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いきなりですけど
「そもそも可笑しいと思わないかね?君が彼女を選んだのには疑問を感じるしかない。私を選べばこの案件はすぐにでも片付いて今頃家でローストビーフでも食べていただろうに…」
隣で喋る紳士はニヤニヤ気色が悪い。姿形が人間であるのにも関わらず、顔だけが風船のように丸く、口が裂け、ずっと笑っている。
「それについては同意です。まさかあの人があそこまでヘタレてるとは思いもしませんでしたよ。やられました」
悪態を吐きながらも僕と隣の紳士は走るスピードを緩めない。緩めたが最後、周りの化け物は一斉に襲いかかってくるだろう。
「このままじゃ埒があかないのだが?どうする?」
打つ手はない。かといって永遠に鬼ごっこするのも無理な相談だ。
「一回爆発でもしてくださいよ。あなたの職業柄簡単なことでしょう?」
勿論冗談だ。しかし…
「人をテロリストみたいに言うのは気に入りませんが、なるほど。良い意見ですね」
「え。ちょ…」
次の瞬間、隣の紳士は爆散し、俺は気を失った。