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ヒーローブレス!~謎の紳士に変身アイテムを貰った俺は、普通の人を守るための戦いに身を投じるが~  作者: XX
第4章:血塗られた玄武

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第61話 死刑囚の末路

「クソッ! 畜生! 解きやがれッ!」


 佐藤は喚きながら、酸を使って拘束金属を溶かそうとした。

 高瀬が溶かせないと言ったのに。


 ……一応、溶けてはいるのかもしれない。

 塩酸や、王水は金属を溶かすはずだしな。


 だけど……


 高瀬はおそらく、溶けた端から金属の再創造で修復してるんだろう。

 だからこその「溶かせない」


 そして高瀬は佐藤の後ろに居るので、見えないから酸攻撃を浴びることがない。


 ……完封。


 無論俺も、酸を浴びないようにとっとと後ろに移動してる。


 金属で縛られているので、佐藤は後ろを向くことが困難だ。


 ……勝った!


「諦めて変身を解いて、ヒーローブレスを外せよオッサン!」


「このまま待ってても、オジサンの変身限界が先に来ますから、粘るだけ無駄っすよ!」


 少し離れた後ろから酸を警戒しつつ、佐藤に武装解除を促す。


 諦めて俺たちの言葉を受け入れて、佐藤が変身を解いたら、俺がアイツの左手のヒーローブレスを外す。

 そういう計画なんだけど。


 ……佐藤は従わなかった。


 というより……


「クソがッ! ボケがッ!」


 ……俺たちの話を聞いていなかった。

 怒りのままに、自分の不遇を呪詛した。


 呪詛して、それを世界に他責した。


「なんでいつも周囲が俺を寄ってたかって嵌めるんだッ!?」


 ……とても大人の男の態度じゃ無い。


「いつもそうだッ! あのときもッ!」


 そして。

 佐藤が続けた世界への他責。


 それは……


「女1匹を殺しただけじゃ不安だから、子供も追加しておけばちょうど良く無期懲役になると思ったのにッ!」


 あのときのことに。


「わけわかんねぇ男が乱入して来て俺の腕を折りやがって!」


 ……父さんのことに及んだ。

 コイツの中では、自分に非は無く。


「それにムカつき過ぎて思わず殺してしまっただけなのに! アイツが悪いのに!」


 全ては可哀想な俺を邪魔したのが原因で。


「そのせいで無期懲役が死刑って何だよ!?」


 自分の死刑判決は、全部父さんのせいらしい。


「何で俺はこんなに世界に虐められるんだぁぁぁッ!?」


 そしてとことん不運な自分は、世界の最大の被害者。


 ……もういい。

 黙れ。


 聞くに堪えないコイツの妄言。


 ……こいつに全力全開で超高熱を浴びせれば。

 ひょっとしたら意識を刈り取ることはできるかもしれないな。


 もしそうなら、コイツを黙らせれる。


 俺はそう思い、再変身を検討しようとした。

 そのときだった。


 変化が起きた。

 コイツの周囲の空気が青く色づき、青い肌の1つ目巨人の姿になって実体化したんだ。

 エアーギガンテス……


 エアーギガンテスは佐藤を抱え込む。

 有無を言わさず、一方的に。


「うおおっ!?」


 そしてそのまま……

 俺たちが見ている前で天高く舞い上がっていく。


「なっ、なっ、なっ、なっ……!」


 佐藤もついていけていない。

 自分が何をされているのか。


 そして佐藤が、十数メートルの高さにまでエアーギガンテスと共に舞い上がったとき。


 1本の矢が飛来し、佐藤の頭を正面から貫いた。

 まるで一条の光の如く。

 変身体の、ヘルメットの意味を完全無視して。


 その瞬間、佐藤の変身が解除された。

 生身に戻った佐藤は……


 目を見開いて、絶命していた。

 額に1本の矢を生やした状態で。


 エアーギガンテスはそんな佐藤の左手を咥えて、噛みちぎった。


 その、左手を失った佐藤の死体。

 それが空気の巨人に、ゴミのように放り出された。

 そのまま落下していく。

 そしてドシャッと俺たちの前に落ちて、投げ出される。


 死んだ佐藤は、まるっきし壊れた人形を思わせた。

 手や足に、もはや何の意志も感じられない。


 抜け殻だ。


 エアーギガンテスはそれを一瞥し、口を動かし。

 器用にブレスだけ取り外し。


 残った左手首を吐き出し投げ捨てて。


 去って行った……


 おそらく、西下会長の下に……


 俺たちは……

 あまりの出来事に、全く何も出来なかった。


 動けなかったんだ……!

会長の武器は「弓」

事前に書くべきではあるんですが、戦うシーンが無かったからねぇ


読んでいただき感謝です。

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