第52話 黄金の戦士
「ハーピー!」
校庭上空を飛び去りつつあるモンスターに。
高瀬が反応して一瞬躊躇するけど
「変身!」
適当な変身コールをし、高瀬はタイガーソルジャーに変身し。
スッと手を上に伸ばし
その手のひらの上に、金属のブーメランを出現させる。
「いっけー!」
グルグル高速回転するその金属のブーメランを打ち出して、ハーピーを攻撃。
その攻撃に合わせて、俺たちも飛び出した。
「ファルコンソルジャー!」
「ドラゴンソルジャー!」
俺たちは飛行能力があるので、変身後そのまま外にダイブする。
そしてハーピーに斬り掛った。
ピイイイ!
俺たちの攻撃にハーピーたちは逃げ惑う。
弱者のムーブ。
立ち向かって来ないんだ。
……違和感を感じる。
妖怪たちなら、必ず俺たちを見たら襲ってくるのに。
困惑はあったが。
倒さない理由にはならないので、俺はハーピーの内の1匹を斬り捨てる。
袈裟で肩から斜めに斬り捨てられ、ハーピーが粒子になって消滅する。
……妖怪と一緒だな。
そう思いつつ、次のハーピーを退治しようとしたとき
「ちょっと待ってくれ!」
突如、地上から声が掛かったんだ。
見下ろすと、そこには。
黄金の戦士が立っていた。
全体的なフォルムは俺たちと一緒。
いかにも戦隊ヒーロー。
ということは……
4人目の戦士か!
俺は
「アンタ誰だよ!? 死刑囚か!?」
返答は期待してなかったけど。
そう言葉を投げた。
ある意味投げっぱなしの言葉。
だけど
次の瞬間、黄金の戦士は変身を解いたんだ。
そこにいたのは……
「えっ」
俺と同様、飛行状態で空中にいた高瀬も驚きの声をあげた。
黄金の戦士の変身解除後のその姿が
眼鏡を掛けた知的な文武両道男子。
西下会長だったからだ。
会長の変身解除に応じて。
俺たちも着地して、変身を解く。
「会長!」
解除後俺が発した言葉。
向こうは
「君は……桜田君、だっけ……?」
覚えていてくれた!
少し嬉しい。
「生徒会長が4人目……?」
笹谷の呟くような言葉。
……いや、5人目だと思うぞ。
4人目はおそらく脱獄死刑囚なんだから。
その後、駆け付けて来た高瀬を交え。
異空間転移で停止状態になってる校庭で、俺たちは自己紹介混じりの会話をした。
どういう経緯でブレスを得たのか。
今まで何をしてきたのか。
西下会長は
「僕は佐藤という死刑囚がこれと同じものを持っているから、止めてくれないかと言われてコレを渡された」
言って、左手首の金のヒーローブレスを示してくれる。
西下先輩は正義のためにこれを使えって言われたんだな……
俺と笹谷と同じように。
でも
「このブレスを配ってる奴は……」
俺がそこで自己の経験から来る推測を口しようとした。
だけど、そうする前に。
「多分、良い奴では無いね」
先輩は先に、俺が辿り着いた見解と同じことを口にしたんだ。
会長の仲間入り。
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