9話 再開と災害
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邪神。
その言葉を耳にした時、どのようなイメージを思い浮かべるだろうか。
残虐の限りを尽くす者、恐怖の象徴、悪を極めた者。ほかにもさまざまあるだろう。
しかし、俺が言いたいのは、その国の邪神は別の国の善神ということだ。
例えば、アテナ教の邪神は戦いの神アレスだが、アレスを信仰しているトラキア王国では、邪神はアテナとなっている。
この二人は犬猿の仲であり、天界ではいつの喧嘩をしていた。
アレスがアテナ教で邪神になっているのは、これが大きな要因だ。
何が言いたいじかというと、この世に真の邪神は存在しない。
宗教上の邪神は、人間が纏まるために共通の敵を作っているに過ぎないのだ。
なぜ今こんな話をしているかというと・・・
「最近、王国の各方面から不穏な噂が広まっているのです」
応接室にて。
昨日できなかった話をしようと、前日に引き続き集まっていた。
今日はちゃんとユキとユウも居り、俺の後ろに控えていた。
席に着き、開口一番にアテナから相談があると言われ、今に至る。
なんでも、邪神の信仰者の動きが活発かしているのだとか。
前々から邪教による工作等は行われてきたらしいが、どれもこれも小規模なものだったらしい。
それだけでは何にも問題はなく、俺に相談する必要もない。
問題なのは噂の内容。
邪教の信徒がバスモット大樹林にいるある者暴走状態にして、この国を襲撃させるという内容だった。
このある者が問題なのだ。
バスモット大樹林にいるもの。
それは、特異神である。正確には、特異神の中の十二神といい、地上を守護・管理するために生み出された神獣たちである。
今回、標的にされているのは亥の神獣、|伊吹・山護だ。
大岩のような見た目であり、普段は大樹林の奥に住んでいる。
性格はイノシシらしくなく、知的で温厚であるが、一度暴れだすと、国が半日で潰れてしまう。
通常、神は階が高くなればなるほど魔法や状態異常などが効かなくなっていく。
耐性が高くなり、無効スキルまで持っているため、普通の方法では逆鱗に触れることになるだろう。
では、邪教の信徒はどうやって伊吹を暴走させるのか。
神への対抗策は強大な魔法かスキルのみ。
スキルと言っても、凡人が持つスキルではだめだ。
神が持つ特別なスキルでないと対抗できない。
もし邪教徒が本当に伊吹を動かすことができるならば、裏には神がいることになる。
うーん。どうしたものか。
どうやって対策をするか考えた時に、一番に考えなければならないことは、その噂は本当か、だ。
「なんで今回、邪神教のやつらはこんな噂が流れるようなことをしたんだろう?」
「あー確かに!」
「そうですね。王都を襲撃するには、奇襲の方が圧倒的に成功する可能性が高いはずです。それをわざわざ言うということは、何か裏があるのかもしれません。」
噂を流して奇襲する可能性を消すということは、何か隠したい情報でもあるのかも。
例えば、今回、俺らも例外なく王都に出回っている噂に釘付けになっている。
アテナの関係者だからこそ何か裏があるかと疑心暗鬼になることができたが、国民は精々、噂の真偽を疑う止まりだろう。
「裏に何が潜んでいるかわかりませんが、今回の件でアレスは一切関係ない可能性がありますね。
もしかしたら、向こうはこちらの状況すら分かっていないかもしれません」
アテナの意見に賛成だ。
今回の件はアレス教信者の独断専行もしくは、別の神が唆した確率が高い。
なんにせよ伊吹が心配だ。
もしかしたら既に、こっちに向かってきているかもしれない。
本人に噂のことを確認しなければならないし。
この事を三人に共有した後、行動を開始するのだった。
目的地はバスモット大樹林の奥深く、伊吹の住処だ。
ブモォォォォォォォォォォォ
獰猛な声にその場にいた全員に緊張が走る。
城壁の方から聞こえてくるイノシシの鳴き声。
その声には怒気と鼓舞が含まれていた。
まるで自分の存在を知らしめるかのように、周りを奮い立たせるかのように、彼方先まで聞こえてくる。
遅かったか。
今の鳴き声はおそらく伊吹のものだ。
窓の外を見ると、宮殿に押し寄せる群衆に対応している天使たちが移る。
彼らの反対方向には、城壁から覗く灰色の体毛。
その瞳は真っ直ぐにこちらを射抜いていた。
「ど、どうするんですか?!伊吹来ちゃいましたよ?!」
ユキがアワアワさせながら忙しなく動きまわっている。
アテナの方を確認すると、彼女も想定外なのか、険しい顔をしながら思案しているようだった。
「ミカエル」
数刻の間思案したあと、虚空に向かって天使を呼ぶ。
「お呼びでしょうか、アテナ様」
何もなかった空間が突如裂け、中からミカエルが出てきた。
当然のように出てきたミカエルだけど、かなり高度な魔法を使ってるんだよね。
ここの少なくとも熾天使は今の芸当ができるらしいから、どれだけこの国が力を持っているか分かる。
「状況は」
「はい。城門前より敵の襲撃を確認。少数精鋭であり、熾天使総出で出迎えておりますが、時間の問題でしょう。、また、大将とされる伊吹様ですが、敵情観察に徹しているようです。国民に怪我人は報告されておりません。現在、主天使以下で対応中です。」
なるほど。
伊吹が動いてないのは幸いだな。
いくら熾天使といえど、本物の神、それも特異神には叶わない。
持って10分といったところだろう。
これは俺たちの出番かな?
アテナの方を見ると、彼女も同じ考えのようで、頷いていた。
「分かりました。国民については、引き続き対応に当たってください。敵については私とゼウス様、ユキ・ユウの4人で相手します。熾天使はタイミングを見て撤退しなさい」
「了解」
ミカエルはそれだけ言い残して再び現れた裂けめに入っていった。
「皆様、巻き込んでしまい申し訳ありません。もう少しだけ付き合っていただけないでしょうか。」
俺たちに向き直り言葉を述べるアテナ。最後には深く頭を下げていた。
彼女にとってゼウスは大切なお客様であり、長年探し続けた主なのだ。
そんな俺たちを自国の問題に突っ込むことが心苦しいのだろう。
しかし、俺はそんなこと気にしない。
何故なら、伊吹もアテナもみんな俺の大切な家族だからだ。
子供が困難に立ち向かおうとしているのなら、親は見守るべきだろう。
けれど、見守ることしかしないのも違う。
時にはヒントを与え助けるべきだ。
「気にすんな、みんなで伊吹を止めるぞ」
「あ、ありがとうございます!」
アテナは目に涙を浮かべながらもう一度深く頭を下げた。
そのお辞儀は心なしか先ほどより深かったような気がした。
目の前に映る巨岩。
その体毛は一度刺されたなら、死すらもあり得ない話ではない。
俺たちは今、城壁の上に居る。
すぐ先にはこの騒ぎの元凶である伊吹・山護が見える。
アテナに協力することが決まった後、アテナの指示に従い行動していた。
俺の役割は伊吹と接触し、可能なら暴走を止めることだ。
伊吹の目は真っ直ぐ射抜くような視線を向けている。
判断が難しいところだが、興奮状態にある。
とりあえず会話が成り立つか確認した方がいいだろう。
成立しないのなら、完全に興奮している証拠になる。
「やっほー、伊吹、大丈夫?」
俺って意外と図太いかも。
『ゼ、ゼウス様。我から離れてください。わ、我はもう・・・』
かなり厳しい状態みたい。
自分の力で抑え込んでいたみたいだが、限界が近いようだ。
本格的に暴走する前に何とかしないと。
ブォォォォォォォォォォォォォォォォ!
その時だった。
目の前の伊吹の雰囲気が変わったのは。
怒りの咆哮を上げながら前掻きをしているその姿は、今にも暴れだしそうだった。
「ユキ、ユウ!」
「は!」
そばにいた二人を呼ぶ。
「伊吹の暴走を止めるぞ。二人は熾天使の後を継いで配下の対処を頼んだ。できるだけ傷つけるなよ」
「「は!」」
やつの周りには配下と思われるイノシシが多数いる。
このままでは、王都に被害がでるだろう。
熾天使は俺が伊吹に接触したころから引き気味な立ち回りをしてる。
おそらく俺が動きだしたら撤退するだろう。
命令を聞いた二人はすぐに駆けていった。
待ってろよ、今楽にしてやる。
投稿できず、すいません。




