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第7話 妹の視点

兄は、変わった。


そう思ったのは、事故のあとだった。


前から無口だったけど、

今は「いない」感じがする。


同じ部屋にいるのに、

視線が合わない。


「お兄、今日さ……」


話しかけても、

少し遅れて返事が来る。


「……ああ、ごめん」


夢から引き戻されたみたいな顔。


事故のことを思い出すと、

胸が苦しくなる。


兄が飛び出してきた瞬間。

腕を引かれた感触。


あのままだったら、

私が死んでいた。


医師も、そう言った。


――なのに。


怖いのは、

助かったはずの自分じゃない。


兄のほうだ。


夜中、トイレに起きたとき、

兄の部屋から物音がした。


ドアが、少し開いている。


中を覗くと、

兄が立っていた。


鏡の前で。


自分の左手を、

じっと見つめている。


「……お兄?」


声をかけた瞬間、

兄の肩がびくりと跳ねた。


「起きてたの?」


「うん……」


兄は笑おうとして、

失敗した。


その笑顔が、

なぜか、ひどく怖かった。


――この人、どこか壊れてる。


はっきり、そう思った。

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