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プロローグ

読み専でしたがつい書きたくなり…暇潰し程度に読んで下さったら嬉しいです!


※4/5日にて改稿。読みやすいように、改行と段落一字下げを行いました。

 ウッス!俺の名前は佐藤和久!その日暮らしの日雇いアルバイターの27歳で勿論独身、つか彼女も年齢=無しだよちきしょうめ!まあ、経歴でも分かる通り正直社会の底辺だ。 それもこれも俺には欠点が一つある。いや、本当は一つ所じゃないんだけどな、そこは置いて置くとしてだ。

 欠点とはつまり、あがり症の事である。


 自慢じゃないが勉強はそこそこ出来た方で受験は問題無し、高校も大学も無事卒業したんだが、緊張しいであがり症が酷くて面接は悉くお祈りで全滅。どうもこうも内心ではハイなテンションを保つ事が出来るんだが、人見知りってレベルじゃねえぞ!ってくらいに初対面の人と話すのが無理なんだよな。見つめ合うと素直にお喋り出来ない状態に陥るんだよ。ぶっちゃけると極度のコミュ症でもある、あれ今更か。


 って事で日雇いのアルバイトとして言われるがままに引っ越しやら倉庫整理やらの単純作業に従事して“いた”わけだ。


 実家暮らしで俺としては居心地悪くて両親からは就職しなさいとは勿論毎日言われる。一度家を出て一人暮らしようと思ったが、冷静になって家賃やら何やら計算したら、金が足りなくて円盤やらフィギュアやらを全く買えなくなる、人生お先真っ暗だけど止められない止まらない、うん屑だわ。でも止めらんないのよね。

 んでいつものように実家に帰宅して、俺の影響でアニメやら漫画やらが好きになった妹、こいつはちゃんと就職して社畜になってます。

 お兄ちゃん力仕事でも何でもいいから、正社員になって働いた方が良いよ。とは偶に抜かして来るけどな!でも仲は悪くはない。

 貸して貰った乙女ゲーム【騎士は誓いの剣と愛の花束を】を、帰ってアニメを見終えた後に毎日ちょくちょくやっていたわけだ。


 事件は会議室で起きてるわけじゃなく、現場で起きているんだ。

 そう、事件は実家で起きたわけじゃなくて、どこか見知らぬ部屋の中で起きちまったんだよな。拉致されたんだと思ったけどな、目が覚め起きたら別人になってるってどういう事!?


 そう、ゲームの登場人物になっちゃったみたいです俺。

 今流行りの異世界転生や異世界転移、登場人物の憑依、俄かには信じ難いが、壁に背を預け、床で座って寝ていた俺の横にある立て掛け鏡には、三白眼で黒髪の長い髪を括ってポニーテールにした、coolなイケメンが映ってるんですもの。


「恭士郎様、朝餉の準備が出来ておりまする。」


 目の前の和服美人が正座して“俺”いや、恭士郎になった俺に向かって鈴が鳴るような凜とした声を発する。


「あん?そうか…んで誰だテメェ…?」


 what!?『え?そそそその…だだだ誰ですか貴女は?』って言ったのに言葉が勝手に変換されたぁぁぁああ!そしてやっぱり声はイケボになってるぅぅうう!具体的に誰似なのかと言うと、某紅茶弓兵さんっぽいですね。


 コホン、自己紹介と行こうか。俺が成り代わった人物の名前は宗像恭士郎。乙女ゲーム、騎士は誓いの剣と愛の花束をの隠し攻略キャラだ。

 恭士郎はゲームの舞台、ランドガルフ帝国のロゼリカ騎士養成学園に通う2年生で、年齢は16歳。

 ああ、学園は3年制で15歳で入学、日本の高校と一緒だ。卒業するのには試験があって一握りが騎士になれる狭き門なんだよな。

 ロゼリカ騎士生養成学園には庶民は勿論の事、貴族や王族も通う。騎士候補生達が騎士になった暁には将来使う事になるから唾を付けとこうと言うわけだ。

 騎士課は庶民や家を継ぐ事が出来ない貴族の三男坊四男坊以下略が通い、高等課は貴族の長男や他家に嫁ぐご令嬢や王族が通う。

 騎士課は戦闘訓練や兵法など戦闘に関する事を学び、高等課は大人になった時には将来立派な貴族や王族になるべくデスクワークやお貴族の嗜みであるダンスや音楽に乗馬とか諸々を習うわけだ。


 話が脱線したな、で恭士郎の性格はと言うと、傲岸不遜で口が悪い俺様、気に食わない奴は容赦せずに始末する狂犬みたいな奴だ。


 一見短慮で短絡的かと思われるがその実頭の回転が早く知謀にも長けている。殺した貴族を証拠も残さずに始末するのもお手の物だ。

 今は割愛するが、この“国”では庶民よりも扱いが悪い庶民以下奴隷以上の存在で、一般庶民でさえ貴族は勿論、王族となんて話す機会は早々ない筈だが、こいつは実力が高いのだけは評価されていて貴族や王族と関わる機会もちょくちょくある。

 勿論普段の狂犬的な性格は出さないがどこか慇懃無礼な態度に代わる。


 先程でた台詞はキャラ口調だな。こいつ恨みも買ってて闇討ちや奇襲される事も日常茶飯事なんだが…俺、恭士郎になってやってけるのか…?無理だ、うん。ほんまどないしよう。


「ふふっ、寝呆けているんですか。珍しい事もあったものです。」


「ちっ、ほっとけ。おい、静流…。」


 また出たよ。ちょっと照れて『すすすみません、ああああの静流さん…。』って言ったらこれだ。しかも舌打ちのオプションまで。しかし目の前の静流と呼ばれた和服美人は気にするどころかクスクスと笑う。


 和服美人、名前は龍蔵寺静流。

黒髪ロングで髪型は所謂姫カット、優しげな垂れ目で左目の下には泣き黒子がある。

 透き通るような白い肌に陶器のような芸術性を感じさせる整った容姿を持つ美人。

 日本で言う雪国の人だから色白なのも納得。性格は普段はおっとりしてるけど茶目っ気もある素敵なお姉さんだ、是非お姉様と呼んで甘えたい。

 この人も学園の2年生で俺佐藤和久よりも年下だが。


「如何しました?恭士郎様。」


「飯だっつったな、後で食うから食卓で待ってろ。何なら先食ってても構わん。」


「お先に頂く事はご遠慮します。食卓でお待ち致しますね。」


 それに首肯して答えると、静流は静かに立ち上がって寝室から去っていく。

 あの娘は頑固な所があるから一切譲らない事もあるんだよな。てか初対面の普通の人でさえあがり症で話せないのにこんな美人相手にしてどうすればいいんですか、困ります。

 まあ、喋られるのには助かるけどね、口調は置いといて。


 朝ご飯の支度が出来たと言っていたが、恭士郎と静流は出来ている訳ではない。

 一緒に住んではいるが、ラブラブカッポーではないのだ、残念ながら。

 静流は恭士郎に仕える従者の一人であり

、この国ランドガルフではない母国では、大貴族のご令嬢だ。大貴族のご令嬢にして王子付きの護衛。はいそうです、実は恭士郎は母国では王子様なんです。


 良し、恭士郎や静流の大まかな設定の確認は思い出せた。後は現状の確認だな…。

 窓を開けて外の景色を見る。

ロゼリカ学園と学園寮があるな、原作通りここは学園近くのボロいアパートだろう。恭士郎と静流はとある事情で学園寮には住んでいない。

 今いるのはキョウシロウの部屋で間取りは八畳くらいだな。

 床には掛け布団と敷布団、殺風景な部屋だ。壁にはハンガーに掛かったブレザーみたいな白い制服。あとは棚だ、中は苦無に短刀、鎖鎌、杖、多節棍、分銅鎖、トンファー、釵、鉄拳、縄、吹き矢、これはあれだ、イベントにあった、しころだ!忍具の数々ですね。

 この瓶達はなんだ…?ああ、目潰し用の粉達ね、ちゃんと小袋もあるや。あと目に付く机も見ておくか。


「……………(きたね)え。」


 『……………汚っ!?』書類みたいのが乱雑に散らばってるんですけど。何か骨みたいのもあるし、軟骨も綺麗に食べられてるね。つか寝室で食うなよ、食卓で食えよな。

 机見るのは時間かかりそうだ。静流さんも待たせてるし、御飯食べに…。


「静流ちゃんお腹空いたよぉ。」


「起きたら先ず顔洗って、歯磨きしてからですよ。後は恭士郎様が来るまで我慢なさいな。」


「ええ〜、面倒く…わわ、分かったよ。箸の先向けてそんなにっこり笑わないで!洗面所行ってくる!」


騒がしい声が食卓から聞こえて来る。

 あ、このボロアパート…安らぎ荘に住んでるのはキョウシロウと静流だけじゃなかったわ。

 扉を開けて食卓を抜けバタバタと洗面所に向かったもう一人の同居人の元へと向かう。



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