【受託資料】音声記録:2023-09-12_1402
公安調査庁のデータベースから、公式には「機材トラブルによるノイズ」として処理された音声記録(事案番号:104-B)の書き起こし
現場の凄惨さと、既存の生物学では説明のつかない「音」が記録されている
【受託資料】音声記録:2023-09-12_1402
収録場所: 北アルプス 〇〇連峰 標高2,200m付近(臨時観測ポイントC)
記録媒体: 野生動物調査用 定点集音マイク
状況: 調査員2名(安藤、佐藤)による定期点検中に記録。
(00:00 - 02:15)
風の音。遠くでライチョウの鳴き声。機材の設置音と、調査員たちの日常的な会話。
安藤: 「……いや、やっぱりバッテリーの減りが早すぎる。新品に替えてからまだ3日だぞ。」
佐藤: 「寒さのせいか? それにしても、このあたりの鳥、さっきから全然鳴かなくなったな。」
(02:16 - 02:40)
[異変:低周波の混入]
ごく低い、地鳴りのような振動音がマイクに入り始める。安藤と佐藤の動きが止まる。
佐藤: 「……おい、今の聞いたか? 地震か?」
安藤: 「いや、揺れてない。……待て、何か来る。あそこの岩の影。」
(02:41 - 03:05)
[ノイズ:高周波の干渉]
キーンという耳鳴りのような音が記録を支配し始める。
安藤: 「(苦悶の声)うわ、耳が……! なんだこれ、頭が割れそうだ!」
佐藤: 「安藤、見ろ。あれ……人間か? なんであんなに細いんだ……? 膝の向きが、おかしい……」
(03:06 - 03:25)
[対象の発声:『逆再生される音声』]
生物の鳴き声とは思えない、不自然な音。
対象: 「……オ……ア……ア……イ……サ……オ……(※1)」
(※1:後日の解析により、佐藤調査員の数分前の発言「鳥、さっきから」を逆再生し、数倍の速度で引き伸ばした音と判明)
(03:26 - 03:45)
[接触音:物理的な剥離]
ベリッ、という濡れた布を引き裂くような音が連続して響く。
佐藤: 「(叫び声にならない、短い呼気)」
安藤: 「やめろ、来るな! 触るな! それは俺の……俺の……(激しいノイズにより判別不能)」
(03:46 - 04:10)
[異音:金属的な咀嚼]
硬いものが砕ける音ではなく、金属をヤスリで削るような音が続く。その間、背景では「幼児が笑っているような声」が一定のリズムで流れ続ける。
(04:11 - 終了)
静寂。風の音だけが戻る。
時折、マイクのすぐ近くで「カチ、カチ」という時計の針のような、硬質な乾燥した音が3回鳴り、記録は途絶。
【解析班による付記】
分析結果: 録音中、佐藤調査員の悲鳴は一切記録されていない。声帯が物理的に機能しなくなる前に、何らかの手段で「発声能力」そのものが中和された可能性がある。
追記: 現場に残された録音機には、指紋の代わりに「未知の粘着性の液体」が付着しており、その成分は数分で大気中に揮発し消失した。




