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第29話 父さんは何故死んだのか

 自分の部屋に戻って、俺は考える。

 何で父さんは刃物を持った相手に立ち向かったのか?


 自分なら勝てると思ったのかな……?


 ベッドに横になり、そんなことを思い。

 天井を見つめていた。


 だったら、腕をへし折った後に、何で追撃を入れなかったんだろうか?

 剣道や、剣術の世界には残心って言葉があるけど。


 伝統空手にだって、あるだろそんなの。

 武術の必須概念のはずだ。


 敵を倒しても、勝ったと思ってるのは自分だけ。

 負けたように見える敵が、反撃の一撃を狙ってるかもしれないと考える。

 基本中の基本。


 父さんの振る舞いには、その残心が感じられない。

 相手の腕を蹴りでへし折った時点で、敵への警戒を解いてしまったんだ。


 そんなの……素人だろ。


 なんでそんなことをしたんだ……?

 自分は最強だから、蹴り一発で全て解決すると考えた……?


 いや……


 多分違うな。


 そこで俺は、思考が父さんを卑下する方向に向かいかけたとき。


 ふと思い出したんだ。


 笹谷のことを。


 ……笹谷は。

 あの謎の男にヒーローブレスを貰ったとき。


 それがあれば俺と一緒に戦えると言われたらしい。

 それが理由で参戦したって言ってた。


 ……当たり前だけど、笹谷はバトルマニアじゃない。

 もしそうなら、格闘技か薙刀や剣道、そういうスポーツに興味持って、やってると思う。

 一応俺たちの高校にはそういうのが全部あるから。


 だから戦いに飛び込んだのは俺のためなんだ。

 そして前も言ったけど、そんな選択をした理由は……


 戦う力を手にしたのに、自分が恩義を感じているはずの俺の状況を知らんぷりする。

 そんな構図を客観的に見た場合に、自分が許せなくなる。


 そういうことだと思う。


 だから多分……父さんもそれと同じだ。


 目の前で親子連れの子供までもが犯人の凶刃に掛かることを見過ごせば、子供の父親として我が子に顔向けできない。

 おそらく、そうなんじゃないかな。


 だから助けることがまず頭にあって、通り魔を倒すのは2の次だったんだ。


 ……父さんに助けられた男の子。


 その後、無事に成長できたのかな……?

 母さんにそのことを確認したら、敢えて全く調べていないって言ってたんだよ。


 調べてしまって面識を持ってしまうと、ウチの家にも相手の家にも、幸せな結果は生まないからと。

 相手には感謝の強制と、父さんという犠牲を出してしまった罪悪感の切っ掛けになってしまうかもしれないし。

 ウチの家はウチの家で、男の子と交流することで、いつまでも事件から立ち直れない理由になる可能性があるから。


 それに関しても納得なんだよな……

 知らない方が良いことはやっぱあるはず……


 そんなことを考えて、これまでの俺の人生で引っ掛かっていたものが消え失せたように感じ。

 ある種の清々しさのようなものを感じていたとき。


 突然だった。


 いきなり「ギチッ」という音の無い音がして。


 異空間転移が起きたんだ。

すぐには答えに辿り着けない疑問。


読んでいただき感謝です。

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(反響を実感できるのは書き手の喜びです)

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