第84話 超越者の眼・後編
~ムゲンソルジャー視点です~
エアーギガンテス。
こいつはあの、西下が創り出していた架空生物。
空気の巨人であり、空気として広く拡散が出来る。
……そんなもん作ってどうするんだ?
あのときは、死刑囚の殺戮を止めるために創り出してたけどさ。
意図が読めん。
……まぁ、でもさ。
取り敢えず、殺そう。
殺しておけば、問題ないさ。
……どーせ、こいつら誤解してるんだろうけどさ。
黄金の戦士の創造生物。
木属性の攻撃を受けると即死するんだよね。
規模に関係なく。
木剋土だ。
……ボクのは別だよ?
ボクのはガードがあるからね。
ボクのは木属性は致命打では無いんだ。
ボクのが死なないからといって、自分たちのも死なないだろうというのはあまりに浅はか。
ボクは右手を向けた。
雷撃で即死させるつもりだった。
だけど
その前に桜田の創り出した一つ目巨人は空気になって消えてしまった。
ちっ
ボクは手を下ろしながら
「言っとくけど創造生物は木剋土の対象外じゃないからね?」
希望をへし折るために
「ボクが放電したら即死するよ?」
そう、教えてやった。
だけど
「そうかい……だから?」
桜田はショックを全く受けなかった。
……イラッとした。
こいつ、返事を返せば反論したとでも思ってるのか?
バカかよ。
「ホント、いらつくな。オマエ」
ボクの言葉に
「言葉が荒いな。余裕が無いのか?」
全く焦りの無い、桜田の声。
アイツはボクの怒りを無視して、またボウガンを創った。
……それでイライラが最高潮に達する。
ボクは
「もう死ね! 不愉快だ!」
そう吐き捨てて
異空間転移プラスを発動させる。
……向こうに行って、コイツの影にありったけの攻撃を叩き込んでやる。
コイツは向こうでは動けないから、回避は出来ない。
その状態でこっちに戻れば、その瞬間、ボクの攻撃の集中打を受ける形になる。
そうすれば、死ぬか瀕死の重傷だ。
ほぼ、勝負あり。
それを残り2回繰り返すだけでボクの勝ち。
それはあっけな過ぎて面白くないし。
ボクの溜飲も下がらないから敢えてしなかったことだけど。
もういいや。
やっちゃおう。
そして、ボクの意志に従い、空間がさらに深く凍り……
同時に
……桜田の方から、矢が飛んできたんだ!
え……?
あまりのことに驚いて、避けられず。
ボクは肩を射貫かれた。
「ギャアアッ!」
激痛。
痛い!
……何で!?
なんで……?
「……上手く行ったみたいだ。仮説でも踏み込まないといけないことってあるよな。やっぱ……!」
桜田は、震えていた。
だが、それは怯えじゃない。
……武者震い……!
「すごい! 桜田君! 何で当たったの!?」
「これは一体どういうわけっすか!?」
こいつらまで……!
どうしてこいつら、このボクだけが入れる空間に踏み込んで来れたんだよ!?
どういうことだってばよ!?
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