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龍神たちの晩餐  作者: 一花カナウ
第四章 ドール
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眠りの砂漠に天女は舞い降りて

 ルルディが細い手足を動かすと、その先に付けられた環がカランカランと音を立てる。静謐な空間に、金属の奏でる高音と節が曲を作り響いていく。

(何度見ても綺麗だな……)

 異変が起こっていないかに気を配りながら、ヘイゼルはついついルルディに視線を向けてしまう。ザフィリで見たときも同じで、彼女の舞に自然と目を引きつけられるのだ。

 彼女の指先から生じる魔法の蒼い光は動く度に軌跡を作り、輝く魔法陣を編んでいく。

(あれ?)

 ルルディが紡ぐ複雑な蒼い幾何学模様を、黄金の輝きがなぞるように走っているのが目に入った。

(これは黄の龍の力?)

 視線をルルディから広範囲に向ける。ヘイゼルの目に入ってきた光景、それは――。

「すごい……」

 思わず声が漏れた。目を見開いて、辺りを見回す。

「こりゃあ、大したもんだな」

 アスファルも同じ気持ちのようだ。彼もまた周囲を眺めて感嘆の声を漏らした。

 簡素だと感じていた祭壇に、黄金色の光が宿っていた。

 黄の龍の力だ。

 その光の濃淡が、ルルディの描く模様とは別の複雑な幾何学模様を生み出している。

(魔力が注がれると発動するようだな)

 周辺に眠る魔力が活性化しているのが肌でわかる。鳥肌がたった。

(ルルディが青の龍を通して黄の龍と掛け合った結果がこれか)

 ヘイゼルは心の中でため息をつく。彼女がいなかったら、確実にこのような展開になっていないだろう。

(まだまだ俺は未熟だな……)

 舞が終焉を迎える。ルルディの両腕が静かに下ろされると、青と黄の光がこの祭壇のある空間を――いや、サッバール王国全土を駆け抜けていった。


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