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ヒーローブレス!~謎の紳士に変身アイテムを貰った俺は、普通の人を守るための戦いに身を投じるが~  作者: XX
第2章 青い竜

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第23話 ヒーロー2人

「あの先生が交代したとき、女の子の家の家庭だけに真相……懲戒免職が連絡されたの。いや、保護者が女の子だけに教えたのかもしれない」


 笹谷の話はこうだった。


 あの中年男性教師、クラスの女子で可愛いと感じた子を密室に連れ込んで


「他言したら成績を下げるぞ」


 って言って脅し、裸にしたり体を触ったりしたんだそうだ。

 でもその重ねた悪行があるとき発覚し、御用となった。


 で、懲戒免職。

 その後刑務所にも送られたんだろうけどな。


 悪は裁かれたのか。

 ざまぁ、だな。


 ……被害を受けた女子は気の毒ってもんじゃないけど。


 俺が笹谷の話に、そんな感想を持っていると。


「でね……」


 笹谷はさらに続けたんだ。

 こんな……


「私も実は、被害に遭いそうになったんだよ……」


 衝撃的な内容を。


 えっ……!?


 ギョッとするというか。

 なった、だから未遂なのか。


 良かったな……


 俺はそう思ったんだけど


 笹谷は俺を見つめて


「私が助かったのは、桜田君のお陰なんだよ?」


 そんなことを言い出して。

 俺は困惑した。


 ……そうなの?


 俺、覚えて無いんだけど……?




「……覚えて無いんだ……? すごいね」


 フ……と笹谷は笑って。

 こう言った。


「私、あの先生嫌いだった。心にもないことばかり口にして、自分こそ正しくて賢いんだ、って主張してて」


 大嫌いだったよ。

 そう言って。


「でね、あるとき……」


 バスケットボールの籠を、自分と一緒に用具室に運んでくれと頼まれた。

 体育の授業が終わり、皆が体育館から引き揚げているときに頼まれたらしい。


 先生1人でやればいいじゃない、と思ったけど。

 何だか、言えない雰囲気があったんだそうだ。


 ……ひょっとすると。

 そういう性犯罪者は犠牲者のそんな自己防衛本能を封じてしまう何かを持っているのかもしれないな。


 で、困っていたら


 俺が


「せんせー。バスケットボールを片付けますね」


 そんなことを言って、籠を勝手に用具室に持って行ったんだそうだ。

 そのお陰で笹谷は、その変質者と用具室で2人きりになる状況を回避できたらしい。


 ……俺、何を思ってそんなことをしたんだ?

 あの教師にムカついてて、企みを肌で察知して潰してやろうとしたのか……?


 まぁ、何にせよ。

 俺は全く覚えていなかった。


「悪い、全く覚えて無い」


 正直に返した。

 すると笹谷は俯いたまま


「桜田君はいつもそう。……人助けを積極的にするくせに、すぐ忘れる。多分、息をするようにしちゃうんだね。……何でだか分かんないけど」


 なんか、楽しそう……いや嬉しそうな口調でそう呟いて


 笹谷は


 顔を上げて真っ直ぐに俺を見て


「……私は典型的紳士って言っていい男性に、この青いヒーローブレスを貰ったんだ」


 笹谷もあの男に会ったのか。

 思い起こす。

 あの謎の紳士服。


 何を思って、これを配ってるんだろう……?


 そう思い、自分の赤のヒーローブレスに視線を落とす。

 そこに笹谷は


「これを使えば、キミが一番助けたい人間のパートナーになれる。そう言われたわ」


 そう、告白したんだ。


 俺はその言葉に、笹谷に視線を向けてしまう。

 笹谷が一番助けたい人間……それが俺ってことなのか?


 俺の視線を受けて彼女は


 全く目を逸らさず、堂々と


「私はあなたを助けるためにヒーローブレスを受け取ったのッ!」


 否定を許さない声音で


「だからこれは絶対に渡さないよ! 例え、あなたでもね!」


 その言葉に、俺は


「……分かったよ。それを取り上げようとして、悪かった」


 そう言って回れ右。

 体育館に向かって歩き出したんだ。

 列に戻らないとな。


 ……笹谷がついてきている気配がない。


 振り返ると、笹谷は俺に驚きの目を向けてて。


 俺は


「……ここで異空間転移を解除すると、まずいだろ。戻らなきゃだめじゃん」


 そう当たり前のことを言った。

 すると彼女はパアア、と明るい表情をして


「うん!」


 そう言って、俺を走って追いかけて来たんだ。

笹谷が仲間入り。

ここで第2章終了。

次回から第3章です。


読んでいただき感謝です。

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