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第12話 謎の扉

第12話 謎の扉



未登録の洞窟へのアタックも、日数を重ねる毎に天雷のメンバーの動きも変わっていき、以前とは比較できないほどに戦えるようになってきていた。

今現在としては、天雷の底上げを実行しつつ、最初のフロアのマッピングもそろそろ終わろうとしている。


今も、天雷のメンバーが主体で魔物の集団と戦闘を行っているが、ロイたちが見ていても不安は感じないような安定した戦いだ。

魔物の群れが襲撃してきても、バレットが先陣を切って突撃し、それに続いてアルテリオとガルマールが左右からの追撃すると、その間を縫うようにチェルシーの魔法攻撃が打ち出され、魔物の群れはその段階で壊滅的なダメージを受ける。

そこからは、四人がそれぞれにサポートしながら展開し、敵を各個撃破していくような戦法となっていた。

もちろん、その総指揮はカノンが執り、セレスティーナがサポートに入る。

この戦法での戦闘を繰り返すことで、連携時や攻撃をするときに相手の動きも肌で感じることができるようになったし、襲撃してくる魔物の種類によって先陣を切るメンバーを変更することもできるようになった。

最後の魔物を斬り倒すと、自分の武器を腰に戻しながらバイオレットが話す。


「ふぅ。もうこれぐらいの敵なら、問題無く倒せるようになったにゃ」

「あぁ、そうだな。俺もそう思う。とは言え、まだまだ油断は禁物だぜ?」

「でも、初日と比べたら雲泥の差なの」


ちょっとした余裕を見せるバイオレットにカノンが釘を刺すのだが、チェルシーが言うように、この未登録の洞窟へアタックした初日と比べれば、全くの別物になっているのも確かだった。

それは素直に喜んでもいいだろうと思っていると、カノンたちの後方から魔物の咆哮が聞こえてくる。


「チビ様! 後方から魔物です! 数は多数! 魔法力を感じないので、引き続きバイオレットからの先陣で進めます! バイオレット! 準備は良いですか!?」

「当然だぞっ!! 任せるにゃ!!」


セレスティーナからの指示が飛ぶと、バイオレットが武器を手に魔物の方へと駆け出し、アルテリオとガルマール、チェルシーがその後に続いていく。

更に距離を置いてカノンとセレスティーナが駆け出すと、先行したバイオレットが魔物への先制攻撃を仕掛けているところだった。


「チビ兄ぃ! 熊の魔物が五体と、何かのキメラが三体にゃっ!! だけど、一番奥に牛の魔物二体は初見だぞっ!!」

「よし! まずはさっきと同じ陣形で行くぞっ!! 牛の魔物に警戒しつつ、他の奴から殲滅しろ!!」


カノンの声と共に、バイオレットの剣が正面の熊の魔物を仕留めると、残りの熊の魔物をそのままに、足を止めること無く次に迫るキメラへの攻撃に移る。

バイオレットに突破された熊の魔物は条件反射的にバイオレットを追おうとするが、チェルシーの放つ光の槍の魔法に射抜かれていき、大きなダメージを受けると共に追撃して来たアルテリオとガルマールによって僅かの時間で殲滅させられた。

しかし、さすがのバイオレットもキメラだけは一撃の元に葬れなかったため、その場に足を止めての攻防を繰り広げている。


「奥の牛が来るぞ!! その前にこいつらの始末だ! セレス! 俺たちも援護に入るぞ!」

「チビ様! 承知しました!」


そして、キメラ三体に対し、一歩離れて魔法による援護をしていたチェルシーの両脇をすり抜けるように、カノンとセレスティーナが駆け抜けると、まずは斬り込み隊長であるバイオレットが相手をしているキメラの群れへと向かう。

三人でキメラを一体討伐すると、カノンとセレスティーナはそこから二手に分かれてアルテリオとガルマールの援護をしつつ、残りのキメラの討伐に回る。


「バレット! チェリー! ここは俺たちに任せて先行しろ! だが、深追いはすんなよ!!」

「了解にゃっ、チビ兄ぃ!!」

「分かったよ、チビ兄様!!」


中央に陣取っていたキメラを倒したお陰で、奥から来る牛の魔物への通り道ができた。

そこを抜けるようにバイオレットとチェルシーが飛び出し、牛の魔物へと攻撃を行う。

まるで、小高い丘に向かうような感じがするのは、それほどまでにこの牛の魔物が他の魔物と比べても巨大だからだろう。

しかも、その目を真っ赤に染めた殺意の塊となり、攻撃をしてくるバイオレットとチェルシーを迎え撃とうと突進してくる。

そして、お互いの間合いが一気に詰まると、バイオレットは更に加速して剣を振り上げる。

それと同時に、チェルシーが魔法を放つと無数の光の槍が牛の魔物に着弾し、怯んだ牛の魔物の頭にバイオレットの剣が振り下ろされた。

ところが、剣は牛の魔物の頭に当たってはいるのだが、まるで金属を斬り付けたかのような感覚に、バイオレットが思わず距離を取る。

しかも、よく見るとチェルシーの魔法によるダメージも見受けられない。


「にゃーっ!! こ、こいつ! バカみたいに硬いにゃ! 何でにゃっ!? 一応、この武器は魔法銀製なんだぞっ!?」

「私の魔法も効いてないよ! あいつの魔法耐性が、魔法銀製の武器の攻撃力を上回ってるんだ! でも、チビ兄様たちが来るまでは、私たちだけで持ち堪えなきゃ! 前には出ずに防衛線を張ろう!」

「チェルシー! もう一体もこっちに来るにゃ! って! まずい! 捕捉されたにゃっ!」


攻撃が通らないのは分かっているのだが、何もせずにキメラと戦闘中のカノンたちのところへ牛の魔物を向かわせるわけには行かない。

何とか注意をこちらに向けさせて、引き留めておかなければいけないのだ。

とは言え、一体だけでも面倒なのに、もう一体までこちらに来ていることから、二人は改めて命の危機と言うものを感じていた。

じりじりと距離を詰めてくる牛の魔物に、バイオレットとチェルシーはお互いに背中を合わせて待ち受ける。

そして、近くに寄って来た一体に攻撃を仕掛けるが、剣で斬っても魔法を当てても、牛の魔物の表皮すら傷付けることができていない。

だが、二頭の牛の魔物の歩みは止まることを知らず、二人を押し潰そうと押し寄せてくる。

さすがにこれ以上は無理かと思ったその時、二人の耳に待ち望んでいた声が聞こえてきた。


「バレット! チェリー! 待たせたな! 俺たちと入れ替われっ!!」

「!!!」


その言葉にバイオレットとチェルシーは一旦後退すると、二人の両脇をすり抜けるように、残りのキメラを倒したカノンとセレスティーナが飛び出してきて、牛の魔物との戦闘に入る。

だが、やはりカノンたちの攻撃力でもまだ足りないらしく、思った以上のダメージを与えられないでいるため、再びバイオレットとチェルシーが参戦する。


「くそっ!! こいつら、何でこんなに硬ぇんだよっ!!」

「チビ様! このままでは、敵を倒す前に押し切られてしまいます!」

「仕方ねぇ! アル! ガルム! そっちはまだか? 早ぇとこ終わらして、お前ぇらもこっちに加勢しろ!」

「分かったぜ! チビ兄貴! よしっ!! こっちもやっとこ終わったぜ!」

「よし! ゆくぞ! アルテリオ!」


カノンとセレスティーナ、バイオレットにチェルシーの四人が一体の牛の魔物を相手にしながらカノンが呼び掛けると、熊の魔物を討伐し終えたアルテリオとガルマールが飛び込んでくる。

これで天雷のメンバー全員での対応となったのだが、それでもまだ牛の魔物には届かない。

これ以上無意味な攻撃を仕掛けていても時間の無駄だと判断したカノンは、悔しさ半分で叫んだ。


「すまねぇ!! ロイ!! 出番だ!! ここは頼むっ!!」


すると、その声と同時にカノンたちの背後から三つの影が飛び出してきた。

まず、ロイがハルバードで一体の牛の魔物の動きを止めると、その隣りではセラーナも大剣でもう一体の牛の魔物の動きを止める。

天雷のメンバー六人掛りでも止められなかった牛の魔物を、ロイとセラーナがそれぞれ一体ずつ止めてしまう事実に、カノンたちも驚きを隠せないのだが、更に二人が牛の魔物の動きを止めていると、その間をすり抜けるようにリムが飛び出し、鍔鳴りが聞こえたかと思うと、信じられないことに二体の牛の魔物の首が、ほぼ同時に斬り飛ばされた。

そして、何事も無かったかのように着地したリムが、くるりと後ろを向いてカノンたちの方を向く。


「悔しい気持ちになるのは十分に理解します。ですが、貴方たちはキメラまでは普通に倒せているので、確実に実力の底上げがされていますね。ちなみに、あの牛の魔物は別ものですから気にしないで下さい」

「あのなぁ、そりゃ無理な話だろ。気にしないで下さいって言われた方が気になっちまうぜ?」

「そうにゃ。私たち全員でも止められなかったし、あいつらには刃も魔法も全然通らなかったにゃ」

「それなのに、ロイとセラーナは一人で止めた挙句、リムは抜刀だけで二体を一撃かよ…」

「本当に、どこまで規格外なんです? 貴女がたは…」


リムとしては、先ほどの魔物の集団を見たときに、熊とキメラは上位の魔物ではあるものの、それなりの力さえあれば討伐は無理ではないと感じていた。

だが、奥にいた牛の魔物だけは別格だと分かっていて、カノンたちにもいい機会だと思ったから相手をさせてみたのだが、やはりまだまだ力不足だったようで、カノンたちもそれは理解できているようだった。


「何を言っているんです? 貴方たちはこの域に達するための努力をしているんですよ? それなのに、人をバケモノ呼ばわりするのは酷くありませんか? 未来の自分たちの姿だと言うのに」

「あぁ、いや、申し訳ない。我らも悪意があったわけでは無いのだ。ただ、あまりの力の差を実感したと言うこともあって、あんな物言いになってしまったのだ。他意は無いぞ?」

「まぁ、いいさ。俺たちも似たようなもんだったしな」

「それよりも、今は先に進む方が優先されます。とは言え、せっかくの高級食材を無駄にすることも無いでしょうから、さっさと解体してしまいましょう」


ロイたちにしてみれば、カノンはカイルたちに出会う前の自分たちを見ているのと同じだ。

リアクションですら同じに見えてしまうため、これからどうなって行くのかさえ手に取るように分かってしまう。

そこから思い出話でもしようかと思った矢先、リムがこちらにやって来て、先ほど倒した牛の魔物の解体を手伝えと言ってくる。

実際、冒険者たちは倒した魔物を食料とすることで、攻略中の持ち物を少なくする努力をしているため、魔物でさえ可能な限り美味しく食べられるように務めている。

確かに、命がけで攻略していると言うのに、食べ物が不味ければ頑張ろうと言う気にもならないし、言い換えれば、調理の腕次第で攻略の意気込みが変化すると言っても過言では無いだろう。

当然、ロイたちもそれなりの料理はできるのだが、リムの腕には敵わない。

ちなみに、ドラゴンナイトの中では料理当番はカイルと決まっていたのだが、リムがカイルに師事するようになってからは料理の方もみっちりと指導されてきたため、リムもカイル並みの料理ができるようになっている。

そして、目の前で首を飛ばされた牛の魔物二体は、先ほどリムも言っていたように高級食材として世界各地で流通されているほどのものだ。


「見てください。この肉の塊、すごく大きいですね。これなら十日くらいは食料を気にする必要は無いみたいです。では、ロイとカノン以外は手伝ってください」

「へえへえ。じゃあ、俺たちはマップを元に、次の行き先を決めるとするか」

「あぁ、そうだな」


それから、リムの指示の元で二体の牛の魔物を解体し、食料にして保存していると、ロイとカノンがやってくる。

そして、探索した記録を記した紙を皆に見せるように置くと、ある場所を指差す。


「とりあえず、残りはこの辺りだけだ」

「セラーナの言う下の層、もしくは違うエリアに繋がる何かがあると思うんだ」

「まぁ、その辺も含めて、一旦外に出てメシにしようぜ。チビ兄貴、俺ぁハラが減っちまったよ」


入り口を入ってすぐの階層を踏破するために、次の目的地を決めようと話をしているところで、お腹を摩ったアルテリオが観念したように訴えて来る。

確かに、今日は早目に朝食を食べて、そのまますぐに洞窟に入ると、この時間まで探索を続けていた。

そろそろ外に出て、今日の振り返りをしながら食事でも、と言っている側から先ほどの牛の魔物率いる集団に襲撃されたのだから、とっくにお腹が空き過ぎて限界が訪れていてもおかしくは無い。

ここで無理をしても良い事はないと判断し、カノンが外に出ることに決めると、先ほどまでの戦闘の疲れも見せることなく、全員が軽い足取りで外へと向かうのであった。



=====

==========

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「マジかよ!? なんだ、こいつ!? なんでこんなに美味ぇんだよ??」

「本当ですね。これ、普通に貴族が食べているものよりも高級な食材かも知れません」

「な? 美味いだろ? でもな、これはリムが料理してるから美味いんだぜ? 他の料理人では到底真似すらもできないって言ってたからな」

「へー、凄ぇなぁー。ウチの女連中でも、ここまで美味ぇ料理なんざできねぇぜ?」

「何よ! 戦うこと意外、何もできないクセに!」

「まぁまぁ、良いではないか。今はそんな事を言わずとも、美味い食事を楽しむ方が良いのではないか?」


先ほど倒した牛の魔物を使い、リムが腕を振るった料理を作ると、初めて食べる天雷のメンバーがその驚きの美味しさに舌鼓を打ちつつ、それを切っ掛けとした喧嘩が起きそうになる。

だが、それもガルマールの一言によって回避され、再び全員でリムの美味しい料理を心行くまで味わうことにしたのだった。


「いやぁ、マジで美味かったぜ。それにしても、ドラゴンナイトのメンバーは毎回こんな料理を味わってんのか? 羨ましいぜ」

「一応、誤解の無い様に言っておきますが、私はドラゴンナイトのメンバーではありませんし、料理は私の師であり敬愛するカイル様がお作りになっています」

「はぁ!? リムが作ってるんじゃねぇのかよ!? っつーか、そのカイルってヤツは冒険者なのに料理までプロ並みってぇのが凄ぇな。っつーか、そっちの方がよっぽど似合ってんじゃねぇの?」


アルテリオは特に悪気は無かったのだろうが、リムにしてみれば自分以外がカイルを語ることは許せないことだ。

その何気ない一言で、場が一瞬で凍り付いたような感覚に陥るが、いち早くリムの変化に気付いたセラーナが誰よりも早く反応する。


「リム。水を差すようで申し訳ないのですが、その食材でどれくらいもちますか?」

「…私たちの人数で今回と同様の食事とした場合、三食キッチリと摂ったとしたら三日分ほどです」

「なるほど。つまり、冒険者である私たちであれば、更に二日くらいはいけそうですね」

「往復二日で予備日として一日。それくらいあれば、洞窟の一層目くらいは踏破できるか」


強引に食事前までの会話に戻すと、全員が洞窟の第一層目について考えを切り替える。

今のところ、足を踏み入れていない箇所を探索したとしても、感覚的にはあと一日くらいで何とかなりそうな感じだ。

とは言え、未登録の洞窟である以上、何かしらの異変が起こらないとも限らないため、日程は余計に計画しておくべきであり、一番重要な食料と水の確保は絶対条件になる。

今回、解体して食材にしている牛の魔物は二体あるため、食糧事情は万全だろう。

水も近くを川が流れているため、特に心配することもない。

そうと決まれば早速行動に出ようと、カノンたちが腰を上げて片付けを始めるが、アルテリオが手伝おうと立ち上がったところで、セラーナに声を掛けられる。


「アルテリオ。貴方の言葉に問題が無いことは重々承知していますが、今は少々特殊な状況下にあります。前にロイさまも仰ってましたが、くれぐれもリムの前でカイルの名を出さないように注意してください」

「ああ、本当にすまねぇ。俺もすっかり忘れちまっててよぉ… まさか、あんなになるなぁ。とは言え、俺の不注意で招いちまったのは事実だからな。マジで気を付ける。他の奴らにも言っとくぜ」

「すみません」


天雷のメンバーの訓練を行う前、ロイとセラーナは注意事項としてカイルの件に触れた。

リムにとってカイルは師以上の存在であり、常識を遥かに外れるレベルで敬愛し、心酔していること。

カイルのためであれば、白をも黒として何の躊躇いもなく行動するし、自国の姫であっても一切の容赦すらせずに叩きのめすことができること。

改めて、その手の冗談ですら一切通用しないことを伝えると、先ほどの場の空気の変化に納得したアルテリオが青い顔で手を振りながらメンバーの下へと歩いて行った。


「…セラーナ。いくら私でも彼らに手を掛けることはありませんよ?」

「そう言いながらも、貴女は私たちの期待に応えてくれるんですよ? 無論、無自覚でしょうけどね。うふふふふ…」


意味深な含み笑いをするセラーナを他所に食事の後片付けを終えると、一行は再び洞窟へと入っていく。

洞窟内はその都度マッピングをしているため、目的のところまでは迷うこと無く向かうことができる。

天雷のメンバーもだいぶ戦闘に慣れてきたみたいで、さっきのような特殊な魔物でない限り、特に危な気無く見守っていることができるが、やはり未登録の洞窟だけあって天雷のメンバーでも手に余る魔物も何体かは出現する。

それは、ドラゴンナイトが補佐をしながら、闘気の使い方のコツなどを教えつつ、時間を掛けてでも天雷のメンバーに討伐させることで慣れさせていった。

そこからは順調に進んで行き、半日くらい掛けてマッピングされていないエリアのところに到着すると、一行がその異様さに足を止める。


そこには、大きく開かれた空間とその奥に見える無骨で大きな扉が見えた。

このエリアで、まだ未踏破となっている空間の全てが使われているような広間へと、カノンたちは周囲を警戒しつつ、注意深くその一歩を踏み入れる。

こんな、何も無くぽっかりと空いた空間で、何も起きないはずが無い。

そう思っていたのだが、一切魔物が姿を現すことは無く、やがて扉の前へと辿り着く。


「こりゃあ… 凄ぇ違和感しか感じねぇんだが、当然ながら鍵が必要な扉なんだろ? こいつ」


アルテリオが見上げるように扉の第一印象を口にする。

驚くほどに広い空間の一番奥にある、飾りも何も付いていない無骨な扉は、触れた感じでは鉄のようにひんやりとしていて、滑らかな手触りをしている。

岩だらけの洞窟内で見付けた、見るからに違和感しか感じないような扉を、うっかり開かないように注意しながら、観察しているとチェルシーが何かを見付けて声を出す。


「待って! 薄っすらとだけど、何かここに書いてあるよ!?」

「何? どれどれ… こいつは… と… っ!?」


何か不思議なものを見たのだろう、カノンが複雑な表情を浮かべながらロイの方を見る。

それを見たロイも何かを察したのだろう、セラーナとリムに視線を送ると二人は周囲の警戒を始め、ロイはカノンが読んだであろう文字に目を移す。


「これより先… 勇者以外の立ち入りを… 禁ずる… ?」


その言葉に、場の空気は凍り付いたような静けさに包まれたのであった。

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