散文の後/「すとれんじぱらだいす」改め「もんじゅ」
プロットのようなもの。
ダブってる部分アリ。誤字マシマシでアリ。
句読点も適当です。
七葉姉さんが学生時代はモテてたらしい
記憶をたどればあの時も男子生徒に告白されていた気がする
当人は恋愛に興味がないのか軽くあしらっていた様な気もするが
そして思い出す
小学六年の樹は従姉に当たる七葉に手伝いで呼ばれ渟城学園高等部に来ていた
学園は幼稚園から小学校、中学校、高等学校に大学と
エスカレーター式で進学でき地方都市の一角に学園都市を形成していた
現在は放課後
高等部は男子はブレザー、女子は黒のセーラータイプのワンピース
通り過ぎる先輩たちと逆方向に高等部の校舎が林立する場所へと向かう
なにやら場違いな所に来てしまった感があるが
学園内部なので通り抜け上等なので誰も咎めるでなく気に掛けられず
高等部敷地に突入できたのだった
さて呼び出した本人、東雲七葉はと云うと昇降口付近で
男子生徒がケータイ片手に付き合ってくれないか
ダメならメールアドレスの交換して欲しいとかそんなやり取りをしていた
私は若い子にしか興味がないの「行った、行った」なんて事を言いながら
シッシッと手を振って樹に抱きついたまま男子生徒を追い払う
「呼び止めて悪かった、じゃあ」
「な、言ったろ。東雲はガードが固いんだって」
「くそぅ、もっかい小学生に戻りてぇ」
「意味わかんねぇよ」
「ショタ好きなんだって」
「さらに意味が解らなくなった」
とかそんなやり取りをしながら去っていく
ムフーとした荒い鼻息を吐き出しニヤリとした顔をしながら
「丁度いい所に来てくれた、待ってたよ」
「七葉姉ぇの命令に逆らったら裸にひん剥かれそうなんで素直に来ました」
「なんだ、いつもの話じゃないか。まぁいい、では行こうか、少年」
「なんの為に呼んで何処に連れて行く気だ、この女は。。。」
七葉を先頭に樹を連れ立って校舎内を歩く
「今度茶でも飲みに行こうぜ」「機会があったらねー」
「可愛い彼氏連れてるね、今度紹介してー」「私専用だからダメー」
数人の生徒とのやり取りを繰り返し校舎の東棟3階へ辿り着く
図書準備室
「やー、お待たせー。助っ人連れてきたよー」
ガタッと音ともに立ち上がり「来た!」と言葉を発し
樹の方を一瞥すると「はー」と諦めの息を吐いてスッと座る女子生徒
「誰が小学生をさらって来いと言った七葉」
「これはこれで大歓迎だけれど」
「いらっしゃい、お菓子食べる?」
もう一人の女子生徒がチョコをまとった棒状のスナック菓子を差し出してくる
これが同人沼に踏み込んだ最初の一歩だったのかもしれない
メモ
最良の会話は登場人物が「言わないこと」から構成されている。
登場人物たちが互いに言っていない何か、
彼らが恐れている何かが、
シーンの劇的な緊張に寄与し、
プロットを進展させ、登場人物の本音を暴露する。
(ニール・D・ヒックス)
メモ
女子生徒なのだが男前な市敷莉子。
制服はブレザーにスラックス。
まさに男装の麗人で女子にモテモテ。
場面は変わる
―――――第二図書館って知っている?
振り向く少女は大錦絵美里。
「大錦さんは本好きだから何か知っているかなー思って。」
本好きだからって学校の図書館のヌシじゃないんだが
「んー、聞いた事ないなぁ。」とは答えたものの
クラスメイトにそんな話を振られ個人的に興味が湧いたので調べる事にした。
曰く
「第二図書館? 聞いた事ないなぁ。」
「学園の七不思議かなにか?知らなーい。」
「中二的にそそられるんですが、それ。魔術禁書でも置いてんの?」
「書店で売っていない書籍を扱っているって噂だよ。」
「僕は何も知らないです、ハイ!」
「あまり本に興味ないわー。」
「そもそも図書館って何処だっけ?」
等々。
「噂の域にすらなってねー、図書館自体息すらしてねー。。。」
せめて図書館の場所くらい知ってて欲しいと思った。。。
渟城学園は東棟、由緒正しき本家本元の図書館へ行く事にした。
―――――
扉を開くとそこには本を抱え元気に挨拶するメイドが居た。
絵「ん、なっ。。。」
扉をそっと閉じる。
絵「白昼夢。。。何故図書館にメイドがいる? 何かの見間違い? そんな筈ない。」
扉の前で指を額に気のせいだと自分に言い聞かせる絵美里。
そうこうしているとメイド扉を開けて「何か御用ですか?」と問いかけてくる
突然の事でびっくりする絵美里
―――――
中はやはり図書館である。
「はぁ。やっぱ図書館だよねぇ。ちょいと異世界にぶっ飛んだかと思った。」
ニコリと笑みを浮かべこちらを見る眼鏡を掛けたメイド少女。
樹「何か御用ですか?」
絵「やばい、二人に増えたー。。。しかも増えた方は隠れる様にこっち見てるー」
身体を仰け反り顔にバツの字を書く様なしかめっ面になる絵美里。
「えーと、私の事は気にしないでください。それより御用はなんですか?」
と覗き込むように訊ねてくる手前のメイド。
「あ、あぁ、ーと。」
意識が飛んでいた。
「聞きたい事があってきたのだけれど司書の先生はいるかしら?」
メイド異空間な館内を見回しながら訊ねる。
―――――
メイドは人差し指を立て笑顔で答える
文「東雲先生は現在職員会議に出席中です。」
後ろに隠れるように控えるもう一人の眼鏡メイドがぼそぼそと声を掛ける。
文「えー、帰っちゃうの。七葉姉さんがっかりするよー。」
と声をかけるも疲れた様子でカウンターの扉から隣の部屋へと出て行く。
絵「ああ、眼鏡メイドが行ってしまう。。。」
――――――
絵美里は残った方の少女をじっくり見つめ
両肩に手を乗せ幸せをかみ締めメイドをまじまじと見つめる絵美里。
「うわ、本物だ。。。学校で見られるなんてなんか嬉しい。」
と言うか何処かで見た事ある?
思考を巡らす。バックに東京の背景とPCのイメージ画像。
「。。。沙羅双樹、さん?」
文子の笑顔のままのポーカーフェイス。
しかし心の中では冷や汗ダラダラだ。
学校で隠していた秘密、でもないけれど五月蝿いのが煩わしいので
コスプレは極力秘密にしておきたかった事。
それを知っている絵美里に同じ世界の臭いを感じる。
いわゆる同人オタクコスプレイベント的な。
取り敢えず答えてみる
「ネット上ですか?」
「夏休みにー、東京で会いませんでしたっけ。。。」
現地で見られていた。。。
しかも会っていませんかって。。。
―――――
眼鏡の真ん中をを指で上げ冷静さを取り戻す。
絵「コホン、あなたこの学園の生徒?」
文「中等部3年で本間文子です、先輩。」
絵「じゃあ、第二図書館の噂って知らない。わよねぇ?」
文「はい、東雲先生に無理やり手伝わされてるのでよく判りません。」
絵「その格好も先生の指示?」
文「はい。」
図書館にメイド服のチョイスは素晴らしい。東雲先生イカス。
いや、そうじゃなくて。なぜにメイド服? と思考のノリツッコミをしていると
文「あの、先生が戻るまで待ちますか?」
絵「お邪魔じゃなければ。」
文「いえ、全然。」
文子はニコリと答える。
―――――
図書館で対面に座るメイドと優雅にお茶の時間。
静かな時間を打ち破る声。
七「二人とも待たせたわねぇ。ようやく職員会議から開放されました。」
片腕を上げてまことにこやかに図書館に入ってくる。
ふとお茶している文子と絵美里を見つめて
七「あれ、樹は?」
文「帰りました。」
七「えー、帰っちゃったの、折角楽しみにしてたのに。。。」
両手をテーブルに付き怒り顔で文子を見つめてそんな事を言う。
そしておもむろに椅子に座りだらーと身体を伸ばしすね始める。
「折角楽しみにしていたのに帰っちゃうなんて酷すぎるー。」
「七葉姉さん、何もかも面倒臭くなってきたわー」
「息するのも面相臭いわー」
終いには机に突っ伏しそのまま身体を預ける体勢になっている。
「。。。」
そんな事を言う文子と苦笑いしている絵美里。
―――――
エンカウント
ようやく仲間に巡り合えた感じに
絵美里と七葉はガシッっと右手と右手を握り合い白い歯を見せ笑いあう。
導入部分。
現場検証と聞き込み。
原因と思われる人物との邂逅。
長谷川龍改め井川桜
ご飯の時に味噌汁代わりに味噌ラーメンをつける女。
小話
昼飯時間みんなで弁当を広げる。
井川桜は日の丸弁当。
もうちょっと女の子らしいの作ってきましょうよ。
簡易味噌汁があるわ、お湯頂戴。
流石にそれだけじゃおかずにもならないんじゃない。
って、カップラーメン。
それ、ラーメンライス。
餃子があれば満貫ね
何もかも主食。。。
家庭内タイムカード。
門限設定用であり自営業なカーチャンの税金対策用。
フルタイムと言うか門限を守っていると小遣い満額+ボーナス1,5倍。
逆に守らないと削られる。
一旦押してから出かけるのはアリだけれど理由もなく一定時間を越えるとペナルティ。
細かい事案は臨機応変にその都度考える事になっている。
そんな設定を思いついた。夜勤に出かける15分前。。。
第二図書館のメンバー紹介。
いわゆる部活紹介の様なもの。
部活に参加している人物紹介だね。
顧問、東雲七葉。
風紀委員を隠れ蓑に同好会に参加する大錦絵美里。
真実と虚構を織り交ぜ物事を語るレイヤー本間文子。
写真部なんだけれど文子に巻き込まれ写真を撮らされたりしているうちに
いつの間に第二図書室に出入りする金岡優。まぁ幼馴染。
部員の定員割れで廃部の危機に大錦絵美里にスカウトされ
活動をする事になる本間樹。文子の双子の兄であり弟。巻き込まれ役。
定員割れは二人という事でその一人目に白羽の矢が立てられた市敷莉子。
樹のネット上のお絵描き仲間。
二人目に白羽の矢が刺さったのは伊川桜。
幽霊部員でラーメン屋でバイトしているベジタリアン。
16ページぐらいで。
と。ゆーのを考えたんだけれど如何かな?
まんま私らじゃん、却下。
樹視点。。。
優視点?
一人一人部室にやってくる。
部員が一気に増えたわー
優と合流の話。
戦場カメラマン。。。もとい渟城学園新聞部カメラマン。
学園都市の事件をすばやく盗撮し壁新聞に花を添える。
彼女の名は金岡優。
「盗撮って何よ、盗撮って。」
「最近部活始めたって聞いたけれど」
「3年生が居なくなると面子不足になるからって誘われた」
「顧問が東雲先生の漫画同好会。」
「あー、噂の七葉ルーム。」
オチ、第二図書館は図書館横の司書室。通称、七葉ルーム。大量の薄い本の蔵書から。
ある日の放課後。
「文子、第二図書館の噂って知ってる?」
「よくある学校の七不思議ネタっぽいやつ?」
「例えば夕方6時に奇声を発しながら校庭を走り回る二宮像とか」
「校長室の禿げた肖像画が夜になるともっさもさになってるとかそんな話?」
「新聞部に投書が来たんだけれど。
事務棟と言うか職員室のある棟。
一階は事務、二階が職員室。三階が図書館。
図書館はほぼ閲覧者は皆無で西日が窓から入り込んでいる。
図書館のカウンターの所に扉があり第二図書館の入り口。
図書関連の担当は司書兼教師の東雲七葉。
が、カウンターにはあまり居ない。
第二図書室でコレクション、同人誌を読んいる事の方が多い。
別名「七葉ルーム」
部屋の惨状、壁には所狭しと漫画や同人誌が置かれている。
片隅には同人誌印刷のダンボールが積み重なっている。
いわゆる漫画同好会。
片隅に畳が敷かれコタツが置かれている。
「ここってなんの活動している部活なんですか?」
優「ここの蔵書を図書館に置けばお客さんの入りが増えるんじゃないですかねぇ」
優「東雲先生、この部屋にゲームのハードがあれば自堕落街道まっしぐらね。」
七「昔はあったわよ。授業そっちのけで遊んでいたら直ぐに撤去させられちゃったの。」
優「流石に生徒がサボって遊んでれば学校的に不味いでしょう。」
七「や、主に私がなんだけれど。。。」
優「。。。う。えぇー。。。」
七「漫画は同好会の命だから死守したけれど危うく廃部にする所でした。」
優「んー、なんとなく文子と同じ匂いがする。」
七「あの子達は筋金入りよ、叔母さん直伝だから、一子相伝だから。3人居るけれど。」
優「それ一子相伝じゃないし」
外典、あるいはもう一つの物語
それは冬の東京。
師走も大詰めになる暮れの日曜日。
臨海地域に存在する会場はビックサイト。
イベントも3日目。
コミケット。コミックマーケット。
学校の同好会で参加する大錦絵美里。
仲間(東雲七葉その他)に店番をしてもらい新たなサークル探査をする為に会場内を闊歩している。
創作の島中。
3日目の開催にしては人の密度が少ない場所。
他よりも空気が澄んでいる気がする。
それでも併設されてるテーブルの合間を人波を掻き分け歩く。
目の前に人の壁。
サークルに群がる一般参加者。
売り子にメイドさんが二人。
一人は同人誌を捌き一人は隠れる様にスケブを描いている。
「あれ、売り子さん。。。ウチの生徒?」
バトルメイデンコスをしているが同じ学年の本間文子。
外見が可愛い所為か校内では結構人気があるらしい。
「見ても、いいですか?」
「あ、どーぞ、どーぞ。ごらんになってください。」
本間文子はニコッと微笑み薦めてくる。
手に取って本を読んでみる。中身は彼女がコスプレしているバトルメイデンの二次創作じゃなく、普通の内容の創作漫画だった。
「あら、面白い。今後のチェック対象にしていいかも。」
と思ってしまう。
絵「一冊ください。」
文「500円になります。」
これは。。。同好会にとってうって付けの存在。
「同人誌同様に本間文子も確保しなければ。」
早速行動に移す。
お釣りを出す手を握り売り子さんの、本間文子手を握り真剣な表情で
絵「私の嫁にならないか?」
周りの空気が固まる。
喧騒の中の一瞬の静寂。
妖精が通り、そして姿を消す。
「沙羅、店番してるから話してくれば。」
スケブを描いている娘さんが空気を読んでくれていた。
よく見ると可愛い。
けれどウチの学校では見かけない娘。
気にはなるけれど本間さんのコスプレ、同人仲間かネット友達なのだろう。
沙羅さんもとい、本間文子と連れ立ってガレリアの広場へ向かう。
絵「渟城学園の本間文子、さんね。」
文「!? な、え、ど、どちら様?」
絵「E組みの大錦絵美里。貴女、良い意味でも悪い意味でも目立つから直ぐにわかったわ。」
文「え、大錦さん?E組みの?どうしてここに?」
絵「学校の同好会でサークル参加しています。」
文「ウチの学校。。。学漫で出てたんだ。へぇー。」あごに指を当てて何かを考えるように。
絵「で、本題なんだけれど貴女の同人誌に一目ぼれしたの。」
絵「本間さんさえよければウチの同好会に入りませんか?」
文「同人誌の大半は相方が描いてるんだー。」
絵「あぁ、さっきの娘さんね。でも本間さんも描いているのよね。なら、大丈夫。」
文「入っても余り戦力にはならないと思いますよ。」
絵「正直言うと今の3年生が抜けた後に新しく部員が入らないと人数不足で廃部かもなんだ。」
絵「今のうちに頭数だけでも揃えておきたくて。お願い出来ないかな。」
絵「最悪、籍だけの幽霊部員でいいからさ。」
文「大錦さんって押しの強い人なんですね。」
絵「折角のチャンスを逃したくないから。」
文子はにへらーと笑みを作り右手を差し出してくる。
文「そこまで言うのなら。個人的にはちょっと思うトコロもあるんですが。」
絵「ありがとう、本間さん。」
絵美里もその右手を取り握手をする。
文「文子でいいよ。」
以下蛇足。(ページ数を増やしたい時の予備の様なもの)
絵「スペースの方に顧問の先生も来ているから紹介したい。時間はいいかしら?」
文「顧問。。。も来てるんだ。同好会だから当然よね。」
絵「何か問題でも?」
文「特に何も。むしろ心構えが出来た。」
絵「?」
という話になったので会場内は学漫の島にやってきた。
創作スペース同様に人の混雑は少ない。
「あら、お帰り。何かいいモノは見つかった?」
スペース前に辿り着くと内部で店番をしていた七葉さんがそんな事を言ってきた。
東雲七葉。
我が同好会の顧問で渟城学園の先生。
他の仲間は。。。
絵「あれ、七葉さん一人ですか?」
七「みんな買い出し。私は初日で欲しいもの手に入れたからね。」
絵「流石年季が入っていると言うか乙女してるというか。」
文「腐っていますね。七姉ぇは。」
と慈愛にも近い不敵な笑みを浮かべ東雲先生を見る本間さん。
七「あ、ぶーちゃんも来てたんだ。あ、じゃあ、いつきも一緒?」
文「なに新しい玩具を見つけた子供の様な嬉しそうな顔しているんですか。」
七「失敗したな3日目もチェックしておくべきだった。。。」テーブルに手を付き下向きになっている。
嬉しそうな顔をしたり、かと思えば本気で悔しがっているしで忙しい先生だ。
絵「でも、何、この二人顔見知り。って言うか七姉ぇ? え、姉妹? でも苗字が。。。それにいつきって?」
そんな事を思っていると七葉先生が絵美里の心中を察したらしく
七「私とぶー。。。本間文子さんは母方の従姉妹なのよ。」
文「しかも私の母の影響でこの世界にずっぷりどっぷりと。」(ニヤリと笑う
七「アナタ達の方が英才教育されているでしょうに。で、叔母様はお元気?」
文「お陰様で。ただ仕事が忙しくて最近は趣味の方には手が回らずで。」
文「今回の参加も母の代理みたいなもので多分このまま私達が引き継ぐのではないかと。」
文「むしろ女手ひとつで子供3人を育ててきてくれた事自体感謝しなければ。。。」
七「今日はいつきとりんちゃんも来てるの?」
文「イツキは会場にいるけど凛子は来ていない。お母さんが許してくれなかった。」
七「まぁ、まだ中等部だしね。親としては高等部のアナタ達が上京するのにギリギリのラインだろうし」
七「言ってくれれば私が保護者として面倒を見たのにー。」
文「そう言っていつきが目当てなだけでしょ。」
絵「あのー。私、突然始まった身内話に着いていけないんだけれど。。。」
七&文「あー、ごめん。まさか東京で従姉妹に会うと思わなかったから。」
七「でもこの広い会場の中でよく見つけたわね。と言うかよく連れてきたわね。」
絵「同人誌に一目惚れして売り子さん見たら同じ学校の人だったから。」
文「その流れで衆人監視の中熱烈なプロポーズされました。」テレながら。
七「。。。百合展開とは大錦さんもやるわね。」
「私には心に決めた人がって言ったんだけれど中々納得してくれなくて。」
「且つ強引に私のモノになれって無理やり。」
シナを作り演技する文子。
絵「何時もこうなんですか?」
七「おおむねこんな感じ。で、本当の所は?」
絵「プロポーズ。。。じゃなく新しい同好会のメンバーに誘ったんです。」
文「私の嫁になれって言ってプロポーズしたのは嘘なんですか?」
七「。。。言ったんだ。」
絵「勢いで言ってしまっただけです。」
文「七姉ぇ。私は婚約者に捨てられました。」
と七葉に抱きつき胸に顔を押し当てる。
まさかこの会場で再開するとは思わなかったけれど。
身内話に入っていけない。。。
従姉妹の魔の手から樹を救うのが私の使命よ。
今年の3年が卒業すると同好会の人数が足りず廃部になりそうなのもあるんだ。
新入生も勧誘するつもりだけれどある意味日陰同好会だから難しいのよ。
あれ、七葉さん?
文ちゃん
文子が部活には入るまで。
1 接触編
ストレンジパラダイス
登場人物
本間樹 文子の双子の片割れ サークルもんじゅの主宰
本間文子 樹の双子の片割れ イベントでコスプレ担当
本間凛子 樹、文子の妹
金岡優 文子の悪友 写真部 コスった文子の写真を撮っている
市敷莉子 樹のネット、リアル仲間 多趣味が祟り2留している 本気を出せば1年半で卒業できる、筈
大錦絵美里 風紀委員、漫画同好会部長 莉子のライバルと言うか風紀絡みで水面下での悶着あり
長谷川龍 東雲学院悪の巣窟の悪魔(学外)もしくは魔王(学内)と言われる男 樹の友人 ラーメンが好きな模様
身内ネタを面白く対外的に出せる感じに料理して。
樹ってステータスが平均化してるよね。
なんと言うか好きな人が出来たらそれに合わせてステフリ出来るような。。。
例えば体育会系女子が好きになったら運動ステが上がっていく。
文科系になるとその文化に合わせたステが上がっていくそんな感じ?
で、今は誰が好きなのよ?
さぁ?
樹巻き込まれ系。
樹は同人とかに興味がない(でも絵はうまい)を周りに担がれてそっち側になっていくお話しと
やっぱり他のキャラをたたせたいなら
樹が巻き込まれてく日常?
地味で目立たなくいきたいのに濃い周りの人に巻き込まれて
まぁそれはそれでいいかなーって心境の変化とか
文子の所為で心境の変化と言うよりは多分あきらめ感が出る気がする
隠したいというか
あまり騒いで欲しくないというのはあるねえ
お前双子だってー?と好奇の目で見られたくないというかんじ
それに飽きあきしているのが本音
ぶっちゃけ思春期だと妹の裸みたことあるー?とか結構あった
まぁ姉妹いる人はみんなそうかもしれんけども。
紹介してってのはあったけど
訂正。
東雲学園→渟城学園
顧問 東雲七葉
裏図書館
図書館司書部屋兼同好会の部屋
漫画、同人誌が大量にある漫画同好会の部屋
世界観説明みたいな漫画を入れる。
起承転結。
起の部分。
放課後
樹の教室に一人の女子学生。
入り口のところで残っている生徒に樹を探していると言っている。
「本間? おい、本間知らねーか?」
「本間君チャイムと同時に帰ったよ。」
「風紀委員?あいつに何か用?」
絵「ありがとう。」
絵「無駄足だったか。。。」
樹の教室を後にする。
同好会部室。
ハムかつサンド美味しいよ。
なっ?!
購買部のHPを見て優、文子は驚く
メイドのコスプレなんて文子はサービスし過ぎ。
ハムかつサンドの現物支給に釣られてつい。。。って優ももらってたじゃない。
文子はモデル。私はカメラマンとしての対価ね。
でも商品よりも目立ってるねぇ。
編集は購買部の連中だと思う。
商品紹介する気ないのかしら。
私は写真のデータ渡しただけだから。
つか、撮られた写真以外のもある様なんだけれど。。。
あ、それ別口で一枚100円で売ったヤツ。。。あ。。。
私の写真で商売するな。
話を前後する。↑↓
「本間樹」
振り向く男子生徒。
「樹は相変わらずの帰宅部なのね。」
「七葉姉。。。東雲先生、また部活の勧誘ですか。」
声を掛けたのは東雲七葉、渟城学園の先生で樹の従姉。
「折角の学生生活なんだし青春を謳歌しないと勿体無いじゃない。」
「と言いつつ、東雲先生も思いっきり引き篭もりのインドア派だったじゃないですか。」
「経験者の従姉のアドバイスは大事にしないとねぇ。」
「樹の力をウチの所で存分に発揮。。。」
「しませんよ、何度言われても東雲先生のトコは入りません。」
「そんな事言わないでお姉さんと世界を目指しましょう。」
「世界を目指すような部じゃないしいったい何処見て言ってんですか。」
「えー、樹と一緒じゃないとお姉さん拗ねちゃうよー」
「可愛い子ぶって拗ねても駄々をこねてもダメです。」
「文子も居るわよ?」
「むしろ文子だけで充分じゃないですか。」
「僕には力不足です。」
「。。。樹のケチ。」
右手を上げて立ち去る樹。
「よう、少年。放課後早々に帰宅とは青春が台無しだねぇ。」
何処からともなく声が聞こえる。
屋上に通じる非常階段から女生徒が降りてくる。
声の主は市敷莉子またの名を
「朝比奈先生こそまたサボりですか。」
「4時ごろにショップに玩具が届くってメールが着たから我慢できなくてさ。」
「相変わらず羨ましい程に自由人ですねぇ。」
「いやぁ、元々の趣味なんだけれどようやく貯金が溜まったから、ね。」
「で新しいオモチャのイメージトレーニングをしていたら君がやってきたという訳さ。」
「じゃあ、しばらくそちらに専念という事ですか。」
「あら、少年。もしかしてガッカリした?」
「大丈夫よ、両立できる趣味だしネットで今まで通り会合は続けられるわ。」
「よく朝比奈先生は俺との会合で高みを目指すって言ってるけれど何が目標なんです?」
「言ってなかったっけ?君との会合で高みを目指して最終的には線路の枕木を買ってきて仏像を彫るんだから。」
腕組みをしてエッヘンみたいな感じで胸を張る。
「等と意味不明の供述をする朝日奈先生でした。」
自宅にてPCに向かい作業をする樹。
時間は21時を差す。
無性に風呂に入らなければならない使命に駆られている。。。
「よし、風呂って気分転換するか。」
風呂場に向かう。
ガラッ。
脱衣所に入ると凛子が服を脱いでいた。
樹「。。。」
凛「。。。」
目をほそめて
樹「この姿形。。。凛子、か?眼鏡無しだとよく見えん。」
凛「姿形って。。。今日は私が一番最初なんだから兄さんは後にして!」
樹「あ、あぁ、やっぱり凛子か、ごめんな。」
そこに肩にタオルを掛けて半裸に近い状態で文子の登場。
文「あちゃー、今日は凛子が一番なのね。」
文「くっくっく、美味しいシチュだね、樹。」
樹「文子はもう少し女性としての慎みを持ってだなぁ。。。」
文「何よ、兄妹双子同士で減るモンでもないし。
「むしろJC・JKの裸を見て樹は嬉しいんじゃないのー?」
文「樹、早く出なさいよ。私や妹の脱衣シーンをじっくり見たいのかしら?」
凛「むしろ姉さんは見せつけて楽しんでいる感じがする。」
樹「眼鏡してないからボカシが入ってよく見えねーよ。」
と素肌を隠すポーズをする。まぁ、あくまでもポーズ。
樹「そうやって二人して俺をからかうな。」
文「なんなら昔みたいに3人で一緒に入る?」」
樹「もう良い、お前らの後で入るから上がったら教えて。」
涙目になりながら脱衣所から出て行く樹。
文「凛子一緒に入る?」
凛「兄さんよりタチ悪そうだから嫌っ。」
文「ちぇー」
好感度の話。
文子が突然やってきて女子が樹に対する好感度がどのくらいかを教えてくれる。
身内の好感度をアレコレ感想を言いながら話すが
後半になると樹の知らない、というより漫画にすら出てこない連中の名前まで出す始末。
まだ出会っていない人間の好感度も言う?
そんなネタ。
モーニング
「はっ、夢。。。」
ケータイの目覚ましが鳴っている。
止める。
凛子は朝ごはんを食べている
起きてきた樹(HNいつき)
髪の毛のもッさい眼鏡男子。
凛「おはよう兄さん」
樹「あぁ、凛か、おはよう。」
凛「もー、まだ寝間着の格好で。。。学校に遅れるよ。」
樹「男は準備が簡単なの。」
凛「はぁ、羨ましいわー」
凛「だらしないなぁ、そんなんだと彼女出来ないわよ。」
樹「うるさい、ほっとけ。」
そのまま洗面所へ行く樹。
ご飯を食べつつ目でその姿を追いながらおもむろにモノローグを始める。
「小さい頃に両親の離婚で父に引き取られた兄。
去年、父が病気で他界したのをキッカケに
再び母に引き取られ新しい生活が始まる。
兄妹とも数年ぶりに再開し転入した学校に通う事になり
素敵な先輩、綺麗で可愛い同級生下級生達に囲まれ新たな出会いに心躍らせる。」
と、ご飯をほおばりながら語った後一言付け足す。
凛「男手ひとつだったからあんな感じなのかな。」
樹「ないから。昔からお前らと一緒だから。離婚だけが本当の事で後は嘘だから。誰かに語る様に話を作ってんじゃない」
樹「昨日着替え見たからって朝っぱらから俺のネガティブキャンペーン張る止めて。」
以下いらないかも。
樹「つか、親父の話をすると影が差すから止めて!」
凛「兄さんごめん」
補足、忘れないようにメモ
オヤジは離婚した後、物理的に遠くに行ったが
執着が凄かったらしく生霊として家の周りをストーカーしていた。
樹は母親譲りで霊感が強いので視えていた。
塩撒いたり色々やったが効果なく母親に付いてその筋の偉い坊さんに払ってもらう。
長谷川(魔王)の除霊にも関わってくる。
書くか書かないか判らないのでとりあえずメモと言う事で。
凛「ごめん、ところでそろそろ姉さん起こさないと不味いんじゃない?」
樹「起こしに行くの面倒臭いな」と言ってケータイに指を走らせ電話を掛ける。
数コール
文「。。。ぅんー、もう食べられないって。。」
樹「お前の寝顔の写真を学校のファンにばら撒くぞ、早く起きろ」ガチャ
樹「早く起きてこないと恥かしい文子フォルダを学校中の男供にフルバーストするぞ。
凛「。。。学校のファンって」
ニヤニヤしながら樹が答える
「学校もそうだしネット上にもファンがいっぱい居るようですよ?」
「ちなみに一枚500円ぐらいになる。」
凛「何それ?」
ドタドタドタと階段を降りてくる文子
下着で半裸姿の状態でケータイを耳に当てたまま話しかけてくる。
文「樹、それだけは止めて!」
樹「自業自得だ。言ったろ普段から慎みを持てって。隙だらけだぞ。」
カシャ
狙い済ました様に写真を撮る樹。
ピンポーン
家の前に女学生が一人。
金岡優。
扉を開ける樹。
と言うか出かける為に開けたのだが。
樹「金岡か、今日もご苦労さん。」
優「おはよう樹君。」
樹「文子はさっき起きたばかりだから中入ってもうちょっと待ってて。」
そのまま出て行く樹を見送っていると凛が出てくる。
凛「優さんおはようございます。如何したんですか?」
優「あー、樹君を久しぶりに見た気がする。」
凛「姉さんと違っていつも早く出てますからねぇ。それに比較対象がアレですから」
ワタワタ準備している文子を見て。
優「文子は結構目立つけど樹君は存在感が薄いと言うかあまり目立たないのよね。」
凛「男と女の双子だから好奇の目で見られて色々と聞かれたりしてウンザリしてるそうですよ。」
準備の終わった文子がやってくる。
文「待たせてごめん。」
凛「姉さん、さっき兄さんに下着の写真撮られたけど大丈夫?」
優「なにそれ、マジ?」
文「大丈夫、大丈夫。樹には何も出来ないし出来ても弱みを握っているから心配ないわ。」
凛「弱みって。。。」
文「でも、まかり間違って私の寝顔や下着写真が出回ったらその時は焦土戦覚悟で報復ね。」
凛「どんな弱みなんだろう。。。」
文「お互い学校に行けなくなって引き篭もりになるか転校するぐらい。かな。」
優「私にはこっそり教えてくれるんでしょう、文子。」
文「弱みは誰も知らないから効力を発揮するの。誰にも教える気はないわよ。」
優「ちぇー。」
案2
私立渟城学園は東北地方の日本海沿岸北西部に位置する県の一角に特区として学園都市を形成している。
小等部、中等部、高等部そして大学と一貫教育方式で、エスカレーター式の学園。
運動施設も充実しており、野球場はもちろん体育館や武道館、水泳用温水プールも完備されている学生の為の都市。
その学園の高等部では現在、昼休みに至っている。
今の時期は春。東北では桜が満開になる麗らかな季節。
進級から半月ほどが経ち、ある程度クラスに馴染んだ生徒達は、昼休みを告げるチャイムと共にみんな思い思いの好きな場所に行って昼食の時間を過ごそうと慌しく廊下へ出て行く。
そんな中、弁当袋を後ろ手に持って廊下を歩く女子生徒に思わず振り返る幾人かの男子生徒。彼等が視線を向ける女子生徒の名は本間文子。
切り揃えられたセミロングの黒髪に、それなりに整った容姿で高等部1年の中でもそこそこ目に立つそれなりに人気がある女子生徒だ。
彼女は目的の教室へと辿り着くと颯爽と開け放たれた扉を潜り抜け中へと入っていく。
数人のクラスメイトを残しほぼ誰も居ない教室に発生する一瞬のざわめき、珍しい客の登場に密かな注目が集まった。
窓際の席で一心不乱に弁当を貪っている眼鏡を掛けた男子生徒の前に女子生徒が歩み寄る。男子生徒の名は本間樹。
本間文子の双子の片割れである。
樹は文子とは対照的に学年どころかクラスでも影が薄くあまり目立たない存在。
そんな二人がどんなやり取りをするのか、教室に残っている生徒にも興味が惹かれているらしく友達との会話をしたり昼食を摂ったり別の事をしつつ、聞き耳を立てている。
樹は目の前に立つ片割れの少女に気付きつつ昼食を摂り続ける。
「昼ぐらい友達と一緒に食べればいいのに一人とか寂しいわねぇ」
「ぼっちの僕に嫌味を言いに来たんですかねぇ、文子さんは?」
「自称ぼっちでしょ。単に人と関わるのが面倒臭いだけのクセによく言うわ」
「文子ほど社交的じゃないし、基本人見知りだから特に問題はないし、文子ほど社交的じゃないし、僕は今のままで十分」
「ふーん、羨ましいわ。興味本位で近寄ってくる人間、主に男が多いからこう見えても面倒臭いのよ?」
ちらりと教室を見回すとそっぽを向いたり意味も無く口笛を吹いたりする男子生徒数名。
「で、その自称ぼっちに何か用なの?」
「樹、放課後に七葉姉ぇが第二図書館に顔を出せって」
「……マジで?」
薄暗い第二図書館で相対する女性が二人。
部屋の主である東雲七葉と本間文子が不穏な会話をしていた。
「約束の期日から2週間オーバー。樹に対する強制執行を命じます」
「えっ私が?」
パリッと小気味いい音を立てポテチをかじる文子。
「身内とは言え、負債は負債、どんな形になっても返済はしてもらいます」
肘を机に突き、組んだ手で口元を隠す様にしてニヤリと笑みを浮かべる東雲七葉。絵面はまさに某司令官っぽい。
返事の変わりにパリ、パリパリとポテチを小動物の様に食べる文子。内心、「自分に面倒事が降りかからなければいいや」ぐらいにしか考えていない。
―――以上、回想終わり。
昼休みにどこぞへ行ってしまった樹の前の空いた席に文子はちゃっかり座って、樹の机に自分の弁当を広げ手を付けながら回想シーンを話す。
「……えっ、回想短くね?!」
「はい、これ利息分の罰ゲームだって」
机の空いた場所に何かが入った袋をどんっ、と置き、押し付けられる樹。
「さっきから気になっていたのだけれど負債とか返済とかなんの罰ゲームかしら?」
「……なんのってリアル脱衣麻雀のーって。貴女、誰?」
「大錦絵美里。本間君の隣の席の住人」
そう答えながら購買から買ってきたのであろうパンと牛乳を抱え、じーっ、と二人を見下ろす女生徒。
「……ふぅん、変態なのね。樹君」
そう言って樹の隣の席に座る。
口元に寄せた箸を止め文子を見上げる樹
姉であり妹でもある双子の片割れ本間文子はそう言った
東雲七葉
学園の先生で彼らの従姉であり色々と面倒を見てくれているので彼らは頭が上がらない
そのうえ樹に対し極度のブラコンを発症し年々酷くなっている様な気がする双子だった
文子は少し考えている様だったが過去からの経験上あまりいいイメージが湧かないのか苦笑いしていた
樹も思案するが放課後に顔を出さないと後々無理難題を吹っかけられる可能性が無きにしもあらずなので
行くしかないと結論するのだが行きたくない気持ちもあるのでとてつもなくジレンマにおちいり思わず
「文子代役頼む」
「樹大好き人間の七葉姉を怒らせたくないから遠慮します」
ニヤニヤしながら樹を見下ろしている顔は多分ご指名の内容を知っているのだろう
「折角なので今日は私が一緒にお弁当を食べてあげる」
後ろに隠していた弁当の包みを机の上に置いて前の席の椅子を回し座る
「せめて僕を呼ぶ理由のヒントくらい欲しいのですが」
「この前のリアル脱衣マージャンの罰ゲームだって」
「ど真ん中の超剛速球入りましたー」色々な意味で天を仰ぐ樹
聞き耳を立てていた生徒達により静寂に包まれていた教室がざわっとさざ波立つ様にヒソヒソ話が始まる
「なんだリアル脱衣マージャンって。。。」
「脱衣ってアレだよなぁ、なに美味しい思いしているんだよ本間ぁ」
「待て、罰ゲームって言ってなかったか本間が負けたんだな」
「文子さんの貞操が守られた」
「本間君って変態だったのね、サイテー」
etc
「既に罰ゲームの様相を呈しているのですが」
「くくく、なんとなく樹の背中がすすけてる様に見えるわ」
「誰の所為だよ、ったく」
爆弾発言を物ともせず文子はご飯とおかずが一緒に入った女子向けの小さい弁当箱を広げる
周りの反応に地味にへこむ樹を余所に昼休みが終わるまで口数が少ない二人の昼食の時間が過ぎていく
食後、教室を出ようとした文子と午後の授業の為に戻ってきた他の男子生徒がニアミスして騒ぎが起きる
「学園アイドルの文子さんじゃありませんか!」
「握手してください」「写真とっていいですか」「メアド教えてくださいっ」
「こんなむっさい教室になにか。。。樹君に御用ですね、呼んできます1
「男子うるさいっ、むっさいとか言うな!」「文ちゃん大変そうねぇ」
以前はよくこの教室に顔を出していたがここも例に漏れず移動の度に人が集まる所為で
最近の休憩時間は教室からあまり出ていないとの話だ
引き気味に出て行く文子を机に肘を突いて出て行く姿を見ていた樹は苦笑いをしている
文子はモテモテだねぇ
「あ、第二図書館だからねー」
って手を振りながら捨て台詞を吐いて人垣を割って去っていく
「ね、ねぇ、第二図書館って何?」
聞きなれない単語に樹の隣の席で本を片手に沈黙を保っていた女子生徒、大錦絵美里が反応したようだ
生粋の好奇心と本好きな性分から湧き興る興味の為バッと振り向きざまに本間樹へと話しかけたが
お互い隣同士の席とは言えあまり話した事も無い関係なので本間樹はびっくりした表情をしていた
大錦絵美里を馴れ馴れしく話しかけてしまいやってしまった感のあるハッとした様な表情をしていた
黒髪ぱっつん眼鏡という容姿の大錦絵美里
彼女は気になるからには謎を解き明かさなければならない性分をしていた
放課後に改めて当事者に聞こうとするも既に教室には居なかったので自分で調べ始める
聞き込みを開始して得られた情報曰く
「第二図書館?聞いた事ないなぁ。」
「学園の七不思議かなにか?知らなーい。」
「中二的にそそられるんですが、それ。魔術禁書でも置いてんの?」
「書店で売っていない書籍を扱っているって噂だよ。」
「僕は何も知らないです、ハイ!」
「あまり本に興味ないわー。」
「そもそも図書館って何処だっけ?」
等々。
「oh,想定外に図書館自体息すらしてねー。。。」
せめて図書館の場所くらい知ってて欲しいと切ない思いに至っる大錦絵美里
取り敢えず情報は足で稼ぐを実践する為に
渟城学園は東棟、由緒正しき本家本元の図書館へ行く事にした
人気の無い廊下の突き当たり奥に入り口と申し訳程度の新刊ありますの看板で
図書館がささやかなながら存在感をアピールしている
早速扉を開け突撃を敢行し中のメイドの後姿が見えるに大錦絵美里の身体が硬直する
彼女の入館に気が付いたのかメイドも視線を大錦絵美里に向け互いに目が合いフリーズする
「。。。」
メイドは顔を赤くし慌てて奥の準備室なのか司書室へ逃げていった
丸眼鏡に短めのポニーテールと可愛い容姿をした女子であった
って、学園にあんな女子生徒居たっけ?と大錦絵美里が思案していると図書室入り口から本間文子の登場
「放課後の図書館に麗しき乙女が降臨」
大錦絵美里が振り向くとそこにはメイド服を着た本間文子さん
「はぅあっ!」絵美里から謎の悲鳴(?)があがる
仰々しく彼女は語り始める
「幾多の困難を乗り越え渟城学園で忘れられし辺境の地へ封印されし図書館に辿り着く勇者が現れるとは」
「えっと、本間さん。。。ですよね」
「古より伝わりし我らがご主人様ようこそいらっしゃいました」
ニコリと笑みを浮かべスカートの両端をつまみ一礼されるも大錦絵美里の思考が追いつかない
「意味が判らない」
本間文子は顔を赤らめながら口を尖らせつつ
「恥かしいから思春期によくありがちな誇大妄想を掲げて誤魔化したんだけれど」
「あー中二病」
「改めて寂れた図書館へようこそ」
窓の外を向きそう答える文子は黄昏る様にそう答えた
図書館の一角に座る大錦絵美里と本間文子
「昼休みに私が言った第二図書館が気になって調べていたと」
「そう、なのだけれど本間さんがここに居るって事は。。。」
「違う、第二図書館は別の場所」
ふと横の準備室だか司書室の方を見やる
「その扉の向こうが。。。」
文子が言葉を繋げる「あの女の巣があるわ」「す、巣ぅ?!」
「私達は第二図書館って言っているけれど」
私達。。。本間文子と双子の片割れ本間樹の事だと思う
「随分と簡単に第二図書館の所在が判明した模様」
「気になっていたんでしょ?」
「そういえば本間君はまだ来てないんですか?」
「如何なんでしょうねぇ」
乾いた笑みを浮かべている
特殊部隊宜しく警戒しながら第二図書館へ突入を敢行する
先ほど丸眼鏡ポニーメイドが駆け込んだ部屋
内部は16畳程で長方形で所狭しと本棚が並んでいて真ん中に鎮座するパソコンのモニタを乗せた机と数脚の椅子
一部、畳が4畳半ほど敷かれていてコタツが鎮座しテレビが設置されている
とても過ごしやすそうな空間をかもし出していてまさに巣だ
そして中には誰もいなかった
「誰も居ない」
文子の一言よりも今は怪しげなオーラを発している本棚が気になる
背表紙にタイトルが書けない程の薄い本
一冊取り出してみる
「おおっ。コレは!!」
何だコレは凄いぞコレは他には。。。
博士と助手のアクアネイル、バトルメイデンは七雲屋にまだまだあるぞ
3rdman、Heartfolioって宝の山かここは興奮する
片手に本を持ち指しながらアワアワしながら文子をみる
「今はメジャーになっている作家さんの薄くてレアな本が、本がー」
「。。ふ、大錦さんもこちら側の人間だったのね」仲間を見つけた獰猛な視線を絵美里に向ている
「ちなみに七葉姉ぇ、東雲先生のコレクションを蒐集した第二図書館です」
腕組みを解き両腕を広げ世界の支配者っぽいポーズをドヤ顔で決めるメイドさん
時計の針はゆったりと進み時間は午後4時を少し回る
「文子ここにいた、探したよぅ」眼鏡を掛けたおさげ女子が勝手知ったる他人の部屋に飛び込んでくる
名を金岡優と言い本間文子のクラスメイトで新聞部部員らしい
「あら、優ごめんさない、ちょっと図書館での野暮用に呼ばれたの」
日本語がおかしい様な感じもするが気にしたら負けだと思いツッコムのを心に止め大錦絵美里が言葉を挟む
「完全に首を突っ込んでいたから野暮用じゃないと思うんですが」
金岡優は少し怒った様な顔を見せ人指し指を立てながら文句を言い始める
「撮影中にメイドの姿でお花摘みに行ったまんま戻ってこないから心配したよぅ」
一体なんの撮影かと想像しつつ話を聞く大錦絵美里
「残りは編集だけだから優だけでも十分だったでしょう」
「文子の意思や尊厳は無視して勝手にやっておいた」
悪気の無い返答と既に得られる返答が判っていたのか本間文子の言葉に金岡優の言葉が続く
「さすが優は仕事が早いし出来る女の鏡だわ」「文子には事後承諾で公開している、後で確認お願いね」
「えっ、凄い他人事なんだけれど意思や尊厳無視していいモノなの?」
これ後で絶対文句の出るパターンだわなんて思う大錦絵美里
「あと、着替え」と金岡優から本間文子へ差し出される紙袋
「じゃあね、お疲れさーん」なんて言って金岡優は部屋から出て行ったが多分帰宅の徒に付いたのだろう
そして紙袋から制服を出して奥の方でもそもそと着替え始める本間文子さん
そんな無防備に着替えていいんですかねぇ、まぁ、女子だけだからいいかぁとか大錦絵美里が思いつつ
突然の訪問者で中断していた読書の再開を始めた大錦絵美里はだらしない笑みを浮かべる
着替え終わる頃に「あっ」とか急に声を上げたりするもんだからびっくりもしたが
とりあえず貪るように七葉コレクションの同人誌を読んでいた「ふ、ふひひ」
「進級テスト1番の才媛からそのような笑い声が出てくるとは16年生きてきた甲斐があったと言うものね」
制服に着替えた本間文子は彼女に対してそんな言葉を掛ける
涎をぬぐうフリをしながら「大袈裟ね」と笑みを浮かべながら続けて
「アレもダメ、コレもダメって言う親の躾けの反動よ」どうやら笑みではなく自虐的な苦笑い
「半放置の我が家とは真逆っぽいね、想像できないわ」
数年前に父と離婚した母が自営業で兄妹三人を育ててきた影響で親に苦労はかけまいと
程ほどに家事手伝い等の自立した心が養われたのと母からは姪っ子で何故か母信者で
文子や樹には従姉に当たる東雲七葉が兄妹の面倒を見るに至り彼らの思春期の思考が形成されていった
「地方の学園でまさかのレア本に遭遇するなんて思いもよらなかったから鼻血が出そう」
「その辺は18禁の本が無かった筈だけれど」
「18禁だけが同人に非ず」
「いや、18禁でもイイモノはイイよね」
「ふ。ふふ」
二人は意気投合し笑っているが「ふ」が「腐」に変換されるのは何故だろうと本間文子は思うのであった
肩口まで伸びた髪の毛は色素が薄くウェーブ掛っていて眼鏡を掛けた20代前半と思しき女性
職員会議から開放された東雲七葉は廊下でスキップでも決めて来たんじゃね?ってぐらい息を弾ませ
「ごっめーん、職員会議が長引いちゃった」テヘぺロなんて言葉が思い浮かべられる笑顔で
意気揚々と廊下側の扉をばーんと開けて入ってくるその姿は
大錦絵美里からの第一印象はなんて明るく豪快な先生なんだと
「東雲先生お邪魔していまーす」とは言ったものの横にいる文子さんは扉から顔を背けている
「あぁ、いらっしゃい」と言葉もそぞろにキョロキョロと何かを気にするように
準備室なのか司書室なのか東雲先生の巣と化している部屋を見回して笑顔を絶望の顔に変える
「文子、樹は~?」「逃げました」簡潔なやり取りそして東雲先生は悲しみに満ちた顔になり
本間文子へ抱きつき泣き始める「進級して一ヶ月経つのにここに全然顔を出してくれないから嫌われたのかしらー」
「私の事が嫌いなのかしらー」とか「そんな事は無いと思うよ」なんて安易な慰めをしている本間文子さんお疲れ様です
ふと「ところで貴女はココで何しているのかしら?」涙目でこちらに振り向く東雲先生
なにこの先生直情的アホっぽくて可愛い系かなと第一印象がガラリと反転してしまった
場の取り直し
テーブルには東雲先生の用意してくれたお茶が3つ鎮座している
部屋の主が先に自己主張の激しいカップに手を伸ばし小指を立てながら口元に運ぶ
「こんな格げn。。。ゲフッ」
ガルパ。。。何かのマネであろう言葉を吐く前に無言で文子にお茶菓子を顔にぶつけられる
それはもういい音を立ててスパーンと
なお格言として言い出そうとした言葉は「将を射とせんならば馬を射よ」
お茶菓子は大潟村銘菓かぼちゃパイと中身は緑茶であり取っ手のない湯飲み茶碗である事を明記しておく
漫画的視覚調に頭へ十字の絆創膏を貼っていればギャグとして成立
場の取り直し
「先生酷く動揺しちゃってー、取り乱している所を見せてごめんごめん」
照れ笑いを見せながら言われても大錦には状況がよく判らないので困り果てた結果の返答が
「心中お察しできなくて申し訳ないです」なんとも身も蓋もない言葉
「何時もの事だから気にしなくても良くてよ大錦さん」
それが平常運転なのか慣れた感じで気にするなと言う文子の三者会談が始まろうとしている
先手を取ったのは文子で七葉に話しかける
「さっき中身を確認したんだけれど一応来て合わせてはいったみたいです」
「来ていたんなら少し残って顔を見せて行けばよかったのに」ぶーと膨れる七葉
「なんとなく想像はできるけれど七葉姉ぇ渾身のプレゼントは不本意だったんじゃないですかねぇ」
「昼休み時間に本間君を呼びに来たのってその為?」と思い至る
「今年は部員がいないからプレゼント攻撃で勧誘しようとしたんですよね、七葉姉ぇは」
「大錦さんでもいいわ、我が同好会の救世主となっては貰えないだろうか?」
活動内容すら明かされないままいきなり勧誘されたのでござる
「本間さ、文子さんが居るじゃないですかー」と話を受け流す
「あー、それねぇ」「樹が入ったら私も入るってのが条件だから」東雲先生と本間文子さんの言葉
「それで本間君の勧誘か。。。」そこで1時間ぐらい前の光景が浮かび上がる
「ところで図書館に丸眼鏡でポニーテールのメイドの格好をした女子生徒が居たんだけれどその方は?」
「えっ」「なんですって」ガバッと食いつく東雲七葉と本間文子と二人に気圧され引き気味の大錦絵美里の図
「居たの、見たの?」好奇心の東雲七葉「くくく、やってくれたわね」邪悪な笑みの本間文子の2者2様の反応
「私は一体何を見たのですか、見てはいけないモノだったのですか?」凄く不安です
大錦絵美里を見る二人の視線が何気に怖い感じだったがふっと抜けて
「座敷童みたいなものよ、ただ私達を幸福にしその分大錦さんを不幸に導くよからぬ生霊」
「え、どーゆー事?」ピンポイントで幸、不幸を入れ替える生霊?頭にクエスションマークが生えてくる
「不幸になりたくは無いわよねぇ」確かに不幸にはなりたくないが回避する方法があるのか
「幸か不幸かってなら幸福なのがいいですが」
「あの子、除霊は得意だったわね」「樹はこういうの得意だから仲間に引きずり込むべきね」
「除霊。。。除霊が得意って本間樹って何者?」脳内が混乱している
「ここに入部させれば万事解決よ」この言葉で混乱は収まりようやく理解した
「謎の眼鏡女子を出汁に私を使って本間君を入部させるつもりだったのですね」
「彼を入部させないと私の世界が崩壊する」と涙ながらに訴える東雲七葉
「除霊の話からいつの間にか世界滅亡の話になっている!」除霊の話も薄々嘘なんだと理解できる
「樹はムッツリだから私達以外の女子のお願いには弱いのよ」双子の片割れらしいコメント
確かにそう言うものかとも思う部分もある
男子ってみんな女子のお願いには弱いんじゃないかなぁ少なくとも大錦絵美里の周りの男子はそうだった
続けて「それに丁度樹の好みにばっちりでしょうし」とは本間文子の弁
「へぇ、そうなんですか」と思考を働かせ始めるが
席が隣同士とはいえ本間樹はそんな素振りを見せなかったし見えなかった
むしろ他の男子が必要以上に絡んできてうざかった記憶しかない大錦絵美里
「女の武器を使って入部させるんだ、大錦絵美里、君になら出来ると言うかやれ」
東雲七葉先生からの命令口調で頂き困ってしまった大錦絵美里
「大錦絵美里が入部を成功させたら必然的に部員3人確保だっ」なにやら不穏な言葉が聞こえる
「3人って、いつの間にか私の入部決定しているんですかー、本間さんは如何なのよ」
「私は楽しければある程度OKですよ」享楽主義者だった模様しかもある程度とか限定付きで
「そもそもなんの部活なんですか?」の問いに東雲七葉先生と本間文子はしばし見合い
にこやかにこちらに振り向き言葉を発する
「部活と言うか同好会かな」東雲七葉
「同人漫画同好会、しかも造る方」と先程まで読んでいた同人誌を指差す本間文子
はい、二人のいい笑顔頂きましたー
自宅の狭い部屋ででPCに向かいなにやら作業をする樹
モニター端に表示された時間は21時を差す
本間樹は無性に風呂に入らなければいけない衝動に駆られる
天の声に囁かれたかのような己に課せられた使命と言っても過言ではない程に
単純に見えない壁を切り崩す作業の煮詰まり思考の切り替えが必要だと感じていたのもある
「よし、風呂って気分転換するか」
着替えを持って1階に向かい浴室へと通じる扉をガラッと勢いよく開いた
脱衣所に入ると妹の凛子が丁度背中に手を回し下着のブラを取るタイミングで樹に気付き固まってしまった
硬直する女性は本間凛子で樹と文子の妹に当たる
それに相対する言葉無く目を細め凝視する樹
「その姿形は。。。凛子、か?眼鏡無しだとよく見えん」
「姿形って失礼ね、今日は私が一番最初なんだから兄さんは後にして!」
「あ、あぁ、やっぱり凛子か、ごめんなぁ」少しづつ後退りながら浴場から撤退を始めると
「妹に対してなにラッキースケベかましてんのよ」「ふ、文子」「姉さんっ」
肩にタオルを掛けた戦闘準備万全な半裸の第三勢力が旗揚げし戦国風呂場バトルが始まろうとしていた
「そっか今日は凛子が一番だったわね」いや文子は退いたので始まらない
「美少女姉妹の半裸シーンって美味しいシチュだねぇ、樹ぃ」
退いたではなく戦略的転進をして双子の片割れにターゲットを変えた模様
「家の中を半裸で闊歩する慎みを持たない女性が自分で美少女って言うな」
「何よ、兄妹双子同士で減るモンでもないし、むしろJC・JKの裸を見て樹は嬉しいんじゃないのー?」
にらみ合う二人の視線はぶつかり火花が散っている様だ
「樹、早く出なさいよ。私や妹の脱衣シーンをじっくり見たいのかしら?」
「むしろ姉さんは見せつけて楽しんでいる感じがする」妹からの誤爆っぽい援護射撃
「そもそも眼鏡してないからボカシが入ってよく見えねーよ」
と二人して素肌を隠すポーズをする。まぁ、あくまでもポーズ。
「そうやって二人して俺をからかうな」果てしなく困る樹
「なんなら昔みたいに3人で一緒に入る?」なんて言い出す文子は多分本気
「姉さんは本気っぽいから遠慮します」妹は流石に察していた様だった
「もう良い、お前らの後で入るから上がったら教えて」
涙目になりながら脱衣所から出て行く樹
「行っちゃった、凛子は一緒に入る?」
「兄さんと入るよりタチ悪そうだから嫌っ」
「ちぇー」と本当に残念そうに口を尖らす文子は何かを揉む様に両手をワキワキさせていた
なんとか誤魔化す事ができて樹は内心ほっとして部屋に戻って一息付いたのだが
「我らが妹の発育は見事だけれど私よりスタイルがいいから羨ましいわぁ、樹もそう思うでしょう」
後ろから急に心底残念そうな声を掛けられビクッと反応し振り向き声の主を確認すると
両手を見てワキワキさせながら妹の凛子に追い出された文子が樹を追いかける様に部屋へやってきたのだった
「何故ここに来る?」
「樹に耳寄りな情報があるの」
突然の訪問に驚いた様子も無く淡々と聞き返す樹
「なんの情報だよ」
「私が極秘に入手した樹に対する女子の好感度を教えます」
意味が判らないといった表情で樹が固まる
「はぁ、なんだって?」
「私が樹に対する女子の好感度を夜な夜な耳元で囁くってイベントよ」
何を言っているのでしょうかこの人は?
「最初に言っている教え方と変わっているし意味も判らん」
「ほらゲームとかでよくあるじゃない学園の主人公には情報通の友人が居て色々リークしてくる悪友が」
「俺のリアルをギャルゲーと一緒にするな」
「本当は知りたいんでしょう?」
ちなみにゲーム攻略は感性で楽しむ方なのでそう言ったキャラを活用した事は無かったし
現実の生活でも自分からの好意は置いても他人の好意が差したる影響もないので知る必要性がないのだが
文子が風呂の時間まで暇潰しで自分を玩具にするのだろうと憶測が出来たのでとりあえず乗っかる事にした
「僕と接点のある人間なんて限られているぞ」
「近場でまずは本間文子」
「お前かよ」
「おめでとう、樹と文子は運命共同体で固い絆で結ばれ永遠に離れないでしょう」
「まぁ双子だからな、そう言う意味では凛子も含め世界で三人しかいない兄妹だから同じだな」
「ごめん凛子は樹がNOだって」「えー、英語で拒否かよ」
「さっきのラッキースケベが地味に効いています」
「拒否られるのが文子なら兎も角凛子なのが辛い」
「私がさっきのシチュエーションになったら18禁まっしぐらよ」
「口と勢いだけで本番になったら度胸もないのに」
「お互いにね」「ふ、ふふふ。。。。さすが双子だわ、よく似ている」
精神を消耗しながら二人して笑い合うのでした
「では気を取り直して樹のクラスで隣の席の大錦さんはー、頑張れば芽があるかも?」
「隣同士なのにあんまり話した事がないし近寄りがたいオーラがあるから遠慮したい」
「あらあらまぁまぁ本当はタイプのクセに、特に眼鏡が」
「文子は僕が局所的な眼鏡偏愛者という事を言っているのですか?」
「この指摘は間違ってないでしょう」
「はい、眼鏡を掛けた娘さんが大好物です」
「注意事項としては眼鏡だけじゃなく掛けている女性にも注目してあげて下さい」
「はい、気を付けます」
「話の流れとして次は眼鏡の従姉にしましょうか」
「んー、恋愛以前の問題な気もするけれど七葉姉さんの好感度は。。。」
「MAXを通り越してメーターの針が振り切れるぐらいに見事なカンストっぷりね」
「小さい頃から色々と可愛がられたり面倒を見てもらったりしたからなぁ」
「樹なんて愛玩動物的な扱いだからね」
「それは好感度って言葉で表していいものなのでしょうか」
「嫌われたり無関心だったりするよりはいいんじゃない」
「と言うか好感度も何もクラスメイトの一人以外は全員血縁関係者じゃないか!」
「うーん、じゃあ金岡優」
「いきなり誰?」
「私の親友でクラスメイトで新聞部のカメラマン」
「いや僕知らないし接点すらないから好感度関係ないよね?」
「彼女は恋多き女性で幾多の恋愛の果てに熟れるまで私の愛でる対象よ」
「えぇー」多分金岡優も文子の言動に振り回される立ち位置にいる被害者的な女性なのだろうと樹は推測する
ある意味金岡優も物好きでお互い様な付き合いなのだろうそんな彼女の未来に多幸あらん事を祈る
「随分気の長そうな話だけれどお前の恋愛とかはどうすんのさ?」
「あら、私は誰も愛さないし好きにならないわよ、自分大好き人間だから」
「あぁ。。。」とか言いながら顔を赤らめ両腕で自分自身をぎゅっと包み込むように抱きしめた悶える文子さん
「仮に他人へ好意があったとしても限りなくLikeであって決してLoveにはならないわ」
「ナルシストめ」
「あとワンショットライターの市敷莉子さんや墓場ラーメンことの伊川桜さんも居るけれど如何する、続ける?」
「なんで僕の友人に愉快で物騒な二つ名を付けますかね?」
「樹は恵まれすぎでしょう、男友達皆無なくせに女友達が多いなんて」
「いや、男友達が皆無って訳じゃないぞ。ネットのフォロワーさんだって殆どは男だぞ」
「フォロワーさんは友達じゃないしリアルの話をしているのだけれど、樹もげてしまぇ」
「何気に酷い言われ方で傷つくなぁ」
「ネットの向こうのお友達が事実を知った時の反応だと思いなさい」
「フォロワーさんにそんな酷い人は居ない筈だし大丈夫、大丈夫」
「私もフォローしてるわよ、特定しました拡散します」
「やーめーてー」
コホンと咳払いをして一旦間をおく文子
「さて脱線した好感度の話はこの辺にして本題に入るけれど」
「本題に入る前の導入部が長過ぎませんかねぇ」
「アンタ今日の放課後逃げたでしょう」
「ちょっと想定外の事態が起きまして」
「ふーん、一応は試してた様だけれど如何だった?」
「畑違いの自分には客観的な判断が出来ないってのが正直なトコロ」
「初めのうちはしょうがないかも、徐々に慣れるしかないでしょうね」
「注意する所とか大事な所は文子か七葉姉さんに教えて貰えると助かるんですが」
「七葉姉ぇ凄く残念がっていたからお願いしたら喜ぶんじゃない」
「その時は文子も同席して七葉姉さんの監視をお願いします」
「二人してある事ない事仕込んであげるから」
「後ろから撃つ様なマネは止めて貰えませんかね」
「私は正々堂々と真正面から他人に撃たせるわ」
「そうでした、文子はそーゆー人でした」
「大錦さんね、なし崩し的な上に部長待遇で同好会に入る事になったわ」
「何故急に同好会の話になる?」
「大錦さんが刺客として樹の前に立ちはだかると思うから早く撃たれて楽になりなさい」
「本当に他人に撃たせるつもりだったのか、お前が恐ろしいわ!」
「元々大錦さんにも素質が有ったみたいね、第二図書館にも馴染んでいたわ」
「案外気が付かないモノですね、近場にいる同好の士って」
「そんなモノよ、樹の事だって気付いていない人多いでしょう」
「自分の時間を減らしたくなかったから同好会入りを断っていたのに」
「いっそ飛び込んでしまった方が楽かもね」
「それなら幽霊部員辺りで手を打って欲しいなぁ」
「ダメでしょうね、その時は骨を拾ってあげる」
凛子がお風呂から出るまで居間に行ってテレビ見ながら待ってるわと言って部屋を出て行く文子
樹は机に向かいPC画面を見ながら作業を再開するのであった
「はっ、夢。。。」
何かいい夢を見た気がするが意識が覚醒していくに従い記憶は拡散し曖昧になる
たまに調子がいい時は記憶に残る夢を日記としてPC上のメモ帳に打ち込んでみるが
あとで読み返すとよく判らない文章の羅列になっていたりもする
とりあえず安眠を妨げたケータイの目覚ましを止める
寝間着のまま髪の毛に寝癖を付け居間に向かう
食卓で朝ごはんの食パンにを手に凛子がもっさい格好をした眼鏡男子の兄に声を掛ける
「おはよう兄さん」
「あぁ、凛か、おはよう」
「もー、まだ着替えてないの。。。学校に遅れるよ」
「男は準備が簡単なの」
「だらしないなぁ、そんなんだと彼女出来ないよ」
「うるさい、ほっとけ」
何時も朝に繰り替えず日常会話を横に昨日の脱衣所にある洗面台へ向かう樹
ご飯を食べつつ目でその姿を追いながらおもむろにモノローグを始める
「小さい頃に両親の離婚で父に引き取られた兄は去年、父が病気で他界したのをキッカケに
再び母の元に引き取られ新しい生活が始まる
兄妹とも数年ぶりに再開し転入した学校に通う事になり
素敵な先輩、綺麗で可愛い同級生下級生達に囲まれ新たな出会いに心躍らせる」
と、パンをほおばりながら語った後一言付け足す
「ずーっと男手ひとつだったからあんな感じに育ったのかな」
「ないから、昔からお前らと一緒だから、離婚だけが本当の事で後は嘘だから、誰かに語る様に話を作ってんじゃない」
「昨日私の着替えを見た仕返しよ
「ごめん謝るから、朝っぱらから俺のネガティブキャンペーン張る止めて」
「まだ兄妹だからこれだけですんでるんだよ」
「はい猛省しています」
「ところでそろそろ姉さん起こさないと不味いんじゃない?」
「えぇー、起こしに行くの面倒臭いな」と言ってケータイに指を走らせ電話を掛ける。
数コール
「。。。ぅんー、もう食べられないって」なにやら夢を見ている文子
おもむろに掛ってきたケータイのコールに反応し電話にでる
「お前の寝顔の写真を学校のファンにばら撒くぞ、早く起きろ」
「早く起きてこないと恥かしい文子フォルダを学校中の男供にフルバーストするぞ」ブツ。。。
「。。。学校のファンって。。。文子フォルダって」
一方的に凄く不穏な台詞になにやら困惑した凛子
樹はニヤニヤしながら答える
「学校やネット上にファンがいっぱい居るようですよ?」
「ちなみに一枚500円ぐらいになる」
「何それ?」
ドタドタドタと階段を降りてくる文子
下着で半裸姿の状態でケータイを耳に当てたまま話しかけてくる
「樹、それだけは止めて!」
「自業自得だ、言ったろ普段から慎みを持てって、隙だらけだぞ」
カシャ
狙い済ました様に写真を撮る樹。
「ぎゃー」と女の子らしからぬ悲鳴を上げる文子の悲鳴
ピンポーン
チャイムを鳴らし家の前に鞄を片手に逆にはカメラバックを肩に掛け一人佇むおさげの女学生
少し待つと扉を開け半眼の眠そうな目をしながら少訪問者を確認した少年が現れる
「文子の友達。。。かな、今日もご苦労さん」
「おはようございます、文子さんは。。。まだ寝ているのかな?」
「ああ、おはよう、さっき起こしたばかりだから中でちょっと待っててもらえるかな」
兄妹の友達への応対がお父さんのそれっぽいのだが確実に同い年の男の子だ
そのまま出て行く樹を見送っていると凛が出てくる。
凛「優さんおはようございます。如何したんですか?」
優「あー、樹君を久しぶりに見た気がする。」
凛「姉さんと違っていつも早く出てますからねぇ。それに比較対象がアレですから」
ワタワタ準備している文子を見て。
優「文子は結構目立つけど樹君は存在感が薄いと言うかあまり目立たないのよね。」
凛「男と女の双子だから好奇の目で見られて色々と聞かれたりしてウンザリしてるそうですよ。」
準備の終わった文子がやってくる。
文「待たせてごめん。」
凛「姉さん、さっき兄さんに下着の写真撮られたけど大丈夫?」
優「なにそれ、マジ?」
文「大丈夫、大丈夫。樹には何も出来ないし出来ても弱みを握っているから心配ないわ。」
凛「弱みって。。。」
文「でも、まかり間違って私の寝顔や下着写真が出回ったらその時は焦土戦覚悟で報復ね。」
凛「どんな弱みなんだろう。。。」
文「お互い学校に行けなくなって引き篭もりになるか転校するぐらい。かな。」
優「私にはこっそり教えてくれるんでしょう、文子。」
文「弱みは誰も知らないから効力を発揮するの。誰にも教える気はないわよ。」
優「ちぇー。」
―――――
朝、それは新しい一日が始まる時間帯
かく言う渟城学園でもそれは同じで学園生が登校をする時間帯で場所は校門前
「本間、樹、君ね」
校門に差し掛かるタイミングに樹の名前を半信半疑で声をかけられる
黒髪ぱっつん眼鏡のきっと綺麗な部類に入るであろう女子生徒は同じクラスだが縁遠そうで
あまり話した事も無い隣の席の女子なのだが何故このタイミングで話しかけてくるのか疑問が生じる
さては昨日のニアミスの件かと警戒しているとまじまじと人の顔を覗き込むようにしてから
「双子にしてはあまり似ていないわね」と多分文子とでも比べられたのだろう
少し間をおいてから「本間君にお話があるの、放課後に時間はあるかしら?」なんて言葉を掛けられる
大錦絵美里を中心に樹の目にはギャルゲー風味な画面が現れる
そして選択肢。
「素直に誘いに応じる」(ちょろい男だな)
「丁寧に挨拶して様子をみる」(一番現実的か)
「嫌な予感がするので逃げる」(教室で隣同士だから意味なし)
→「スカートをめくり下着の色を確認する」(試してみたい)
「何も悪い事はしていないけれど土下座して謝る」(卑屈だな)
「助けを求める」(ぼっちの俺に加勢するヤツは誰も居なかった)
虚空に指を彷徨わせる樹を不思議に思い絵美里は問いかける。
「本間君は何をしているのかしら?」
「いや、やってみたい選択肢が出たんで一旦セーブしようかと。。。」
マウスをクリックする様な動きを見せる手付きだった
「や、失礼、大錦さんに声を掛けられて取り乱しました」
改めて佇まいを直す樹
「何かやましい事でもあるのかしら?」
ギャルゲー風な画面と選択肢もそうだが下手な事を言うとボロが出そうなので思考停止した
「。。。なんでもないです」何かを察したのか大錦絵美里が一歩踏み込んでくる
「あー、本間文子さん絡みの方で話があったんだけど」
「え、あ、えぇ。。。文子?」なんだ文子の話かってヤツが何をしたか想像できない
「双子にしては性格が逆っぽいじゃない、貴方の事も色々聞かせてもらったわ」
いくら教室で席が隣とはいえ大錦が樹の情報を得たのはほぼ昨日が初めてだったのでカマ掛けもあるのだが
その事を知らない樹は文子は何処まで話しているのか判らないままの彼女の愛想笑いが余計に警戒心を沸き立たせる
樹「色々て、べ、別に文子の恥かしい写真は撮ってないから!」
絵美里「はぁ?」不思議マークを頭に浮かべつつ
絵「じゃあ放課後よろしく。もんじゅの片割れさん」とか言っている。
結局、放課後に絵美里の元に行く事になった模様。
―――――――
放課後に何処に行けば良いのか?
まぁヒントは会話に隠されている。
いや、登場人物に聞けば良いので文子にメールを送り案内させる。
放課後の下校時間にすれ違いに視線を感じる、主に男共から。
悪の巣窟と言われる東雲学園の一番悪いヤツとの仲も影響している。
「本間さんと釣り合わない男が一緒に歩いている。」
「あー、あれ双子の片割れだ、なんていったっけ?」
「樹ぃ、俺と代わってくれ。」
「そう、樹だ、つか双子にしては似てないな?」
「昼にひと悶着あったって話だぜ、魔王に生贄を捧げて命乞いじゃね?」
「馬鹿、大人しそうな顔をして魔王より強いって話を聞いた事がある。」
等々。
しかも極めて微妙に有名人っぽい。
廊下を歩きつつ
樹「ぶ、文子さん。周りの視線が痛いんですが。」
文「目立たない様に過ごしてきたアンタの自業自得でしょう。」
樹「ヒソヒソ話になっていない噂話が耳に痛いんですが。」
文「可笑しいわね、結構似ているのに。案外と判んないもんよね。」
樹「悪の巣窟の魔王より強いとか無いから。。。」
文「それ、アンタ一体何したのよ?」
樹「あいつの悪霊を払うの手伝っただけ。。。」
文「何それ、怖っ!」
―――――――
翌日の同好会部室
図書館のカウンターで秘蔵コレクションを読みながら司書の仕事をする東雲七葉
彼女の巣であり第二図書館の名を冠する同好会部室のテーブルに鎮座するPCモニターからは
「ハムかつサンド美味しいよ」なんて声が出ている「んなっ?!」
PCを操作し渟城学院購買部のHPを見せる金岡優とモニターに目をやる本間文子
「メイドのコスプレで声付きとかサービスし過ぎでアクセス数が普段の10倍だって」
「スマホの連とかツールで口コミとか、今朝私の所にも回って来た」「そういえば私にも。。。」
「ハムかつサンドの1ヶ月の現物支給に釣られてつい。。。って優も貰ってたじゃない」
「文子はモデル、私はカメラマンとしての対価だけれど今日の分売り切れで無いってさ」
確かに昨日の分は貰えたのだが今日の分は3時限目休憩時間で既に完売の為に
エーワンベーカリーの方へ追加発注したらしいが昼までには数が揃わず少量分入荷されただけだった模様
「商品よりも目立っちゃってるねぇ」
「編集は購買部の連中が後から付け足したんだと思う、ある意味彼らの戦術的勝利だわ」
「商品紹介する気ないのかしら」確かに客寄せパンダとしての自覚はあったけれど商品が可哀相に思う
不意に優が商品をクリックすると「一つ200円如何かにゃ?」なんて声が出てくる
「改めてみると恥かしいモノが込上げてくる。。。どうしてこうなった」
「写真撮る前に購買部の人に言われて発声練習とかで声当ててたよね、それじゃない?」
「あー」「私は写真と編集データを渡しただけだから」よく見るとメイド以外の写真も見受けられる
「つか、撮られた写真以外のもある様なんだけれど。。。」じろっと睨むと
「あ、それ別口で一枚1000円で売ったヤツ。。。あ。。。」金岡優ゲロった
「私の写真で商売するな」「。。。あい」
ゴンって金岡優の頭部に拳を中てる文子さんでした
登校風景
女学生3人が歩いている。
文子、凛子。優。
以下飛ばす。
文「二人に無理だと解っているお願いがあるんだけど聞いてくれる?」
優「何よ、突然?」
凛「とりあえず内容を聞くだけならー」
両手を合わせて
文「ウチのトコの同好会に入ってくれない?」
優「あー、ごめん無理。私、写真部に入ってるからダメだわー。」
凛「私も美術部だから。。。」
文「部長がねー、3年生が卒業したら部員が足りなくなって廃部になるかもって言っててさ。」
優「流石に今の時期だとね、みんな部活動決めてるし。」
文「掛け持ちが出来れば良かったんだけれど。」
凛「確か部費の公平性が如何とかで掛け持ち禁止とか言う校則だっけ。」
文「掛け持ちはダメでも助っ人はOKなのよねー。」
優「部長や文子目当てに入部希望者殺到!!ってのは?」
文「抜け駆けが如何のとかで残念ながら今のところ皆無なのよ。」
凛「みんなけん制しあってるんだ。」
優「て言うか、樹君を誘えば良いじゃない。部活やってないんでしょう?」
文「それを頭数に入れても、もう二人足りないのよ。」
優「それをって樹君は決定事項のようね。」
凛「ははは、それで私達に声をかけたんだ。」
文「私はフラれたけどね。樹の事は部長にお願いしてあるから上手くやって欲しいわ。」
飛ばされた。
優「で、同好会のメンバーは集まりそう?}
文「今、部長が動いている。目下のところ樹を口説こうとしているわ。
優「あの部長さんをけしかけるとか、やっぱり色仕掛けで籠絡(←辞典で調べる)の流れ?」
文「いやー、ちょっと、ね。部長が興味があるんだって。」
優「うわぁ、部長も良い趣味しているわー、へぇー」
文「。。。私が部長に樹の事を話したのが原因で興味をもたせてしまいました。」
優「樹君の周りに美人さんが増えると学校生活も潤って華やかで賑やかになりそうだコト。」
凛「そういえば朝、兄さんが言ってたんだけど姉さんのファンクラブって本当に有るんですか?」
文「ある、らしいわよ、遠巻きに間を置いているけれど好機の目を向けられているのは感じるわ。」
優「みんな中身知らないから。でも外見とネットのお陰もあって学校でも字上位に来るから。」苦笑いで。
文「まぁ、一番じゃないって所がミソね。それに凛子も優も充分に上に来るでしょう。」
凛「この世界を創造した神の御心がそうさせてるんですよ。」
文「そーねー、神様も男だからむっさいのよりも可愛い、綺麗系が好きなんでしょ」
優「何の神を差して言ってるんだか疑問だけど偏った神の意思は感じるわ。」
登校途中にて市敷莉子との遭遇戦。なお、この時点で莉子本名はまだ出ず。
先に出た樹、通学路を歩いているとバイクの音が近づいてくる。
と言うか通り過ぎて少し前で止まる。
莉「よう、樹少年。今日も真面目に勉学に励みに行くのかいかい?」
バイクから降りてヘルメットを脱ぐ利子に近づいていく。
樹「朝比奈センセー、おはようございます。ってか、センセーも同じクラスなんだから学校あるじゃないですか。」
莉「や、昨日な、こいつが納車されて。で、今日この天気だろう。走りに行かないと勿体無いしねー。」
バイクに手を掛け空を見上げつつあははと笑う利子を見て
樹「そんなんだから単位足りなかったり授業が遅れて2留するんですよ。」
莉「樹が気にするような事じゃないよ。」
莉「ところでなんか良いバイトない?バイク買ったら金欠になって。」
樹「そうやって実益を兼ねた色んな趣味に手を出すからお金がないんですよ。」
樹「この前だって大ハードな殺しても死なない男のDVDに影響されて中古屋からベレッタのエアガン買ってきてたじゃないですか。」
莉「それなんだけど折角買ったから撃ってみたいよね、サバゲーやらない?」
樹「また趣味を増やすつもりですか。」
少し考えて
樹「。。。期間限定ですが良いバイト有りますよ、基本的にお茶飲み付きの歩哨ですけど。」
莉「何それ、そんなバイトあるの?」
樹「何時襲ってくるから判らないんで見張りするんですが相手は本気で襲撃してくるから老練な仲間達と連携して追い払うんですよ。」
屈強な迷彩柄の兵士を想像して
莉「面白そうね、つか、日本でそんな仕事あるの?」
樹「エアガン使って畑の作物を猿から守るんですよ、農家のお爺ちゃん、お婆ちゃんと連携して。」
莉「あー、なんか一気にスケールダウン。」
屈強な戦士達のイメージが最新装備を装備を抱えるお爺ちゃんお婆ちゃんに入れ替わった瞬間だった。
補足
莉子がツーリングに向かった先は竜飛岬。
2留中。
1年の時にバイクにはまり免許を取る事に情熱を燃やした為に留年。
何とか2年になって大人しくなったと思われたが
実は金の掛からない趣味としてお絵描きにはまり
ネットのSNSで地元が近い絵師を探して樹と知り合った。
お絵描きに没頭して2年を留年し樹と同学年、同じクラスに至る。(HN朝日奈「高雄」=親父の名前)
バイクはあさひな先生から写真を撮らせてもらう。
授業頑張ってねーと言いつつ莉子はバイクに跨りツーリングに行ってしまった。
再び樹一人での登校する。
「本間、樹、君ね。」
校門に差し掛かるタイミングに樹の名前を半信半疑で声をかけられる。
黒髪眼鏡の多分綺麗な部類に入る女子生徒。
腕に風紀委員の腕章を付けている2年の大錦絵美里。
まじまじと顔を覗き込むようにしてからうん、と何かにうなずき少し間を置いて
絵「樹君にお話があるの、放課後に時間はあるかしら?」
絵美里を中心に樹の目にはギャルゲー風味な画面が現れる。
そして選択肢。
「素直に誘いに応じる。」
「丁寧に挨拶して様子をみる。」
「嫌な予感がするので逃げる。」
→「スカートをめくり下着の色を確認する。」
「何も悪い事はしていないけれど土下座して謝る。」
「助けを求める。」
虚空に指を彷徨わせる樹を不思議に思い絵美里は問いかける。
絵「樹君は何をしているのかしら?」
樹「いや、やってみたい選択肢が出たんで一旦セーブしようかと。。。」
樹「や、失礼。風紀委員に声を掛けられて取り乱しました。」
改めて佇まいを直す樹。
絵「何かやましい事でもあるのかしら?」
ギャルゲー風な画面と選択肢もそうだが
樹はさっき「授業、頑張ってねー」ってバイクに跨り走っていったクラスメイトの事を頭に浮かべていた。
樹「。。。なんでもないです。」
腕章を見ながら
絵「あー、風紀委員だからじゃなくて、文子絡みの方で話があったんだけど。」
樹「クラスメイトのサボりの話じゃない、んだ。。。。え、文子?」
絵「双子だから仲が良いじゃない、色々聞かせてもらってるわよ。」
愛想を良くする為の笑った顔だったが樹には不敵な笑顔に見えた。
樹「色々て、べ、別に文子の恥かしい写真は撮ってないから!」
絵美里「はぁ?」不思議マークを頭に浮かべつつ
絵「じゃあ放課後よろしく。もんじゅの片割れさん」とか言っている。
結局、放課後に絵美里の元に行く事になった模様。
補足。
東雲学園。
小中高一環、エスカレータ式の学校。
モデルと言うか場所は能代第一小中と能代工業のあそこら辺。
昔の記憶なので若干平行世界チックに思い出して描く。
最悪、後で能代に資料写真を撮りに行く。
長谷川龍。
いや東雲学園の「魔王」。
悪の巣窟と言われる東雲学園の裏の支配人。
学ランを羽織り腕組みをするシルエットのイメージ。
中学の頃に学園の一人が駅で不良に絡まれて荷物を奪われた時に長谷川龍が現れて
荷物を奪ったヤツを追いかけず仲間の一人をフルボッコにして取り返した。
バイト先の先輩に生活費としてお金を貸したら
その先輩がパチ屋から出てきた所にばったり出くわし
使用目的が違うじゃないかと顔が変わるぐらいに殴った。とか枚挙にいとまが無い。
そんな武勇伝が幾つもあるのだが基本的に間違った事をした者に対して容赦が無いだけで
実はとても面倒見の良いお兄さん的な周りに勘違いされた悪なのである。
そんなイメージが先行しすぎた為に実際は背は高いが身体の線が細く舐められやすい風貌なのだが
ネームバリューで強面の取り巻きが居るので対外的にもガードが固かった。
それは学園でも同じ。
ちなみに食わず嫌いでラーメンが大好き。
どの位大好きかと言うとラーメン屋でバイトするぐらい。
そして樹の友人。
昼休み
樹が昼寝の場所を探し学園裏の公園を歩いている。
精神的にあまり良い環境ではなくイラ付いていると魔王と厳つい集団に出くわす。
厳つい集団も樹に気が付く。
魔王の目もきつく光る。
「おい、アイツ、本間じゃね。」
「やべ、長谷川さんの目が怖くなってる。」
取り巻きが魔王までのレッドカーペットを敷く、もとい道を開く。
ズボンに手を突っ込んだまま龍の前に立ち
樹「今日は上がヤバイから行かない方が良い。」
小声で話しかけた為に周りには聞こえていない。
二人がにらみ合っているように見える。
「なんか本間の目も据わってたぜ。」
「この前みたいにまた始まるのか。。。」
そんなギスギスぴりぴりヤバイなぁってっ空気をかもし出していた。
二人の以前の悶着を知っているので恐ろしくみな黙っている。
龍「そうか判った。おい、向こう行こうぜ。」
樹「じゃあな。」
強面の取り巻きが一様に心の中で「えー」とか思って
そのまま歩いていく樹を見送る。
「一戦始まるかと思った。」
「長谷川さんが折れるとは思わなかった。」
「アイツ本当に何者なんだ?」
龍が折れる形で道を変えた(様に見えた)のだ。
いそいそと魔王の後を追う。
放課後に何処に行けば良いのか?
まぁヒントは会話に隠されている。
いや、登場人物に聞けば良いので文子にメールを送り案内させる。
放課後の下校時間にすれ違いに視線を感じる、主に男共から。
悪の巣窟と言われる東雲学園の一番悪いヤツとの仲も影響している。
「本間さんと釣り合わない男が一緒に歩いている。」
「あー、あれ双子の片割れだ、なんていったっけ?」
「樹ぃ、俺と代わってくれ。」
「そう、樹だ、つか双子にしては似てないな?」
「昼にひと悶着あったって話だぜ、魔王に生贄を捧げて命乞いじゃね?」
「馬鹿、大人しそうな顔をして魔王より強いって話を聞いた事がある。」
等々。
しかも極めて微妙に有名人っぽい。
廊下を歩きつつ
樹「ぶ、文子さん。周りの視線が痛いんですが。」
文「目立たない様に過ごしてきたアンタの自業自得でしょう。」
樹「ヒソヒソ話になっていない噂話が耳に痛いんですが。」
文「可笑しいわね、結構似ているのに。案外と判んないもんよね。」
樹「悪の巣窟の魔王より強いとか無いから。。。」
文「それ、アンタ一体何したのよ?」
樹「あいつの悪霊を払うの手伝っただけ。。。」
文「何それ、怖っ!」
風紀委員の部屋。
。。。では無くて思いっきり文系。
図書館横のこじんまりした部屋。
窓を背に絵美里が入り口を見て座っている。
絵「ようこそ、東雲学園漫画同好会へ。」
演出としてはまるで悪者が正義の味方を待ち構えている感じ。
逆行に対して眼鏡が光り口元の両端が吊上がっている様に見える。
樹「ああ、やっぱりか、そう思ったよ!」
絵「サークルもんじゅ。大手ではないにしてもそこそこの中堅。」
とりあえず落ち着いた風を装い
樹「その名前を出された時にそんな予感はしていた。」
この学園も活動の一環で参加している。
当然この部屋の主が現場にいてもおかしくはない。だが。
絵「主宰は文子と樹君。と言っても前に行った時は文子と売り子さんだけだったけれど。」
「挨拶回りとかお気に入りのサークル巡りでもしていたのかしら」と、眼鏡が怪しく光る。
個人サークルで参加しているのがバレていた。
と言うか客としてきていた模様。
樹、天を仰ぐ。天井しか見えないが。
文子にへらーと笑って
「変な事は話してないよー」
なんて言っている。
この女は何処まで話している?
そんな事を考えながら絵美里に目を向けると
絵「別にそこまで身構えなくても良いわよ。」と言って
絵「樹君は部活とかやってないわよね。如何かしらウチの同好会に入らない?」
樹「俺なんて役に立ちませんよ。」
絵「あー、うん、名前を貸して貰うだけで良いんだ。」
樹「それは如何言う意味で?」
絵「今の3年生が抜けると同好会の人数が足りなくなって存続が怪しくなるのよ。」
絵「特に積極的に参加しなくても問題はないわ。」
「自分のサークルもある事だし。:と付け加える。
樹「そう言う事なら別に名前を貸すだけですし、良いですよ。」
絵「ただねー、もう二人足りないのよ、心当たりある?」
樹「それは文子にも聞いたんだよね。」
文「私の場合は凛子と優だったんだけれど今朝、二人にコクってフラれましたー。」
片目をつぶってテヘペロ。
補足。
金岡は高校は写真で中学は柔道から美術に転向の模様。
だがしかし、中学で柔道は女の子らしくないので美術部のみで。
つか前職を生かして行けるね!
ページの区切り(コマ調整でここで一旦切れるように)
樹もそんなに心当たりがある訳ではない。
が、閃いた。
頼りになる姐さん、市敷莉子の存在を。
早速ケータイを取り出し電話する。
樹「あ、朝日奈センセーお疲れ様です。」
絵「誰?」と文子を見る。
何かを思い出したかの様に手をポンと叩き
文「あ、もんじゅのお絵描きブログで良くコメントくれる朝日奈高雄さんだ。」
二人は樹に顔を向け
樹「竜飛岬ってこっから片道200キロ以上じゃないですか、うぁ、マジで?」
文「。。。え、もしかして同じ学校の人なの?」
絵「と言うか今日、平日で授業有るのにすっぽかし、はぁ?」
場面は変わって竜飛岬、若干陽が傾き海に反射する光が逆行となり
ライダースーツが莉子のボディラインを綺麗に見せている。
莉「道中楽しかったからね、でも折角来たけど灯台と墓地、風力発電の風車しかないねぇ。」
晴れやかな顔をしてそんな事を言う。
絵「あ、お電話変わりました。大錦です。」
莉「お、おお、大錦! 風紀委員の、なんで?!」
絵「。。。やっぱり莉子だったのね。」
声を聞いて半信半疑だった思いが確信に代わった。
莉「何か用ですかー、ワタクシは今風邪を引いて自宅療養中ですよぅ。ゲホゲホー」
絵「嘘を付いてもダメです、そんなだから2留するんですよっ。」
樹「俺、竜飛岬っていっちゃったし」
たははと笑う文子。
絵「貴女を目の届く所に置く為にも我が同好会に入ってもらいます。無論、強制的にです!」
莉「同好会?同好会って何の?でか、樹ハメたな。」
絵「樹君は関係ない。偶然の流れよ。取り合えず明日はきちんと学園に来てくださいね。」
莉「ア、アイ、サー!!」
涙目になりながら沈みかけの太陽に向かって最敬礼。
樹「あと一人。」
放課後、校外。
パンダラーメン。
一番奥の座敷。
同好会の伝統的な第一会議室だが
絵美里が部長になってからは別の目的も兼ねて良く会議が開かれる様になった。。
別の目的、風紀委員的な監視の為。
ラーメンを運んできた男、長谷川龍の素行のチェック。
龍「良いっスよ、名前を貸すだけなら。」
樹「悪いな、忙しくしてる所に押しかけて、しかも同好会に入ってくれって無理言って。」
そんな極近しいやり取りを目の当たりにし目を見開いている絵美里と文子。
龍「あ、でも他の生徒に俺の名前を出しちゃダメっスよ、
他の同好会の人間が辞めてしまったり、迷惑が掛かるかもしれませんから。」
気の使い方もそうだが聞いていた話より紳士的だ。
そして仕事に戻っていく龍。
絵「あ、貴方の交友関係って如何なっているの?!」
かぶりつく様に樹を見る。
文「ほ、本当に魔王を紹介された、生贄にされるトコロだった。」
頭を抱えている。
そんな二人を流しつつ
樹「あいつの作ったラーメン旨いから伸びる前に早く食べましょう。」
絵「あなた方の関係を詳しく説明願いたいわね。」
樹「あまり良い話ではないですが食べながら話しますよ。」
パキッと割り箸を二つに割る。
樹「両親が離婚した頃にオヤジの生霊に悩まされてた頃です。」
文「あー、母さんも言ってた。物理的に遠くに行ったのにストーカーみたいでしつこいって。」
樹「あまり酷いから塩撒いたりしたけど効果が無くて偉い坊さんの居る寺に行ったんです。」
龍「その頃は丁度俺も夜な夜な出かけては泥だらけになって朝には帰る生活でな。」
突然の龍の会話の乱入に驚き文&絵「なんですと」と答えている。
よいしょと空いている座席に腰を落とし
龍「休憩貰ったから俺もここでまかないを食べさせてもらう。」と一言添える。
龍「で、ウチの親は毎晩喧嘩しに出てたと思ってたらしくて何時もの事かと思ってたらしい。」
龍「親父がちょっとした「自由業」の人でさ。むしろ良くやってる、みたいな感じでは有った。」
文&絵「自由業の人って。。。」「そんな下地があったんだ。」
樹「トコロがね、その寺に行った日に見たんだよ。墓地で女の霊にとり憑かれ墓の地面を掘っている場面を。」
龍「その話を聞いた時にわかに信じられ無かったけどさ。」
ごくりと息を飲む文子と絵美里。
樹「正確にはそんなイメージが流れてきたって言った方が正しい。かな。」
龍「それが無かったら相当やばかったって話だ、だから樹はダチだけど俺の恩人でもある。」
樹「ウチと一緒に払って貰ったんだ。」
文「私知らない、そんな事があったの?」
樹「言ってないもの、凛子は薄々感じてたっぽいけど。」
龍「つか、続きがあってな。その後直ぐに校舎裏の公園でたむろってた俺を投げたんだよ、こいつ。」
絵「魔王を。。。あ、ごめんなさい。」
龍「気にしないで」と相槌を打って話を続けさせる。
絵「長谷川君を投げたら風紀委員の方にも話が来て記録も残る筈だけどそんな話を聞いた事が無い。」
樹「学園裏の公園に居る良のくない霊がとり憑きかけていてな。」
龍「それまで俺も気が付かなかったんだが荒れている原因がそれにあったらしく。」
絵「悪霊に憑依され東雲の魔王と畏れられるぐらい暴れまわっていた?と。」
樹「気が付いたら取り巻きの間を縫って近づいてどうやってか投げていたんだ。」
龍「そのまま襟首掴まれてまた寺に連れて行かれた。如何やらそう言った類のを引き寄せやすいらしい」
苦笑いしながらお守りを見せ今は自己防衛してるんだとアピールしながら話す。
樹「視えはするけどお払いとか防御結界とかは、出来ないから。」
龍「一瞬の出来事てのも有ったけど取り巻きや俺の面子もあってみんな口をつむぐ事にした。」
絵美里、長谷川と樹の顔をみる。
樹は何か? って顔をしている。
龍「樹が居るし今だから話すんだけどな。」
龍の食べているラーメンの器に目をやる文子。
文「長谷川君のラーメンメンマだらけなんだけど?」
樹「龍は肉がダメなんだ。と言うか食わず嫌いっぽいけど。」
龍「「肉が食えないなんて人生の半分は損してる」
龍「ってまかないの時にマスターがチャーシューの代わりにって大量投入してくれるんだ。」
困った顔でメンマをポリポリ食っている。
と言うか漫画では会話の合間に隅で延々とメンマを食べている絵を入れる。
起承転結の
承の部分。
人員は確保した。
部室で写真を撮る文子の広報係、優。
当然被写体は文子。
「いいねー、いいよー」とか言って何度もシャッターを切っている。
積極的に参加しなくても良いと言われた樹だが
流石に入って直ぐに来なくなるのも気が惹けるので取り合えず顔を出していた。
龍は己の事を理解しているので当然この場にはいない。
東雲学園漫画同好会もとりあえずだが今後一年は多分、安泰だ。
本日より新生漫画同好会の活動が開始されるがそこにはもう一人の新たなメンバーが。
風紀委員絵美里の目の前に直立不動と言うか敬礼して立つ女、市敷莉子。
机の上には青森土産「気になるりんご」が鎮座している。
絵美里はにこりと微笑みながら「これから三年引退まで宜しくお願いするわ、市敷さん。」
名前の辺りで微妙に力がこもっているのを感じたのか
莉子「イエッ、サー」ビシッと答えるのだった。
根が義理堅いので最後まで続けてくれるだろうと樹は思った。
「はぁ」とため息をついて樹の隣に座る莉子。
樹「すみません巻き込んでしまって。」
莉「良いわ、バイクに使うお金よりも安上がりだし、しばらくお金を貯めるつもりで頑張るわ。」
当然二人の接点がなんであるか気になる人もいるだろう。
そんなやり取りをみて絵美里が口を開く。
絵「聞いて良いかしら?」
樹、莉子「ん?」と絵美里に顔を向ける。
絵「二人は傍目から見てそんなに接点がなさそうだけど。」
優「あ、私もそれ気になる。樹君ってあまり社交的じゃないから。興味あるわ。」
同じように被写体になっていた文子も興味がありそうに見ている。
そして語り始める。
莉「二回目の一年生をやってた頃あまり遊びまわれなかったからインドアな趣味としてお絵描きを始めてー。」
莉「。。。始めたんだけど上達しなくて地元の近い人に教えてもらおうとお絵描きSNSで検索したら。」
樹「お絵描きブログで検索していたら同じ秋田の人としてロックオンしたらしい。」
莉「絵柄も好みだったしラッキーって思ってメッセージを使って連絡したんだ。」
樹「丁度冬のイベント時期だったから会場でオフ会めいた事をしようって。」
莉「興味の湧いた事は知りたいって探究心したいって気持ちが働いて行ったんだけど。」
莉「あんなに人が多いとは思ってなかったから人によって最悪だったわ。」
樹「で、いざ会ってみたらお互いえーっと。。。?ってなって。」
樹「ほら朝日奈センセー。。。ってハンドルネームなんだけど下が「高雄」って男の名前で。」
莉「樹はひらがなで「いつき」だからこっちが勝手に女だと勘違いしてたからー。」
二人は出会いのシーンを思い浮かべる。
樹 高雄って男じゃなかったのかよ。
莉 女の名前使うと舐められるかもしれないから親父の名前を使っているんだよ
莉 そっちこそ女みたいなハンドルネーム使ってネカマ野郎が。
樹 ネカマって言うな!
樹 本名だよ、オフ会で別のハンドルネームで呼ばれても返事をする自信がないから本名プレイなんだよ。
と、思い浮かべただけにして樹はまろやかに言い換える。
樹「お互いしどろもどろになって問題を先送りと言うか地元が一緒だったんでー」
樹「帰ってからまた会おうって話になって解散したんですよ。」
その話を聞いていた3人。
優「あー、何となく判る、判る、」
文「ネット上だとハンドルネームで性別判断難しいから。」
絵「実際に顔を合わせると同性同士でも気まずい時があるしねー。。。」
とある意味うなずき同情している。
莉「今日だっけ夏のイベントの当落結果が判る日。」
樹「ネットだとすでに結果が出ててウチのトコは受かってた。」
樹「後は当選の封筒が届くの待つだけだけど多分今日辺りかな。」
教室で樹が莉子と話していると文子がやってきた。
文「莉子さん。迎えに来たよ。」
莉「毎日代わる代わるお迎えに来なくてもサボらないって。」
樹「文子、学校の当落どうなったか知ってる?」
文「朝、気になって部長にメールしたんだけど返事が無いの。」
莉「もしかして落ちたんじゃないのか?」
文「部室に行って確認してみましょう。」
朗報、夏のイベントに東雲学園漫画同好会とサークルもんじゅが当選確定。
絵「諸君、我々に大義名分が与えられた。」
青封筒に手を置き物々しい雰囲気で絵美里部長が演説をかまし始める。
絵「これにより栄えある決戦場への本格参加が許可された。」
絵「先人、先達が阿鼻叫喚の地獄絵図を展開し幾万の屍の上を踏破した道に我々も歩を推し進める事となる。」
絵「幾多の困難が待ち受けようとその先にある栄光を掴む為に立ちはだかる巨大な壁を乗り越えねばならない。」
絵「誇りある東雲学園漫画同好会諸君にはそれが可能だと信じている。」「そもそも。。。」
熱くなり窓の外に目線を移し語っている部長を傍目に樹が文子に耳打ちする。
樹「なぁ、絵美里ってあんな性格なの?」
文「お嬢様だから家では厳しく躾けられてるみたいで基本的に漫画もゲーム禁止。」
文「あの子、最近やっと勉強と言う名目でPCを買って貰って部屋でこっそり遊べるようにはなったらしいけど」
莉「うへぇ、嫌だなそう言うの。」
文「同好会所属もばれないように風紀委員でカムフラージュしているのもその為ね。」
文「彼女の抑圧された精神を発散出来る唯一の場所がここなのよ。」
そんなヒソヒソ話をしている三人に絵美里は振り返り言い放つ。
絵「これより戦時体制に移行、八月遠征に向け準備を開始する。」
独裁者張りの威厳を放ち片方の握りこぶしを中空に掲げている。
その前に一学期の集大成、期末試験があるんだけどね。
優「うー、今回の期末試験は難しかったわー」
文「中間試験の時は簡単だったから余裕こいてたわ。。。」
力尽きている二人。
絵「授業を聞いていれば何とかなるわよ。」
そんな会話に絡んでこない二人。
優「樹君や莉子さんの結果は如何だったんですか?」
樹「普通。」
莉「ギリギリ。でも赤点じゃない筈。」
樹「朝日奈センセーは真面目にやればもっと上の方に行くんじゃないですか?」
絵「どうしてそう思うの?」
樹「前回のー、中間試験の時に帰ってきた答案用紙を見せて貰ったんですよ。」
樹「そしたら必要最低限って言うか必要な点数分以外真っ白だった。」
絵「えーっと。。。赤点を避ける分の回答しかなくて、しかも全て正解だったけど他は書いてなかったって事?」
樹「ええ。」
莉「点数に興味はないし追試や補講さえ避けられればやりたい趣味とかに労力を傾けられるからね。」
絵「必要最低限こなしていてなんで留年してるんですか?」
莉「やりたい事をやった結果、休み過ぎて出席日数が足りなくなったのよ。」
他4人「あー。。。」
明日から修羅場に突入よ。
その日。
絵美里は莉子を迎えに樹のクラスに来ていた。
絵「あれ、樹君はもう帰ったの?」
莉「今日は用事があるとかで速攻で帰ったよ。」
絵「これから修羅場が始まるのに随分と余裕よね。」
そんなやり取りに帰り支度をし聞き耳を立てるクラスメイト達。
「え、修羅場って何?」
「大錦さん最近よくこのクラスに来るけど実は本間君が目当て?」
「莉子さんって本間君とクラスで一番仲が良くなかったっけ?」
「でも最近放課後に3人で教室からよく出て行ってるじゃない。」
「もしかして二人で本間君を奪い合ってる?
絵「ならしょうがないわね。私達だけで始めましょうか。」
莉「どうせ居たところで手なんか出さないだろうし良いぜ、やろうぜ。」
「て言うか、これから二人で修羅場?! 」
「はは、まさかぁ。」
そんな話が教室で展開されているのを知らないまま絵美里と莉子は部室に向かう。
補足
いるバージョンも有ったらいいかも?
クラス委員長(必要なら名前を考える)は樹に気があり?
莉子のサボりの時に本間に莉子の事を聞いている。
市敷さん今日も休み?
知っているけれど流石にさぼりとはいえなかったのでとぼける。
仲がいいから知っているかと思ったけど。
というやり取り入れたほうが良いのかな?
後日。
修羅の流れ。
絵「樹と文子は初日から参加。」
絵「優は文子の広報担当&サークルスペースのお手伝いとして参加。」
莉「私はパス。」
莉「上京はするけれど会場は人がいっぱい居るので酔うからダメ。打ち上げなら参加する。」
絵「龍はーバイトがあるのでいけず。元々興味がないので不参加。」
莉「原稿が終わらんのだけれど。」
絵「修羅場って言ってもまだホンの入り口だからねー。締め切り一週間前は本当に大変だから。」
莉「なら樹の家で修羅場ろうぜ。」
樹の家、基、文子の家
準備と言っても原稿を描くとか。そんなのだけれど。
そんなに色々な出来事がある訳でもなく滞り進む。
樹と文子の妹である凛子もたまに手伝いに来ていた。
絵「いやぁ流石、美術部ね、上手いし助かるわ。」
凛「そんな事ありませんよー。」
優「樹と文子の妹ってトコロもあるんじゃない?」
絵「お絵描きに特化した兄妹ね。」
凛「兄さんのはたまに手伝っていたけど姉さんのは優さんが手伝ってたんで。。。」
優「写真撮らせているんだから私のも手伝ってって無理やりね。意味判んない。」
文「その写真を一枚500円で学校でばら撒いているのは誰なんでしょうかねぇ?」
「お互い様よ」なんていう文と優つかみ合っている横で
凛「はは、兄さんはちゃんとアルバイト代として出してくれますよ。」
莉「バイト代を出すなんて優しいんだな。」
樹「当然の対価でしょう。」
凛「でも通帳に7桁の数字が並んでいるのはびっくりしました。。。。あっ」
ざわっ
周りの視線が樹に集中する。
莉「や、樹ぃ、私欲しい物があるんだけど今月ピンチでさぁ。」
絵「莉子さん風紀委員の目の前で金銭強要はダメです。」
樹「いや、目の前じゃなくてもダメでしょう!」
莉子がちぇーっとか口を尖らせてる。
絵「ところで税金対策とか如何してるの?」
樹「母さんが自営業なんで一緒にやってもらってます。」
横では
優「文子、冗談抜きで私にもバイト代頂戴。」
文子そっぽむいていた。
起承転結で考えると
転にあたる夏イベント開催の場面
ちなみに
起はメンバー紹介
承は学園生活と裏山消しからん状況説明。
転はこれから始める夏イベント
結は夏イベント終わり頃からラーメン屋さんの打ち上げまで
起承転結の頭で5分割のメンバーの絵を入れる
アルタイルさん「13」表紙みたいなの
東京ビックサイトの入り口広場。
絵「私はこの場所へ帰ってきた!」
テンションMAXの絵美里の横で
優「夜行バスと電車の乗換えで身体中が痛い。」
へたり込む優。
絵「何を言っているの本番はまだ始まっていないんだから元気が足りない!」
優「文子と樹みたいに前日に上京してホテルに宿泊とかしたかったー。」
絵「同好会の本を作るのもやっとなのに部費でそんな贅沢は出来ないのです。」
優「その贅沢者の二人はまだ着てないの?」
絵「先に会場入りしてるって、さぁ私達も行くわよ。」
樹と文子。。。コスプレしている。
樹「。。。流石に今回は勘弁して欲しかったなぁ。」
文「今更嫌がってもお化粧して着替えてここに居る時点で駄々をこねても無駄よ。」
樹「。。。だよなぁ。」
文「それに前回撮った写真を学校でばら撒かれたくないからって私の言う事を聞いたのよ。」
文「もんじゅの売り上げUP作戦、私がコスプレして売り子やるわ。だからあんたもやって。」
前回のイベント前に言われた言葉を思い出す。
樹「くそう、文子の甘い囁きが抜け出せない泥沼への一歩だったのか。」
文「実際、売り上げ上がったんだから大成功だったの。」
樹「お前がメイドの格好するって言うからてっきり俺は執事的なモンだろうと思ってたんだ。」
樹「ところが如何だ、この格好?!」
くるっと廻ってみる。
いざ、ふたを開けてみたら男の娘の格好、つかバトルメイデンのコス。
文「そうね、前にも増して似合ってて可愛いわよ。」
なんて事をいう。
机に手を突いてどういう反応をすれば良いか判らず固まっている。
文「私、学校の方のスペース行かないといけないから今日は一人で頑張って。」
樹「へ?」
樹「待て、聞いてないし。」
文「一緒に向こうに行くとバレるわよ。」
樹「行かなくてもバレるよ。」
文「あら、バレるかバレないかは樹次第よ。」
「じゃぁねー」とかその場を去っていく文子
やられた
「時すでに遅し、後の祭りか。」そんな事を思う樹だった。
開始直前で熱気が凄い。
大手にはすでに行列が出来ていてそれが人の壁となって繋がっている。
まだ開場前なのにサークル参加の連中がその特権を生かして並んでいるのだ。
上を見上げ遠くの時計を確認する。
樹「もう直ぐでイベント開始か。人の情熱というか妄執というか。」
樹「どろどろした感情が渦巻いて全てを飲み込んでいく。まるで生きた怨念だ。」
視線を戻す。
その人の壁を「すみません、すみません」と言ってこちらに歩いてくる大錦と優。
樹「なんでおまえらがおんねん!」
思わず顔に手を当てて背けながらそう思うのだった。
絵美里、優とのやり取り
優「あ、あったあった。サークルもんじゅ。」
絵「すいませーん。お手伝いの売り子さんですか?」
優「学校の漫画を委託したいんですけど樹君はいませんか?」
見回して話しかけるがそこに置けとゼスチャーで答える。
絵「ここに置けば良いんですね。よろしくお願いしまーす。」
優「んん?」
優が何かに気が付き目を細め樹の顔をよく見ようと近づく。
樹は一生懸命顔を見られない様にそらそうとする。
何を思ったか優はニヤリと微笑み
優「写真一枚撮らせてください。」
なんて言う。が樹も条件反射で
樹「それはダメだから!」
しまったと固まる樹と勝ち誇った顔の優は「あー、やっぱり。」と、びっくりした顔の絵美里「えっ? えっ?」
そこへアナウンス。
「これより夏のイベント開催しまーす」
わー。ぱちぱちぱち。拍手の音がが鳴り響く。
優「良い物も見れたし私文子のトコに戻るわ。」
優「絵美里はこのまま樹君のトコ手伝ってれば良んじゃない?」
そんな事を言って優は文子のいるスペースへと戻って行った。
絵美里残ってもんじゅの手伝いをする事になった。
絵「も、もしかして去年の冬にもその格好で居た?」
頭の中には去年スペースに来た時応対した文子の横にいる売り子を思い出していた。
樹「うん、文子の罠にはまって。。。」
絵「は、ははは。」
絵「い、樹君似合ってるよね。」
「すいませーん。新刊一部ください。」
樹「あ、いらっしゃいませ。」と応対を開始する。
最初のお客さんが呼び水となってお客さんが次々にやってくる。
「何時も楽しみに読んでます。頑張ってください。」
「あ、これ差し入れです。」
「何時も楽しくお絵描きブログ拝見しています。」
「今日沙羅(文子のPN沙羅双樹から来ている)さんはいないんですか?」
「スケブお願いして良いですか?」
「写真を撮らせてくださーい。」
「ワタクシこういう者です。ウチの店で委託してみませんか?」
「会場取材しているんですがインタビュー良いですか?」
そんなやり取りに圧倒されつつ怒涛のお客さんに対応する絵美里と樹。
厳密には正午過ぎまでの事柄なのだけれども紙面の関係で凝縮。
最後の一冊が無くなり完売。
樹「ありがとうございましたー。これで完売です。」
脚「あぁ、そうなんですか良かったー。」
お礼に会釈をしながら去るお客さん。
差し入れの山を見て絵美里が言う
絵「会場設営前よりも荷物が増えているね。」
樹「好きなのとって良いよ。」
A4の紙に
「サークルもんじゅ
新刊完売しました。」
隣のサークルさんにお疲れ様でしたと声をかける。
お隣さんもお疲れさんと声を掛けてくれる。
樹「じゃ、学校のスペースへ向かいますか。場所は何処ですか?」
絵「あ、こっちよ。」
とスペースの方へ移動を開始する二人。
人だかりの学校スペース。
文子無双。
文「お買い上げありがとうございます。」
なんて言いながら媚をお客さんたちに売っている。
文「ああ、2冊で1300円。こちらが商品になります。」
文「そちら500円です。お釣りです。」
その横で本を渡しお会計とてんやわんやな優。
しばし呆然と立ち尽くしていた樹と絵美里だが状況を把握し
樹「俺手伝ってきます。」
優に声をかけ代わってもらった。
二人の手際。と言うか楽しそうに売りさばく二人の絵。
離れたところで見てる優と絵美里
「なんと言う連携プレイ」「プ、プロだ。」
と心の中で思うのだった。
「これが最後の一冊です。お買い上げありがとうございました。」
「完売でーす。」
おー、ぱちぱち。
廻りも釣られ拍手している。
端で優が写真を撮っている。
以下「結」の部分
4人は撤収後ゆりかもめ経由で新橋に居た。
打ち上げ会の為にファミレス(ガスト)へ入る。
入る前に樹は市敷莉子に電話していた。
それぞれご飯を頼む。
文「如何だった。」
樹「朝日奈センセーは来られないそうです。」
絵「事故にでもあったの?」
樹「道を間違えて房総半島の南端に居るそうです。」
優「流石に途中で気が付くんじゃない?」
樹「「海岸沿いの風が気持ち良かったからそのまま走った。」そうです。」
イケメン莉子さんが西に傾く太陽の光を浴びて白い歯を見せ笑ってケータイで話している姿。
文優絵「あー、なんとなく想像できるわー。莉子さんらしいわぁ。」
食事が運ばれてくる。
ウエイター。
「以上でおそろいでしょうか。」
「では、ごゆっくりしていってください。」
樹「部長お願いします。」
優が合図を送る。
絵「今回は皆さんのお陰でとても素敵なイベントになりました。」
絵「特にサークルもんじゅの二人を迎え並々ならない戦果を得る事ができました。」
樹と文子の方を向き「二人ともありがとう。」
絵「金岡さんもお手伝いだったけどありがとう。」
軽く会釈をする優。
絵「お陰さまで我が部始まって以来の初の快挙、完売を達成する事ができました。」
絵「皆さんのお力添えに感謝し私がこの場の音頭を取りたいと思います。」
みんなが注目しグラスを掲げる。
絵「かんばーい(完売)、お疲れ様でした。」
みなが飲み物の入ったグラスを掲げた状態で凍りつき絵美里を見るのだった。
凍りついた打ち上げ会も氷解し解散する運びとなった。
ここは東京駅新幹線改札前。
凄く手ぶらな二人樹、文子に対して旅行用カートを引きずる二人優、絵美里。
優「あ、あんた達荷物は?」
文「そんなの会場から宅配に決まってるでしょう。」
優「何時の間に。。。」
新幹線発着の電光掲示板に目をやる文子。
文「お疲れ様でした。時間なんで私達先に帰りますね。」
絵「あぁ、お疲れ様でした。」
樹「本当はアキバに寄りたかったけど。」と付け加える
改札を通る二人
優「本完売したんでしょう。それで私達も新幹線で。。。」
絵「ダメよ。完売しても元手が同じぐらい掛かってるからトントンか赤字なの。」
優「えー。バスで帰るのやだよう。」
絵「我慢しなさい。」
改札の向こうに目をやり言う。
絵「目に焼き付けておきなさい。アレが真の勝利者の姿よ。」
エスカレーターのところで手を振る新幹線組み二人を見送るバス組の二人。
帰ってからの反省会にて。
第一会議室。パンダラーメン。
長谷川龍のバイト先。
「写真を現像してきましたー。」
「優早く見せて見せてー」
「綺麗に撮れているじゃない、流石写真部。」
エッヘンと胸を張る優。
「ヘイ、お待ちー」とラーメンどんぶりを置いていく長谷川龍。
その横で絵美里、「本当綺麗、ってか可愛いわよね。」て言ってる。
莉子はラーメンをすすりそれを覗き込んでいる。
女性陣が多過ぎて端の方で食べている樹。
凛「兄さんは何処にいるんですか?」
優「それはねー」
一枚の写真を手渡す。
樹その写真が何かに気が付くがすでに遅し。
ラスト。
文子と樹のコスって顔を合わせて同人誌を持っている。
「お買い上げありがとうございました。」
最後のコマは机に置かれているもんじゅの写真。
凛子その写真の何かに気が付く。
「あ、あれ?」
凛「あー、兄さん男の娘だったのか。。。」
写真を見ながらそんな事を言っていた。
設定と言うかネタの羅列
莉子初参加の日の話とか
締め切りに追われている時に話してるとかテスト終わって話してるとかそんなシチュ。
風紀委員の絵美里
兎に角漫画が好きで自分でも描いて楽しんでいた。
お嬢様育ちの為自宅の部屋では出来なかったので同好会に所属した。
同好会に入っているのでカムフラージュする為に風紀委員にも在籍した。
最近はPCを買ってもらったので部屋でもっぱらデジタルツールで楽しんでいたが
同好会は辞めなかったと言うか3年が引退の為人が足りなくなり辞められなくなった。
その絵美里が何故樹に話を持ってきたか。
学園の生徒は創造型オタクより消費型オタクが多いのだそうだ。
女子の友人達にも声を掛けてみたがアニメは好きだけど妄想まで創作には至らない。
駅前のその手のショップには行くけれどグッズしか買わない。
男子に至っては校外見回りでたまに怪しいDVDショップや総合中古ショップに足を踏み入れる際
18禁同人誌を漁る生徒は多々見た事があるが
流石に東京のイベント会場で見かける事は無いのだそうで
冬に開催された会場でお宝探しで会場を物色していた時に
偶然サークル参加していた僕らを見つけたのだそうだ。
二次創作「格闘バトルメイデン」のコスプレをしていた文子を最初は他人の空似だと思っていたが
秋田に戻った後も気になりネットで調べお絵描きブログにて
住所が県内、しかも県北だとしり接触、コンタクトを取ったのだそうだ。
イベントで莉子と初めてオフ会をしたのもこの時だった。
同じ東北の片田舎に住んでいるのに初めての顔合わせが東京とか異境の地とか笑えるって話になった。
無理やり同好会に入れさせられた莉子だが
根が義理堅いのでしぶしぶながら登校、放課後には同好会に参加している。
夏のイベントにも誘われていたが冬に人に酔った事で場に合わないのを悟り参加は拒否していた。
ただ愛車で上京してみたいと話をしていたのでイベント後の現地打ち上げで合流する話にはなっていた。
樹の中間テスト、期末テストの成績はものの見事に中間そのもの。
そのときの内容が簡単だろうと難しかろうと狙った様に中間。
もっと真面目にやればって話にもなったが
同様に毎回赤点すれすれだけど赤点じゃない莉子にも言える話だった。
莉子曰く補講、追試さえ避けられれば必要最低限で良い。
その分、他の趣味に時間が割ける事が出来る。との事。
多分本気を出せば1年半ぐらいで卒業できると思っている。学校の制度が改定され本気を出せば。
ちなみに留年は休み過ぎたのが原因だったりする。
金岡優。
文子のコスプレ写真を撮りに何度もつき合わされている。
当然文子の現行の手伝いもさせられている。無償で。
結局、夏に手伝い兼カメラマンで一緒に参加する事になってしまった。
長谷川龍。
お絵描きスキルも何もない人間でしかも名前だけ貸しているだけなので
イベント参加はせずにバイトに勤しんでいる。
原稿は凛子に手伝わせている。
当然アシスタント代も出している。
その時通帳に限りなく7桁に近い数字を目撃されている。
長谷川のお父さんは「自由業」。
母さん気合入れすぎ。
本職が和裁だから洋裁は苦手。って言ってた割には出来が既製品並みなのよね。
折角の夏なので水着回を期待したい。
イラスト一枚絵で考えよう。
我が妄想。