第70話 黒の金
「へぇ、先に変身して現れるなんて」
俺が飛行状態で休日の学校に侵入すると。
会長は校庭の中央で待っていた。
その服装は……制服。
学ランだ。
……会長のこの戦いに掛ける意気込みが伝わって来る。
「それはつまり、僕との勝負は3分掛からずに決着するという意思表示だね」
そう、俺の姿を見つめて語る会長の様子は穏やかだ。
俺を甘く見るなとか、後悔するよとか。
余計な言葉は発しない。
「……だったら、僕も君の意志に合わせないのは無粋だ。……行くよ!」
時間稼ぎはしないということか。
会長は左手に巻いたヒーローブレスを示すポーズをとった。
縦に構えた左腕に右腕をクロスさせる。
……マスクドファイターカープの変身ポーズだ。
会長が俺の希望通り、カープを見てくれたのは嬉しかった。
ちゃんと、俺に勝った後のことを考えてくれたんだな。
そして会長のヒーローブレスを目にしたとき。
内心、少しだけ予想していたことが実現していたことに驚いた。
……会長のヒーローブレスは
金色と……黒色のカラーリングだったんだ。
2つのヒーローブレスの融合……
もしかしたら、自分で使うつもりでヒーローブレスを2つ以上保持したとき。
複数のヒーローブレスが、使いやすくなるように1つにまとまったりしないだろうか……?
そう、思っていたんだ。
なので実は、以前の須藤戦のとき。
俺は高瀬にヒーローブレスの所有権を引き渡すことに不安が少しだけあったんだよな。
……笹谷のヒーローブレスと合体したりしないかな、って。
「変身!」
黄金の輝き。
光が消えた後、会長は黄金の戦士に変身していた。
土属性の戦士……!
「さあ、戦おうか」
そして会長は
左手に黄金の大弓を出現させ
……その下半身を馬に変えたんだ。
ケンタウロス。
会長の姿はそれで。
高速で走りつつ、弓で俺を射てくる。
まるっきり流鏑馬だ。
飛行状態の俺は、回避は出来たが。
余裕は無かった。
会長は俺との距離を取る方向に走りつつ、正確な矢を放つ。
「どうした!? 避けてるだけでは、先に制限時間が来るのは君だぞ!?」
俺を揺さぶるためか、制限時間を持ち出して来る。
俺は
「流石ですね! 武道館で会長の弓技を見たとき、震えました!」
回避しながら胸の内を告白する。
「そいつは光栄だよ!」
だけど、会長の弓の正確さは揺るがない。
動揺なんて一切ない。
俺は本心を口にしているけど。
それで会長の集中力が乱れることも期待してる。
俺は会話を続けた。
「会長が弓をはじめたのは何故ですか!?」
俺は父さんの最期に納得できなくて、もし自分の目の前にどうしようもなく悪いヤツが現れたときに問題なく倒せるように。
そう、子供のころに思い、剣道をはじめた。
自己分析で、そう判断している。
会長の場合は一体何なのか
「弓を引いて的に向かっている間は、この世の理不尽に対する怒りや悔しさを忘れていられた! だから打ち込んだんだ!」
……そうか。
会長もそうだったんだ。
俺は、矢を回避しつつ、剣で打ち落とし
こう言ったんだ。
「会長も俺と同じだったんですね」
……会長から。
俺に対する困惑が伝わって来た。
アメイジング!
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