3/3
それじゃ
「コンコン、失礼します」
ノックの擬音を口にし、彼女は訪ねてきた。薄く化粧が施されており昼とは全く別の印象を受けた。もっともだぶだぶのTシャツは変わらないのだが…
「返答を待たずに入ってくるんですね…」
「あはは、すぐ終わるんで!」
正直者は嫌いではないが、悪びれない礼儀の無い人間は嫌いだ。ただ、すぐ終わると言うので用件が済んだら早めに帰っていただこう。
「隣に引っ越してきた阿部晴子…うん、晴子です。これつまらないものですがどうぞ!」
そう言って彼女は小包を僕に渡した。そういうところはしっかりしてるんだなと感心した。
「ありがとうございます」
「んじゃ、それ貼っといてください。それではまた!」
ガチャリ、彼女も出て行った。小包の中身は大量のお札だった。怖くて理由は問い詰めることができなかった。