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ヒーローブレス!~謎の紳士に変身アイテムを貰った俺は、普通の人を守るための戦いに身を投じるが~  作者: XX
第2章 青い竜

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第22話 ドラゴンソルジャーの正体は

「……アハハ。バレちゃった。隠し通そうと思ったのに」


 笹谷はそう言って困ったように笑った。

 俺の前で立っている、夏服セーラー服のクラスメイト。


 その左手首には、青い色のヒーローブレスが巻かれている。


「……なんで笹谷がドラゴンソルジャーやってるんだ?」


 俺は驚きのあまり、そう訊ねていた。


 俺の中では、笹谷は妖怪から守る対象。

 世界の裏の恐怖を知らず、日常を享受する普通の人だったんだよ。


 だから戸惑いと……

 危機感があった。


 それは……


 俺は俺も変身を解き、右手を差し出した。

 そして言ったんだ。


「笹谷。……ヒーローブレスを俺に譲ってくれ」




「え……何で?」


 俺の言葉に、笹谷は困惑した表情を浮かべた。

 俺は


「俺は笹谷を戦える人間だとは思ってない。守らないといけない人だと思ってる」


 そう言って


「ヒーローブレスが2つあれば、多分変身時間を合計6分に出来るはずだ。無駄じゃ無いんだ。頼む」


 さらに強く頼んだ。


 ……妖怪と戦うなんて、女の子は別にやりたくないだろ。

 男は戦うのが好きなヤツ多いし、ノリでやってしまうヤツは結構いると思うけど。


 何が切欠で笹谷がこの世界に身を投じようとしたのか知らないけど、女の子は本来ここにいるべきじゃない。


 そう思った。

 本気で。


 だけど


「……嫌。絶対嫌」


 笹谷は。

 俺から目を逸らし、自分のヒーローブレスを隠すように左手首を握る。


「何でだよ!? 戦わなくていいって言ってるんだぞ!?」


 俺の強い調子にも、笹谷はダンマリだ。


 そこに俺は


「友達を守りたいから俺は言ってるんだ!」


 さらに畳みかけるようにヒーローブレスの引き渡しを呼び掛けたんだ。

 笹谷に。


 すると


「……友達を守りたいのは私も一緒だよ」


 そう、返して来た。


 その言葉には、無視できない気持ちが籠っていた。

 俺が追撃の手を止めると。


 俺を見て、笹谷が言ってくれた。


「……小学校のとき、担任教師が急に変わったことあったじゃん?」


 遠い昔の話を。


 そういえばあったっけ。

 確か……


 あの、俺の父親を犬死したと評価した教師だ。

 あの担任、後で母さんにその発言を糾弾されたんだけど。


「証言だけではコソ泥1人捕まえられない。法治国家ってご存じですか?」


 ……その1点張りでその場を乗り切った。

 あの場に居たクラスメイトも、犬死の意味を知らなくて。

 知らないからすぐに忘れて。


 俺しか証言しないなら、証拠がない。


 そう言って乗り切ったんだ。


 ……でも


 理由は分からないけど、その後すぐくらいに担任が代わったんだ。

 その中年男性教師から、定年間近のベテラン女性教師に。


 ……その後は天国だったよな。

 代わった先生は優しくて、思いやりがあって。

 少し、思い出して和んだ。


 で


「ああ、あったな。交代後の先生は良い先生だった」


 俺がそう、そのまま思い出話をする勢いで返したら。


「……問題はそこじゃないんだよ」


 そして笹谷は少し、嫌そうな顔をした。

 何か嫌なことなのか?

 そう思っていたら


 笹谷はそんな嫌そうな顔で


「あの先生が何で交代したと言うか……懲戒免職になったのかを知らないのか……桜田君は」


 俺が知らないことを言ったんだ。


 懲戒免職。


 俺は知らなかったので驚いた。

 あの教師が何で交代したのか。


 嫌いな奴がいなくなったからラッキー。

 それで終わってたんだよ。


 まさか懲戒免職だったなんて。

 一体、何をやったんだ? アイツ……?


 だけど。


 笹谷が続けて言ったことは。

 俺にはそれ以上に衝撃的だった。


 なんと……あのクズ教師は


「あの先生ね……受け持ちクラスの女生徒に痴漢をしてたんだよ!」


 だったらしい。


 笹谷は俺にそう教えてくれた。

 あのとき……周囲で俺が聞かされなかった真実を。

まあ、軽々しく他人の死を犬死なんて言うヤツなんでね。

ろくなやつじゃないわな。


読んでいただき感謝です。

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