旅に出る
旅はいい。
旅は。
旅は自分に新たな発見を与えてくれるし、まるで知らない場所で自分を浄化してくれるみたいに感じることもある。
旅はいい。
けどそれは、五感で感じられる世界だから。
書物から、旅行記から。インスタグラムで目にしたものとは違う。
現実の感覚で知るからこそ、旅の醍醐味が味わえる。
けれども読書は違う。
自分の知らない土地や世界のことが語られていても、それを読む技術。──知識や想像力が読み手になければ、雰囲気すら伝わらない。
書き手にも、その場面を描写するだけの筆力が必要だ。
書き手、読み手。その双方に文章を書き、その文章から想像する力がないと、それらは噛み合うことがない。
読書は五感で、雰囲気で読むものじゃない。
書かれた文章から想像することが大切になる。
単純明快な言葉からは受け取れるものは少なく、想像する内容がない。
複雑な表現は、受け取る人によっては読みづらく、何が書かれているか考えながら読まなければならず、苦痛だと感じる。
それは書き手と読み手の相性だ。
書を捨て街に出よ。
そんなふうに言った人もいるが。
理解するというのは感覚だけでは駄目なんだ。
ものを知り、考え、想像する。
それらがあってはじめて理解できることもある。
本を読み旅に出よ。
私はそのように伝えたい。
さまざまな種類の本を読み、見識を広げよう。
そう言われたこともあります。
教養が大事だと言われたこともあります。
想像力や思考力を養うことが大切だと言われたこともあります。
それらはどれも大切なんだと学び知る(理解する)こと。それが大切なんだなと最近よく思う。