4話 試験早々何故かバレました
なんでバレた?!
俺の魔法はスキルによって 完全に制御されてたはず。
力を隠すどころか、全力を出したと見られてもおかしくないはずだった。
唯一可おまえあるとすればスキルにミスがあったことだけど・・・
いや、そんなはずはないな。
地上に転生してから一度もスキルを使用したことなく試験で使用するのが初だったため、何か間違えたことがあるかもしれないと思案するゼウスだったが、それをすぐに切り捨てる。
何故なら、ゼウスが使ったスキルは天界にいるときから愛用していたスキルであり、絶対的信頼を置いているからだ。
そもそも、スキルは能力であり権能であるため、誤りがあることなどありえないのだが、気が動転しているゼウスは頭の中から抜けていたので仕方がないというもの。
まあいい、原因を探るのは後回しだ。
今はこの場を乗り切る方が先。
「な、何のことですか?力を隠してる?そ、そんなわけないじゃないですかー、あはは。」
これ、逆に怪しさ増してない?
完全な棒読みだし、イェスと言ってるようなものではないか。
「嘘ですよね?」
ほら、さっきより目が細くなってる。完全に確信してる目だよね。
「もう、なんで隠すんですか!ゼウス様!」
え?え?え?
ちょ、ちょとと待て待て待て!こいつ今なんて言った?気のせいじゃなっかったら「ゼウス」って言った気がするんだが。なんで?なんで俺がゼウスってバレてるんだ!いつだ、いつバレた・・・
いや、まだだ。もしかしたら空耳かもしれない。
「私のこと忘れっちゃったんですか?!ユキです、ユキ!九重騎士のユキです。覚えてないですか・・・?」
「え?お前ユキなのか・・・あ」
気づいた時にはすでに遅かった。ユキは俺の反応を見て、確信した表情に変わる。
「やっぱり覚えてるじゃないですか!やったね、ユキ」
自身の喜びを隣の子に共有する。
片方の正体が分かればもう片方も気になるというもの。
「じゃあ、そっちにいるのは・・・」
「はい、ゼウス様。九重騎士筆頭のユウでございます。ご帰還心よりお待ちしておりました。」
丁寧な動作でお辞儀をするユウ。
嘘だろ・・・なんでお前たちがここにいるんだよ・・・
九重騎士それは、その名の通り俺の近衛騎士たちである。
しかし、近衛騎士とは名ばかりで、天界では護衛する場面がないため、普段は雑用係として俺の身辺のお世話をしていた。
神には階級がある。下から順に三等神、二等神、一等神となっていて、そのさらに上に最高神の俺が居る。一等神は数が少なく、下に行くほど数が増えていく。
一等神には俺の次に大きな権力があり、普段は俺の代理で天界を仕切っていた。
階級の決め方には様々な方法があるが、一番は力の大きさだろう。
神には神力という魔力と違う、特有の力がある。
この神力は、その名の通り神が使える力だ。その力・量が大きければ大きいほど地上に与える影響力が大きくなり、階級が上がっていく。
海の神ポセイドンなんか良い例だ。
彼は神力量が天界でも群を抜いて多い。その神力量の多さが地上に占める海の面積と比例していて、現に地上の三分の一以上が海だ。
しかし、一部この階級に当てはまらない者がいる。
地上に与える影響が少なく、保有している神力量も少ない。しかし、一等神と同じ権力を有している者たちだ。
彼らは、俺から勅命を預かった者たちである。
俺からの勅命には、地上に関係してるものが多いため、実際の影響で言ったら一等神と同じなんだよね。だから高い権力を有していても問題ない。
二人もこの中に入る。
それらは特異神と呼ばれていて、数は一等神と同じぐらい。
完全な第二の一等神って思ってもらえばいいだろう。
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広い室内。
部屋に並べられた家具は全てが一級品だと一目で分かる。
窓際に置かれた椅子に座っている白髪の少女・ユキは外を見ながら今日も今日とてある人物に思いを馳せる思いを馳せる。我が敬愛の主、ゼウスへと。
「はぁ、ゼウス様は今どこで何をしていらっしゃるのでしょうか。」
静かな部屋に鈴の音が木霊する。
地上に降りてから300年。世界中を探し回っているが一向に見つかる気配がしない。
もしかしたら、死んでしまったのではないか。そんな邪険な考えが頭をよぎる。
そもそも、自分たちになんの相談もなく唐突に天界を閉じると言い出したのだ。余程重大なことがあったに違いない。
実際は暇だったからなのだが、そんなことを知らないユキは自分たちにも教えることができない重大な理由があったのだと勘違いしていた。
ラグナロクの後、大半の神は自信を信仰している国に降り立った。
しかし、特異神であり、九重騎士団である双子にはそんな国はない。
そこで、以前から親交があった知恵と戦いの神アテナがいるミネルヴァ聖王国へと向かった。
アテナ基ミネルヴァ聖王国は混乱していた。起きた事態の重大さを考えれば当然だ。
しかし、そんなこと二人には関係ない。
二人にとってゼウスこそ全てなのだ。主が居ない今、捜索こそが最優先される。
着いてすぐアテナに会い、現状を確認する。
情報を共有した後、今後について議論し合った。
結果二人はミネルヴァ聖王国で生活しながらゼウスの行方を追う事になった。
そこからは、占星術を司るウラニアも加わり捜索範囲を徐々に広げていくことになる。
転機が訪れたのは15年前。それまで一切反応がなかった占星術が突如として反応したのだ。
占星術の内容は数百年に一度の明星が現れたというもの。明星はゼウスを意味していて、それが現れたということは、出現したということ。
嬉しかった。
報告を聞いた時、一番に思った感想だ。長い間探し続けた愛しの主の手掛かりをようやくつかんだのだから。
根気強く探し続けた成果が実った瞬間だった。
喜ぶのもつかの間、彼らは権力を使い、世界中の子を探し回った。
手掛かりがつかめただけではダメなのだ。実際に会うまでは気が抜けない。
ラグナロクがあってから出現するまでに大きなズレがあったということは、転生した可能性が高い。
今年転生して赤子に生まれたなら、15年後学園に入学するはず。
占星術の力で一番ゼウスが通う確率が高い学園を割り出し、学園に入学することにした。
試験ではゼウスらしき人を探したが、見つからなかった。
しかし、状況が動いたのは突然だった。
肌で感じる温かく懐かしい、優しい魔力の感覚。
隣にいる姉の様子を窺がうと、向こうもユキの様子を窺っていた。
目で合図を交わし、感覚がした方に行く。
目だけで会話できるのは、長年の信頼の証だろう。
向かった先には、一人の青年が魔力を練っているところだった。
徐々に形成されていく火は白く、神聖さを感じさせる。
彼の神力量が高すぎて、魔力まで神聖さを帯びる矛盾が発生してるのだ。
間違いない、あれはゼウス様の魔力。つまりあの青年、いや、あのお方がゼウス様の転生体・・・!
横を見ると双子の姉、ユウも彼の方を見ていた。ユウも気づいたみたいだね。
どうやって話かけよう、どんな話をしよう妄想が深まる。
妄想が深まる中、不安もある。
なぜ自分たちを置いて一人だけ転生したのか。
転生したことにより、優しかったゼウス様が消えていないだろうか。
私たちを・・・覚えててくれているだろうか・・・。
しかし、そんなことは今はどうだっていい。
忘れていたとしても、また思い出を一緒に作ればいいのだから。
気が付いたら、軽やかな足取りで彼のところへ向かっていた。
それはまるで飼い主との再会を喜ぶ小犬のようだった。
今回は別視点を書いてみました!
どうだったでしょうか?




