第45話 スポーツジム
「それでは皆さん、ご案内しますね~」
今日は緋色市市民スポーツ交流センター……ぶっちゃけると、市営のスポーツジムにやって来た。
……俺1人じゃないぞ?
笹谷と高瀬も一緒だ。
笹谷はピンクのジャージ。
高瀬は黒いジャージ。
そして俺は青。
3人で、初回者講習を受けに来たんだ。
このスポーツジム、会員登録は中学生以上なら誰でもできるんだけど、自由に使う前に、使い方に関する講習を受ける必要があり……
その講習を、これから受けるんだ。
何でこんなことをしに来たかと言うと、高瀬のためなんだよな。
彼女、インドアで運動習慣無いから、俺らと比較してあまりにも体力が無いので。
彼女もヒーローブレスを手に入れて、これからヒーロー活動の一員に加わる以上、ある程度の基礎体力は要るだろ。
だからその向上に、ここで頑張るかという話になった。
俺らに付き合わせると、多分彼女は付いてこれずに脱落するから。
ジムでやった方が良いよ。絶対。
多分、自分のペースでやれるしな。
「筋トレのアニメは視聴したことがあるので、どういうものかは知ってますよォ。頑張って肉体改造をしますよー」
「私も身体能力スペック向上を目指したいな。一緒に人類の限界を目指そうよ!」
高瀬と笹谷がお喋りしてる。
そして
施設職員のお姉さんが、俺たち3人をマシンジムスペースに案内してくれる。
ジムスペースの中には複数台のランニングマシン、エアロバイク、各種ウエイトトレーニングマシン。
あと、ダンベルやバーベルを使う、筋トレといえば真っ先に誰もが想像するフリーウエイトがある。
「ダイエット目的なら、エアロバイクが良いですよ。単調で飽きやすいんで、そこがネックですが」
お姉さんの説明。
各種マシンの使い方。
そして
「スミスベンチを使用する場合は、必ず壁のホワイトボードに自分の番号を書いて下さいね。後ストップウオッチで20分を計測してください」
使用時のマナー、危険性について、特に念入りに教えられたのはベンチだった。
何でも、人気が集中してて、トラブルが起きやすいらしい。
……うん。そうかな。
現に今、使ってる人が居て。
その人の番号の下に、3つも別の番号書いてあるし。
現在の番号が52番で、今ベンチ台を使用しているのは……
俺らと同じくらいの年齢の眼鏡男子。
……って。
西下会長じゃん!
「こんにちは会長」
……この人には恩があるしな。
一目置いてる部分もあるけど。
スミスベンチが最後の説明だったので、終わってすぐに俺はそう挨拶をした。
最初会長はトレーニングに夢中で気づいてなかったんだけど
「えっと、君は」
俺に気づいて、バーを上まで押し上げて、それをフックに引っ掛けてこっちに視線を向けて来る。
……ひょっとして邪魔してしまったか?
悪いことをしたなと思いつつ
「すみません桜田です。会長もトレーニングですか?」
俺がそう問うと会長は
「……ああ。なんだかんだ言って、ちょっとだけ費用が要るけど、一番効率良い運動の仕方はやっぱこれだからね」
そう言って、爽やかに笑ったんだ。
流れる汗を持参してきたタオルで拭き取りつつ。
お願いマッスル!
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