでも言わないとご主人大好きな二人は何をするか分からないからな。解散の命を出すと二人は俺に一礼してから去って行く。



「キョウ様大丈夫かな…。」


「ふっ、恭士郎様ならば、会長と副会長に書記の三人相手にしても逃げ切れますから。」


あの方を誰と思ってるのです?と静流は鼻で笑う。二人はそれまで無言だったが、分かれ道でどちらからとも無く立ち止まる。


「アタシ、行ってくる!」


「こら!主の命を破る気ですか!?」


 宗像騎士団、いや陽国人ひのこくじんにとってはここはホームではない。更に聖騎会はランドガルフに仕える事になるエリート騎士達の集まりなのだ。

 静流は駆け出すアンリを止めようとするも後ろから肩を叩かれる。


「今忙しいので…って何でしょうか?」


 肩を叩いた人物を見て振り解こうとするも、考えを改める。


「上の命なんだ。すまんな龍蔵寺、恨むなら宗像を恨めよ。」


「え…。」


 両手に抱える大きな物を持つ人物が、それを上へと持ち上げると静流の顔に影が差した。



「む、宗像様…その…。」


「なんだよ?」


「い、いえ…龍蔵寺さんは美人ですし、宮元さんも可愛らしいですよね。」


「はぁ、そうだな。」


 二人に挟まれるように歩く俺。エリザ様が何か言いたげにしてるかと思ったら、さっきまでいた二人を褒める。

 現実で言う生徒会からの呼び出しに俺はそれどころではなかったので、気の無い返事を返してしまう。

 緊張屋さんにとってはお偉いさんに会うのはキツいんです。そもそも少人数なら大丈夫だけど、たくさん居たら話せなくなる人いるじゃん?カズヒサはそれのグレードアップ版よ、三人以上居たら特にダメだね。

 後ヴィンセントか…会うの億劫だな、あいつは普段はどうともないんだが、とある条件を満たすとルイスと同じ位面倒臭いんだよなぁ。条件満たしてるか満たしてないか微妙なラインだけど、嫌な予感もするし。


「あの…龍蔵寺さんや宮元さんとは…えっと。」


「キョウくん。あの二人のどちらかと付き合ってるの?夜の方もお盛んな感じかな?」


 言い淀むエリザ様の言葉を遮ってやれやれと溜め息をつくミリア様が俺のワイシャツの裾をくいくいと引っ張って訊いてくる。

 きゅ、急な問い掛けだな。思わずずっこける所だったよ。


 ミリア様は冷静な顔を崩さないが、対するエリザ様は興味津々なようでまじまじと俺の答えを待っている。蝶よ花よと育てられたけど、とうとう性に興味を持つお年頃かな。


「付き合っていない。夜伽もしてねェよ。」


 ハーレムエンドにするには、二人同時に攻略する必要があるからな、多分!エロゲだとイベント後に二人同時にえちシーン突入してお付き合いするに違いあるまい。片方に手出してしまえばもう片方は居なくなってしまう。ふはははは、二兎を追って得るぞ俺は!ゲーム脳だって?五月蝿い。


「そうですか…。」


「ふーん。」


 何故か安心した風なエリザ様と、自分から聞いて置いて興味無さげなミリア様。エリザ様、何で俺の腕を両手で掴んでいるんですかね、役得ですが。

 聖騎会室の前に着くと、部屋番の二人の人物が居た。二人の人物を見るとエリザ様は慌てて俺の腕から手を離す。


「エリザ様お疲れ様です。リア姐もおっつーです。無事、恭士郎だけ連行して来たんだね。」


「ウッス!お疲れ様、っス!です。エリザ様ミリア様。」


 ロイとゴルグの二人組だった。ゴリさん、相変わらずミリア様にめろめろだな。跪こうとしてるけどミリア様に宥められている。

 つか、ガキ!じゃなかった、ロイ。連行とか怖い言い方すんな。


「貴方達もお疲れ様だね。」


「お疲れ様です。連行?」


 労うミリア様と首を傾げるエリザ様。野郎と仲良く話す趣味もないので、俺は無言で通す。ごめん、態とじゃなくて緊張してるの。部屋番を他の奴らじゃなくて、幹部のこの二人がやっているからだ。


「ささ!どうぞ!」


「っス!」


 扉に向けて両手で促すロイと、扉を開けるゴリさん。扉開けるのゴリさん担当かよ、ロイいらなくね?

 皇族で第二皇女殿下のエリザ様、大公家の令嬢のミリア様、そして庶民以下奴隷以上の俺、の偉い順で扉の中へと入る。


「やぁ、いらっしゃい。緊張しないで良いよ、って言っても君は緊張なんてする柄じゃないか。」


「………。」


 聖騎会室の中へと入ると、窓際の部屋の一番奥の席に座る聖騎会会長にして第一皇子のヴィンセント・ド・ランドガルフ。白い手袋を付けた片手をひらりと振ってこちらへと好青年面した爽やかな笑みを向ける。

 従者のように付き従い、ヴィンセントの隣の回転椅子の背凭れを両手で押さえるようにして持つリ・シュエリー。“清華連邦国せいかれんぽうこく”こと現実世界で言う中国、つまりはチャイナ娘だ。彼女はこちらを、と言うより俺に警戒の目を向けて来る。ピリピリする空気、その目線が我々の妄想を掻き立てて堪らんとです。

 「本当に貴方はどうしようもない人ですね。」とか言われながら、是非とも寝転ぶ俺を睨み見下しながら、嫌な顔をしながらスカートたくし上げておパンツ見せて下さいと頼みたい所存。


 いや、俺がこんな事考えるのも仕方ないんだよ。だってさ、皇子表面上では笑顔なのにプレッシャーが凄いんだもの。殺気が突き刺さってるんです。ビビりそうだよ。


「やっぱり全く動じないか。失礼、適当な席に着いて良いよ。エリザはこっちおいで。」


「え、はい…って、え!?」


 ヴィンセントに呼ばれてとことこと駆け出すエリザ様。すると隣に来たエリザ様の口にハンカチを押し当てて、椅子を回転させて気絶する彼女の体を横抱きにして受け止める。


「会長、何を?」


 動き出そうとするミリア様。それを片手で制するヴィンセント。


「愛妹に嫌な所は見せたくはないからさ。二人共、動いたらダメだよ、忠告だからね。シュエリー。」


「はい。」


 呼ばれたシュエリーは、ヴィンセントの隣の回転椅子を回転させてこちらへと向ける。


「な、会長…!」


「……。」


 反対側の椅子がこちらへと向く。何故反対側に向けられていたのか不思議に思ってはいた、理由が判明して納得する。

 ミリア様が驚いた声を上げる。どうやら彼女は知らなかったようだ。ロイが“恭士郎だけ連行してきた”の台詞も合点がいった。俺はびっくりして声を出せずにいた。


「これを見ても表情一つ変えないか。もしかして予想してたのかな?宗像恭士郎君。」


「はっ、悪趣味にも程があるぜ、会長さんよ。俺の前で、静流をレイプでもしてみるのか?」


 回転椅子に座らされていたのは、静流さんだ。但し目隠しさせられた状態でだ。腕と脚は縄で椅子に括り付けられて身動きも出来ず、口には猿轡を嵌められている。

 表情一つ変えないだって?とんでもない。『ひょほぇ!?ヴィ、ヴィンセント!貴様ぁぁああ!なんたる、なんたる所業!?静流さんを陵辱か?俺の前で堂々NTR実行か!薄い本みたいにぃぃいい!』なんて言ったが先生は余裕綽々の態度を恭士郎に演じさせてくれる。


「まあ良い。下らないやり取りをするつもりはないからね。宗像くん、私に何か隠してる事はないかな?」


「ねェな。」


 薄ら寒さを感じさせる笑みを浮かべて問い掛けて来るヴィンセント。『ね、ねェよ!』俺は身に覚えも無いので否定する。エリザ様の姫様ッパイは掴んで無いし揉んでもない、未遂だぞ!思っただけだ。感触を腕で楽しんだ事か?スリスリされた事か?あれはエロザ様がやってきた事だし…なんて事が頭に過るが、違うだろう。違うと言って欲しい。


「そうか。シュエリー、やれ。」


 ヴィンセントの命を聞き座らされている静流さんの後ろに回るシュエリー。彼女はナイフを片手に静流さんの首筋に添える。もう片手を伸ばし静流さんの指に手を添えると、ナイフを使って小指の爪を剥ぐ。


「っ、んん!」


 ペリッとこ気味良い音。猿轡を付けているもくぐもった声が響く。床に落ちる小指の爪。


「ヴィンセント、貴方!!」


 呆然とする俺とは反対に、いつものクールな表情を崩して眉を寄せて詰め寄ろうとするミリア様。


「私は動くなと言ったぞ、ミリア。」


「っむ、んん!」


 首をクイっと動かしてシュエリーに促すヴィンセント。シュエリーに続けて薬指の爪を剥がれた静流さんは我慢出来ずに声にならない悲鳴を上げる。ミリア様は飛び出そうとしたが動きを止める。


「っ…やって良い事と悪い事がある。悪いけど、今回に限ってはこちら側に着くよ。ヴィンセント、私とキョウくん相手にして、貴方達は無傷で済むと思う?」


「どうだろうな、無傷は難しいかな。あくまでこれが無ければだけどね。」


「っ…貴方は…。」


 笑みを崩さぬまま、これと首を動かして人質の静流さんを差すヴィンセントにミリア様は苦虫を潰したような顔をする。

 ヴィンセントの強硬を見て尚、俺は展開の早さに追い付けず、ただ黙って見ているしかなかった。

まさかのリョナ…だと!?と思った皆様、お気分が優れなかった方はすみません。展開上必要な事だったんです。熊回で皇女様もそれなりに酷い目にあってるし、いいよね…?


ヴィンセント…おっかない子…。


次回更新をお待ち下さい。

初心者の作品ですが、ブックマークや評価して頂き、ありがとうございます。

皆様にはご感謝を!応援して頂けると喜びます。アドバイスや指摘なども頂けたら幸いです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ