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第8話 削れるもの

最初は、指先だった。


左手の感覚が、

朝になると薄くなる。


物を掴める。

痛みもある。


でも、

「自分の手じゃない」感じがする。


次に、

記憶が欠け始めた。


妹と話した内容を、

数時間後に思い出せない。


昨日の夕飯。

見たニュース。


どうでもいい記憶から、

順番に消えていく。


――合理的だ。


世界にとって、

俺は異物。


削るなら、

影響の少ない部分から。


夜、再び夢を見る。


今度は、はっきりしていた。


交差点。

トラック。

血。


でも倒れているのは、

妹じゃない。


俺だ。


周囲の人間が、

誰も俺を見ていない。


存在していないみたいに。


目を覚ましたとき、

左手が、動かなかった。


完全に、動かない。


恐怖より先に、

納得が来た。


――始まった。


世界は、

俺を消しに来ている。


妹を生かした代わりに。


それでも、

後悔はなかった。


0.02%を踏み抜いた。


その代償が、

俺自身なら――


それでいい。


……いや。


一つだけ、

許せない未来がある。


妹が、

「兄がいなかった世界」で

生きていくことだ。


それだけは、

認められない。


だから俺は、

まだ踏み込む。


次は、

世界のほうを壊しにいく。

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