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第9話【仲間のおっさん枠だよね、テイ〇ズオブってたら】

夜中間に合わなかった…orz

朝の投稿になります。

「今回の事はシャルロッテ様にご報告致しますわ。」


「「「覚えてらっしゃいまし!」」」


 三人組の代表としてエミリがキッとリリたんと俺と静流さんを睨み付けるように言い付けると言ってから、三人揃っておきまりの捨て台詞を残して去って行く。

 嵐のような三人だったな。リリたんは腕組みしたままフンッと顔を背けて三人組を一瞥するだけに止めた。報告するって言ってたが、俺と静流さん何もしてなくね?今回言い合ってたのはエルフの王女様なんだが。件の人物に視線を向ける。


「何よ?」


「はんっ、なんでもねェよ。」


 俺の視線に気付いて訝しげな表情を向けられる。正義感のあるお姫様って、テンプレだよね。でもテンプレだろうが可愛いは正義だ、可愛いよリリたん可愛い。

 『ふひひ、や?あぇ…ななな何でもないでしゅる。』気持ち悪い事口走ったが、この変換にもお助かりになる。

 もう呼び捨てには出来んな。これからは先生と呼ぼう、変換先生だ。


「か、勘違いしないでよね。アンタを助けたわけじゃないんだから!あいつらが姑息で汚い真似して、気に食わなかっただけだからね!」


 何を勘違いしたか、リリたんが弁明をする。ツン頂きました!あざーっす。


「ほらー、お前ら。ホームルーム始めるぞ、席に付けー。」


 ABC子が出て行ってから数分。タイミングを見計らったように先程現れて一旦消えた教師が、やる気のない声で姿を見せる。パイプを咥えて煤けた茶髪に、よれたワイシャツがお似合いだ。


「先生は庶民なんだぞ。辺境伯家に喧嘩売ったらリアルに首が飛ぶ。この学園の教員も楽じゃないのよ。」


 生徒達の攻めるような視線を受け、気怠げに頭を掻いて答える。さっき逃げた事については一応言い訳があるようだ。


 こいつの本名はモルドレッド・ディーンだが、今は改名してモルディンと言う名前になる。皇室の第二皇女の元近衛兵だった男だ。今でこそ冴えない風貌だが、当時は丸眼鏡を掛けず、今のボサボサ頭ではなく、小綺麗で腰まである艶のあるロン毛の【烈風の獅子】の異名を持つイケメン騎士であった。


 6年前の24歳の出来事。ランドガルフ帝国の六英将が率いる軍が、他国へと攻め入った。侵略戦争と言う奴だ。

 その六英将は民間人の老人女子供問わず快楽的に殺す危険人物である。モルドレッドは己の騎士道に従って正面から意見する。その後戦闘をするも敗北して反逆者として投獄されてしまう。

 モルドレッドは6英将とほぼ互角に渡り合った程の実力者だ。

 3年間反逆者として投獄されていたが、第二皇女の計らいでそこから空白の2年間を経て、教員としてロゼリカ学園で1年間働き今に至る。昔は準男爵の爵位を持っていたもディーン家は没落。  

 現在は庶民の身分で、一応嘘は言っていない。


「貴族でも高位の貴族様は教員にならないしね。現役を引退した元騎士団長さん位だよ。先生の言う事聞いてくれる、貴族の生徒は貴重だから。だからお前ら、上の貴族と問題起こしても俺を当てにすんなよ?」


 突き放した発言も平気でする。だが、とか言いつつも、最後の最後には何だかんだ言って助けてくれるのだ。根は昔と変わらず良い先生であるが、原作を知る俺か、第二皇女様位しか知らないであろう。


 その後、ホームルームを終え授業が開始される。一限目は戦略について。


「あああ、やべ。教科書間違えた…じゃなくてだな。んん!お前ら、今日は復習を兼ねて特殊な武器である“天遺物ディバインレリック”についての授業をする。1年時に習っただろうが、忘れてる奴もいる筈だ。」


 取り出した教材は1年生向けの教科書。咳払いしてから誤魔化す為に1年時の復習をするといきなり言い出すモルディ。

 教科書はそのまま使うようだ。いや、誤魔化すなら教科書もしまえよな。


 天遺物ディバインレリック。略してレリックと呼ぶ事が多い。神聖な遺物又は神々の遺産を表す。

 今から遡る事数千年とも数万年かそれ以上の時代、古代文明が発達していたと言われていた。その証明として、この天遺物が真っ先に挙げられる。


 【騎士は剣と誓いと愛の花束を】の世界観には魔法たる物が存在しない。魔法らしき超常現象を引き起こすのは、一部の魔物だ。口から火を吹いたり、体の表面を帯電させたりと、種類によって様々な能力を持つ。理由は明かされてはいないが、体内に能力に見合った属性の魔石を持つからである。

 魔石は気怠さを伴う人の体力や精神力を消費して効果を発揮する。小さな火を起こしたり、扇風機のような弱風を起こしたりと、戦闘ではとてもではないが使えないも、人々の生活に役立っている。

 強い能力を使う魔物の魔石だった場合、人間が使用する際に火力は上がりはしないも、使い捨てで消耗品の魔石は使用制限回数が増えるだけなのだ。因みに残り回数を見る方法はないが、使用する時に体で何となく分かるのである。


 では、そんな超常の魔物達に人間はどうやって対抗してるのか。答えは天遺物に行き着く。

 一部の魔物と同じく、超常の力を発揮する未知の武器。武器の形態も能力も様々。形状は近接武器が殆どだが、遠距離の武器もあり、中には特殊な物も存在する。又、銃器がまだ発明されていないこの時代に、マスケット銃を模した天遺物も存在を確認されている。

 天遺物も魔石を使う時と同じく、体力や精神力を消費して能力を発動させる。

 そして、誰にでも容易に扱えるわけではなく、理解度やセンスその他諸々の要素を含めて適性がある。一人で何十何百もの種類の天遺物を扱える者もいれば、一つが限界又は、一つも適性がない者もいる。


 いつ誰によって作られたのか定かではない。ある説では天界で使っていた神々か天使達の遺産とも言われ、またある説では今から遥か先の未来人が過去に訪れて地上にバラいたとも言われ、諸説ある。


 古くから今に至るまでに、世界中の至る所から見付かっている。この世界の兵器と言えば天遺物を置いて他に無く、より沢山の天遺物とその適性者を所有している国が、世界を制するのだ。未だに見付かっていない物は大自然の中の未開の地や、魔物が蔓延る迷宮ダンジョン内に存在するのは確実であろうと言われている。


「はぁ…丁度良いから、歴史もやっか。」


 モルディは時計をチラチラと見ては、授業の時間が余ってしまった事に溜め息を吐く。話の流れで歴史の授業で締めるようである。


 ランドガルフ帝国が世界でも大国として数えられる背景は、天遺物を駆使してその国から天遺物を略奪し更に侵略戦争を繰り返して来た、初代から続く血塗られた軍事国家の歴史による物だ。


 ランドガルフの次に広い領土を持ち、信仰により人々の結束を高めている宗教国家。普人族こそが唯一の人間であると主張し、亜人を滅し亜人排斥の奴隷にさえ存在を許さないシルバインド聖国。

 聖国は初代聖女であり、現在では聖天と呼ばれるルーシカ様が亜人は人類の敵と認識していた事から今にも引き継がれる。教義では聖国で初めて使用され確認されている、天遺物の使い手のルーシカが神に承った物とされ、天遺物を使う他国は奪略者とランドガルフ帝国や亜人である獣人族の大国ビストウォーリアと敵対している。

 帝国六英将と団長及び副団長を含めた戦力と匹敵する一騎当千の司祭の13人“聖天十三使徒”を用する。


 そして、国土が世界一を誇る獣人族の大陸ビストウォーリアに暮らす各部族の獣人達。獣人族は剣や槍など普通の武器を使用する。恵まれた身体能力と武器である爪と牙がある為に天遺物を使う必要がないのだ。

 代わりに天遺物と相性が悪く、必要以上に体力や精神力を消耗してしまう。これは、生まれ付いての高い身体能力と強力な武器の爪や牙の代償とも言われている。


 ランドガルフ帝国、シルバインド聖国、ビストウォーリア獣人国の三つが世界三大国と呼ばれる。ビストウォーリアは攻めては来ないが来る者を許さず、ランドガルフとシルバインドが睨み合いを続けている三竦み状態により、均衡は保たれている。


「ぁ…静流。今、何の授業やってた?」


「天遺物と歴史、主に世界三大国についてで御座います。」


 『おへ、ぇ…し静流ひゃん!授業何やってん?今?』目が覚めるとモルディが時計を見て頷いている、釣られて見てみると授業終わり3分前だ。

 朝から色々疲れる事あったから頬杖ついたまま寝ちまってた。体、ビクンってなってないよね?因みにジャーキングとかスリープスターツって言うらしい。

今回は新たな登場人物の昼行灯系キャラと、ここまで引っ張った重要な魔法の武器についてです。

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