過去
義兄と出会ったのは小学5年生の時だった。
僕はまだその頃、クラスのみんなとも仲が良かった。
義兄はとっても優しくてお父さんやお義母さんがいない時よく遊んでくれた。
そんな義兄が高校に入学して寮へ入ってしまった。そして、僕は…あの悲劇に悩まされることとなる。
義兄が高校に入学したのは僕が小学6年生になってからだった。
義兄と離れるのは少しさみしかったけど、それでも、仕方ないのかなって思ってた。
中学にあがった年の秋のこと。僕は、いじめの標的になった。
理由なんてものは一切なくて、ただ単純にヒマツブシ程度。
最初の頃は反抗してた。でもそのうち反抗する気力も無くなって、いつの間にか僕は…心を失っていた。
そんな折、義兄が卒業して、家に戻ってくることになった。お父さんもお義母さんもとっても嬉しがっていた。………まるで、我が子が家に戻って来る、二人だけの空間に1人増えるみたいな。
僕なんて、いない、みたいに。
そのときもうすでに僕の心と身体はズタボロで、壊れてしまっていた。
「ただいま、母さん、父さん…………悠真は?」
「おかえりなさい、悠真…あぁ悠真ね…多分部屋にいるわ。」
興味がないみたいに答える親に慣れていた。義兄はすぐに僕の部屋に来た。
「悠真〜ただいま〜」
僕は何も答えることができなかった。何を喋っていいのかわからなかった。…それほどまでに崩壊していた。
悠真…?と何度も声が聞こえたのを覚えている。
懐かしい義兄の声だったことを。それでも僕は…何もできなかった。
「無駄よ、悠真ったら…中学2年にあがる前に引きこもったっきりだもの。…あなたと違って…手が掛かる…」
お義母さんがそう言った時全てが崩れた。
僕は…いらない子なんだ。邪魔なんだ。そう、思った。
次の瞬間、何かを殴る音が聞こえた。
「母さん、それ、本気で言ってんの…?」
義兄が壁を殴った音だった。
そして、その後義兄は僕の部屋に入り、僕を抱きしめて、僕から僕を傷つけるものすべて奪い、僕の心を動かした。