表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
54/88

第54話 自炊仲間

 結局、その異空間転移では。

 停止した世界でたった1人動いている存在は見つからなかった。


 どうすれば良いんだ……?

 会長が仲間に入って、最後の1人が本当に死刑囚であることが確定した。


 そうなって来ると……恐怖しかない。


 刑務所を駆け込み寺か何かだと勘違いできるような、倫理観と正義感が終わってるクズが、ヒーローブレスを手に入れた。

 何をするのか……?


 銀行で金を奪って、飲み屋やその手の店で豪遊するくらいならまだマシだ。


 最悪なのは……通りすがりの美人な女性を異空間に引きずり込んで強姦する。

 絶対にやるだろう。


 同性愛者でない限り、人間性がクズだったら絶対にする。

 しない理由が無い。

 特に刑務所は女性が居ないだろうし……


 高瀬や笹谷はブレスを持ってるから対抗できるけど……


 俺の頭の中で、母さんが犠牲になる想像が起きそうになり、慌てて打ち消した。




 その日は笹谷が部活で。

 高瀬も図書委員。


 俺は俺で、今日はスーパーのタイムセールに行かなければならないという重要な使命があったので。

 急いで帰宅して、エコバックを持ってスーパーに突撃したんだ。


 ……ブレスを持った死刑囚も重大な問題だけど。

 俺も日々の生活があるからね。


 食用油が4時から半額で売られるんだよ。

 これを逃すわけにはいかんのだ。


 俺の行きつけの激安スーパー「YASKAロウズ」

 ここは野菜が古くて、魚も古い。

 ……その代わりすごく安い。


 正直さ、食材は古くても栄養素は変わらんからさ。

 そこは拘るべきじゃないと思うんだよね。

 俺は


 入店し、買い物かごに安い野菜を数個放り込んだ。

 100円切ってたから、思わず。


 ……だけど、食用油のことを思いだし、売り場に直行。

 今はタイムセールが始まって10分経ってるから。

 どのくらい残ってるだろうか?


 行ってみると、対象の食用油1000gが残り数個になっていた。

 危ねえ!


 駆け付けて、食用油のボトルを掴んだ。


 ……そしてほぼ同時に、その隣のボトルを別の手が掴んだ。


 その手は……


 西下会長だった。


「えっ」


「桜田君。君もなのかい?」


 意外な場所で、意外な人に出会った気分だった。




「……なるほど。君も自炊してるんだね」


 買い物を一通り済ませ。

 店の外の自販機の前で、缶コーヒーを飲みながら会長と話す。


「ええ。ウチは母子家庭でして」


 大変ですよ、という顔で俺は告白。

 会長は


「僕のところは父子家庭でね。母が居ないので僕がやるしか無いんだ。……父はちょっと忙しい男だからさ」


 そんなことを困ったような笑顔で告白。


 そっか……

 何で父子家庭なんだろうか……


 離婚かなぁ……?

 まぁ、訊かれたくないだろうから、突っ込むのは止めておく。


「僕は1人分だからね。数日おきに野菜のごった煮を作っておいて、それを冷蔵庫で保管するんだ。……君は?」


「一応、母が帰ってから食べるので、毎日作ってますね。……煮物を」


 煮物。

 失敗が少ないし、煮てる間に別の事が出来るから選びがち。


「色々面白いよね。料理は」


「そっすねえ」


 そこで俺は。

 同じ苦労を背負うものとして、会長の言葉に同意して笑みを浮かべたんだ。

日常パート?


読んでいただき感謝です。

ここまでの物語が面白いと思って下さった方、是非評価、ブクマ、感想等をお願い致します。

(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
感想をいただけましたら必ず返信致します。
些細な感想でも頂けましたら嬉しいです。
ブクマ、評価、いいね等、いただけましたら感謝致します。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ