第80話 超越者
「今度はこっちから行くよッ!」
ムゲンソルジャーは右手をビャッと手刀の形で振るう。
それに合わさる形で、水の刃が俺に向かって放たれる。
水の攻撃。
水だから……土剋水!
俺は土属性を発動させつつ回避行動を取る。
瞬時に俺のスーツが輝いて黄金色に変わり、剣と翼が消え。
選択肢にケンタウロスモードが脳内で加わった。
そして脳内アナウンス。
特殊能力:生命体創造
使用武器:弓類
弓類か……
会長は大弓を使っていたけど。
俺は……
これなら使用の難易度は低いハズ、というイメージで。
俺はボウガンをイメージする。
するとそれに応える形で、俺の手の中にボウガンが出現。
躊躇わず俺はボウガンを構えて。
即座にムゲンソルジャー目掛けて矢を打ち込んだ。
だけど不動のムゲンソルジャーの
「無駄」
その一言で風が起き、俺の矢を拭き散らしてしまう。
木属性の力で、風を起こしたのか……。
俺の一撃を防ぎ、勝ち誇るように
「馬鹿どもがッ!」
ムゲンソルジャーは嗤う。
「ちょっと揶揄われたくらいでマジになりやがって! 黙っていれば穏やかに暮らせたものをッ!」
黙って玩具として、与えられたシチュに期待される振る舞いを返していれば、生かしておいてやったのに。
そう言いたいのか。
……ふざけんな。
「お前の気まぐれな娯楽の登場人物だなんて、そんな人生願い下げなんだよッ!」
俺の言葉に
「それはッ! アンタが『面白そうだから不幸にしてやろう』って思っただけで、あっけなく吹っ飛ぶ人生を受け入れろってことよねッ! 冗談じゃないわッ!」
笹谷が加わり
「馬鹿にするのもいい加減にするッス! どうせ……」
さらに高瀬が言った一言が
「オマエの世界でオマエなんか……雑魚なんスよね!」
ムゲンソルジャーに突き刺さったようだ。
「アアアアアアアッ!?」
……ムゲンソルジャーが明らかに、発狂した声を発した。
「$%#! &&&&$¥ッ!」
……聞きとれない言葉。
図星だったんだ……
自分の世界で超越者になれないから、低次元の世界に降りて来て、神か悪魔の役割になりきって愉しむなんて。
……すっげぇ、下らねえ奴……
高瀬はいじめを受けていた。
だから肌で分かったんだろう……
こういうことを嬉々としてやる奴は、どうせそういうヤツだって。
ひとしきり聞き取れない音で喚き散らした後、ムゲンソルジャーは
「……後悔させてやるッ! 良いかッ!? 悪かった、許してくれと言えば許してやるよッ!」
激しい怒りと憎悪を隠さずに
「ただしッ!」
暗い残虐な響きの声で
「その引き換えに、お前らの家族は1人残らず皆殺しだッ!」
……そんなことを言い放ったんだ。
逆セリエAで、俺TUEEEEをしに来ただけなのに、ヒデエ言われよう(お
読んでいただき感謝です。
ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。
(反響を実感できるのは書き手の喜びです)




