大好きな君
猟賀目線
昨日、また凌とケンカしてしまった。珍しく凌と俺しか家にいなく、兄弟間のコミュニケーションを取ろうとした結果だった。
…今おもえば、凌は不機嫌だったかもしれない。会って話してみないとわからないけど。
そして今日、凌はまだ帰ってこない。今まで家出しても、次の日には家にいたのに。
「凌…どこにいる…?」
凌が行きそうな家全てに電話をかけた。
祖母の家、叔父の家、曽祖父の家、従兄弟の家。
最後にかけたのは、真崎家だった。
Prrrrrrrrrr
『はい、真崎、です』
「あ、悠真くん?そっちにさ、凌邪魔してない?いたら、教えてほしいんだけど。」
『…いないです、けど、どうしたんです、か?』
「そ、っか…あ、昨日から帰って、来なくてね。…心配なんだ…あいつ…あんなんだけど寂しがりやだし、…なんて言ったってさ、可愛い弟だから、ね。」
途中から、俺は弟の友達相手に何を言ってるんだ、と思った。
どんだけ好きなんだよ、凌のこと。
『ごめ、なさ…っ…にいさ、わがまま、もう言わ、ないから…っ…ゆる、して…っ』
何が何だかわからなかった。
悠真くんと電話をしてて、そしたら、可愛い弟の声が聞こえて、泣いてて?
あれ、じゃあ、あいつ今真崎家にいるのか?
「凌?そこにいるのか!?いるんだな!!待ってろよ、迎えに行くからな!」
俺は返事も聞かずにまっしぐらに真崎家に向かっていた。
その後、凌は珍しく俺にしがみついて、「ごめん、なさい兄さん。好き、だよ」なんて少し微笑みながら小声で言ってきた。
あぁもう!!なんてうちの弟は可愛いんだ!