第12話【無双のお時間】
今回はお昼前投稿!夜中にも投稿出来たら…頭の回り具合で出来たらラッキーです。
朝は、10時以降13時までの間の投稿が良さげなのかな。
現れたのは体長1.5m程の緑色の狼、名前はフォレストウルフ。口からは涎をだらだらと探す。素早いが、動きが直線的で攻撃も噛み付きと牙だけなので、危険度ランクは最低レベルより一つ上のFで、戦闘訓練を積んだ者なら倒すのは容易い。
ただしそれははぐれ狼との1対1に限る話であって、通常フォレストウルフは群れを組んで獲物に襲いかかる。
3匹〜5匹までならランクはE、10匹までならDランクへと変動する。
「犬畜生風情が…面白ェ。」
俺はニヤリと口を釣り上げる。
『koeeeee!涎だらだら垂らして何なの!?しかも三匹もいるし。弱い魔物と分かってても怖ェよ!俺だったら腰抜かして漏らしてる。』
乾いた笑みを漏らす。
考えても見て欲しい。ドーベルマンやピットブル、シベリアンハスキー、シェパードなどの猟犬三匹(しかも野犬)を前にして、余裕で居られる人間は何人いるだろうか。
戦国時代の侍とか、猟銃を持った猟師とかなら話は別だが、俺は平和な日本のコンクリートジャングルでのほほんと暮らして来た一般人だ。
「はっ!」
『うわぁ!』先頭の一匹が飛び掛って来る。目を瞑り、思わず反射的に蹴りを繰り出す。下から振り上げられた蹴りは顎を跳ね上げて、バキッと鈍い音と共に蹴られた方のフォレストウルフは後方へと3.4回縦回転して、やがて地面へと落下する。
ピクリとも動かずに首があらぬ方向へと曲がっている。
「はは、ははは!」
『え?…あは、あははは!』思わず呆然として、え?と声を漏らしてしまった。そうだよ、めっちゃ動揺してた。俺は今は俺だったんだよ。俺に勝てるのは俺だけだ、キリッ!
笑い声が溢れて来る。犬みたいな生き物を殺した事にも罪悪感はない。ここは弱肉強食の世界、殺さなきゃ殺されるのだ。
残り二匹のフォレストウルフは警戒してグルルゥと唸り声をあげている。飛び掛かろうとしていたが、立ち止まり直ぐに俺を円の中心として、周りをゆっくりとグルグル歩き回る。
仲間が呆気なく一撃で殺されても逃げないのか?涎だらだらだし、飢えには勝てないのだろうか。
余裕が出て来た。こいつらはワンパンで倒す事が出来ると判明したしな。
当初は嫌われキャラだし、イケメン攻略キャラ達と違ってちやほやされてないし、貴族らしいノーブルな生活も出来ないだろうし、色々最悪だと思っていたが、恭士郎に憑依出来て良かった。
極限までにも鍛え引き締められた肉体。攻略キャラでもトップクラスの膂力と身体能力の高さにフィジカルの強さを持つからだ。近い内に筋肉の確認をしてみよう。あ、今日風呂に入った時にでも…別にホモではないよ。ほら、鍛えてる人で毎日服脱ぐ時に、腕曲げてマッスルポーズとかするじゃん!
安心出来たら、周りを見る目にも余裕が出て来た。動き回るウルフ共に合わせて、俺もゆっくりとその場を回る。
アニメとかの戦闘シーンを見て毎回思ってたが、動き回ってるとリアルだったら目回るんじゃないかな。プロのバレリーナやフィギュアの選手とかは目を左端や右端に寄せるとか、回転に合わせて目を左右に動かすとか聞くけどな。目回りそうになったら、試してみるか。
俺が動きを止めると、見計らったようにウルフ共が左右から飛び掛かって来る。かっこよく決めるか……無理!やっぱ怖ェ!だってこいつら唸り声上げてギラッギラの牙を見せて大口を開けて飛び掛って来るんだぜ。ワンパン出来るって分かっても、怖いもんは怖い。
「…っしゃあ!」
咄嗟に腰から刀を引き抜く。頭の中にコントローラーが浮かび上がり、コマンドを押すようにイメージすると体が自在に動く。
抜いた刀で左側のウルフの喉を貫き、直ぐに引き抜くと同時、腰を捻って回転力を上げた肘鉄を右側のウルフの鼻っ面に叩き込み、対二人用の小技を使用する。
絶命した二匹のウルフを交互に見てから、血振るいをする。鞘に収めた刀はカチリと音が鳴るが、俺は大事な事に気付いた。
「懐紙は…ねェか。」
刀とは本来、敵を切った後に懐紙でしっかり血を拭かないと固まって抜けなくなるらしい。テレビで見た情報だが。
ゲームではやってる描写はない。しかしファンタジー世界とは言え、従う必要はあるだろうな。代わりの物がないので再び抜刀した刀をウルフの死体の毛皮を使って拭き拭きする。
うわ、目見開いて死んでるよ…。戦闘後、落ち着いて来てからも精神に影響がない、これで動物を殺しても平気な事が分かった。
心臓近くに魔石があるんだよな、勿体無いし取りたいが、流石に抵抗あるな。
生物の体を捌いた事なんて、理科の実験でのカエルの腹や料理での魚しか経験がない。
な、慣れないとダメだよね。この世界で生きて行く為には。
学生服の上に着ている、様々な暗器や忍具を仕込んで羽織っているコートの中から、小太刀を取り出し最初に殺したウルフへと近付き片膝をつく。
牙と爪や毛皮も少しの金額で売れるらしいが、今回はスルーだ。
腹を縦に搔っ捌くと血と臓物の匂いが充満するも、普通は気持ち悪い気分になるんだろうがあまり気にならない。嗅覚も問題無いし視覚も問題無い。手が震えるかとも思ったが、全然そんな事は無かった。
透明の3cm程の大きさの魔石を小太刀で抉り取り、三匹から無事回収した。
これについても恭士郎の体様々だな。
後は、人型の魔物を倒して、取り敢えずの確認は終わりにしたい。小鬼でも豚鬼でも角鬼でも、どんと来いだ。いや、オーガとオークは出来れば、遠慮したいな。デカいし怖い、確実に足が竦んじゃう。
ゴブリンやオークは醜悪な外見で雄しか居ない種族だ。ご想像の通り巣に人族の女を攫って性的に食って死ぬまで苗床にし、男は肉体的に食う。リリたんが攫われたら、くっ殺言って欲しい。勿論実際に攫われては欲しく無いが。
イベントで主人公ちゃんがオーガとオークにゴブリンの軍勢に拉致られる。それを颯爽と現れた攻略キャラがバッタバッタと薙ぎ倒してから助けるシーンがある。
現実に置き換えるとだ。気持ち悪いレイパー達に攫われて襲われる直前の絶望の中、あんま仲良く無いとしてもだ、イケメンに助けられたらそりゃもう惚れてまうやろ。フツメンだろうとも、安堵して吊り橋効果的な奴で、ゲット出来る可能性も高いだろう。ブサメンは…まぁ、うん。ああ、俺は贔屓目に見ても上の中…下、いや中の上だったかな。
イケメン云々は置いといて、この世界にも物欲センサーなるものはあるらしい。人型魔物を所望してるのに来るのは最低ランクのGである初心者おすすめ戦闘練習用の魔物兎型のラピッド、同じくランクGの鹿型のディアル、ちょっとランク上がったがFランクの猪型のファングボアなど四足歩行の奴らばかり。
「にしても、数が多いな…。」
ちょっと奥に歩いただけだが、魔物とのエンカウント率が高く感じる。軽く十回以上魔物との戦いの間に別の種類の魔物も乱入して来るのだ。五匹のラピッド相手に俺tueeeeeして浸ってた時に、ファングボア二匹が突っ込んで来た時には少し焦った。ゲームじゃなくてリアルだし、そんなもんかな。
最初に戦った魔物のフォレストウルフを含めると、殺したのは二十五匹になる。
「きゃぁぁぁああ!」
少し考え事をしていたら、森の俺から女性の甲高い悲鳴が聞こえて来た。可愛い声だったし、美少女に違いあるまい。
これはもしや、フラグ回収したか?ゴブリンやオークの事を考えてたし、盗賊とかの可能性もあるな。出来れば最初の人型は優先順位としてゴブリン、オーク、盗賊が良い。いつかはやらなきゃいけないが、いきなり人間はキツい。人型の魔物である程度練習してから、殺したい。
あれ、別に盗賊だったら殺さなくても良いよな。さっきから魔物殺しまくってるから、興奮してるのか?
そんな事を考えながら悲鳴があった方へと駆けて行く。助けに行きますよお姫様!そして、俺と幸せに暮らしませう。
「グギャギャ…!」
「遅ェ、お遊戯かよ。」
目の前に緑色の体をした、140cmもいかない生物が突っ込んで来る。手にはボロボロの剣を持っていて、突っ込みながら振るって来る。それを抜刀技で相手の持つ剣を叩き斬りつつも首を跳ねる。断面部から緑色の血が吹き飛ぶも、死体を目にしようが、矢張り罪悪感や嫌悪感は無い。
『ハエが止まって見えるくらい遅い!うひひ、美少女を助けて今日はしっぽりと遊ぶんだ。』男の子ならハーレムは夢見るよね?助けた女の子と〜静流さんとアンリとリリたんとティナと、あわよくばミリア様もだ!ABC子達もまぁ加えてやってもいいかな。だが主人公ちゃんとシャルロッテ、お前らはダメだ!
主人公ちゃんは町娘っぽくて可愛いんだが、設定によっては色々な男とパコるビッチだ。他の男に目移りする可能性があるし浮気の心配はしたくない。
シャルロッテは反対に氷のように綺麗だが、性格に難があり過ぎる。陰険なイジメはするわ、ドS過ぎるわ、目の敵にしてる主人公ちゃんと同じイケメン好きになって恨んで嫉妬深いとこ見せるし、ヤンデレだしで、最悪だ。そしてオヤジが何よりおっかないから、娘さんと付き合ってます何て言った日にはリアルに殺されそうだしな。
人生の幸せ設計をしていたら、進むべき方向から大量の足音と共にゴブリンの集団が森の中、開けた道を走って来るのが見える。その数目に見えるだけで30匹ちょい。
「あん?面白ェ…!」
神よ、これは美少女救出のイベントだな。イベントになるって事は相当な美人に違いない。
このゴブリンの群れを潜り抜けた先には、きっと奴隷商人の馬車でもあって、馬車は大破、護衛の冒険者と奴隷商人と従者は死亡、唯一生き残ったバインバインな獣人の奴隷の子でもいるのだろう。んで、命を助けた俺はご主人様って呼ばれちゃったりして、うっひょー!た ぎ っ て 来ましたー!
「こっから先は、一方通行だぜ!」
ハイテンションになり刀を引き抜いて肩に担いだ俺は、ゴブリンの集団の中へと突っ込んで行く。一度は言ってみたいお決まりのパロネタを口にすると、もっと長い台詞を省略されたものの、大事な所は変換された。
この時の俺は、戦闘の高揚感もあり調子乗り過ぎてたとしか言いようがない。ここで引き返していたらと…殴ってやめさせたかった。直前セーブ&ロードしたかったです。
またもや少し長くなってしまいました。一人にさせて自由にさせると、何ともカズヒサは自由にエンジョイしまくりますね、
今回は雑魚相手にちょっとした無双。次回はゴブリン相手に無双と、調子乗った罰が降り注ぐ、のか?
実はまだ悲鳴の女の子を誰にするか、考えておりません。候補は幾つかあるのですが、決めかねている所でして…。
次回更新をお待ち下さい。
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