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今の僕
凌目線
今でも思う。僕の生きてる意味を。それを聞こうとして兄の部屋に行ったあの日、兄は、話すら聞いてくれなかった。
…兄には話さないと決めてたはずなのに、なぜ話そうと思ったのか。
今でも不思議だ。
あの日から僕は、兄に素直になることを決めた。…だから、喋られなくなったのは好都合だった。理由を聞かれなくて済むから。
兄が帰ってくれば、すぐに駆け寄りおかえりの代わりに微笑み抱きつく。
痛みを感じれば痛いという代わりに泣く。
そんなことでも心持ちが違った。
自分の大好きなものに素直になることで僕は変わることができた。
(ありがとう、お兄ちゃん)
今は、隣に兄がいて悠真がいる。
こんなに幸せでいいのか…汚らしいことばかりさせられたこの僕が。
「りょーうっ、久しぶりに早く帰ってきたよっ♪」
(!!お兄ちゃん)
僕は今までの表情から一転満面の笑みを浮かべる。
ま、不幸が来たらその時は受け止めるよ。