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3話 試験

 試験は人数が多いため、いくつかのグループに分かれて行われる。

それぞれ色分けされており、赤・青・黄・緑・白の五色だ。

 前に立っている先生はそれぞれの色に対応した学士服を着ていた。

 ちなみに俺は青グループ。

 

 俺のグループの担当の人は、最後に指示を出した女性だった。

 丸眼鏡を掛けている知的な印象が目に付く。真剣な表情がすごく絵になっている。

 醸し出す妖艶な雰囲気は思春期の男の子には少し刺激が強い。

 事実、青グループの大半の男子は先生に見惚れていた。若いね。

 俺?俺は天界で綺麗なお姉さんをたくさん見てきたからな。これぐらいでは動じない。

 歴が違うのだよ。

「皆さん揃いましたね。それでは、会場へ移動します。ついてきてください。」

 移動しだした女性を見失わないように後ろをついていく。

 この学園はすごく広いから始めは迷子になりそうだな。


 場所を移動して運動場。広い、かなり広い。

 一般的な運動場の3倍はありそう。

 ほかのグループの人とは既に分かれている。それぞれ別の会場で試験をしてるみたい。

 「全員ついて来れましたね。ここは広いからすぐ迷子になっちゃう人が毎年数名いるんですよ。」   

 全員が迷うことなくここまで来れたことに安堵の表情のお姉さん。

 先ほどは見せなかった笑顔に、周りの男子は全員が頬を赤く染めている。ある男子は特に鼻息を荒くしていた。

 頑張れ!応援してるよ!

 おっと。青春を感じてる間に、先生が試験の話をしている。

「今から行う試験は、簡単な技能テストです。あちらを見てください。」

 先生が指した方を見る。

 あれは・・・ただの人形だな。魔法でコーティングしてあるがそれ以外はただの土人形だ。

 「あれはただの土人形です。ですが、魔法で少しコーティングしてあります。今からあの土人形に向かって自分たちの好きな攻撃を行なってもらいます。その時の練度と威力によって評価していくので、頑張ってください」

 なるほど。

 単に威力が高いだけでもダメということだな。

 「何か質問はありますか?なければ始めますが・・・」

 「はい!」

 先生の問に対して大きくてを上げる奴がいた。

 お!男子君じゃないか!

 心なしか、頭のトゲトゲが生き生きしてるように見える。

 男子君改め、イガグリ君は勿体振るように間を開ける。

 そして、覚悟を決めた顔をして・・・

 「せ、せ、先生の名前を教えてください!」

 言い切ったことに満足したようなイガグリ君。

 名前を聞くだけなんだね。もっと攻めた質問をするのかと思ってたのに。

 しかし、そういえば先生の名前を聞いてなかったな。意外といい質問だったかもしれない。

「あ、すみません。私としたことが、自己紹介がまだでしたね。

 申し遅れました、今回青グループの担当官を務めます、愛と美の神アフロディーテの子供、アピディと申します。年齢は37歳、子供が2人います」

「え?え?こ、子供がいる・・・?」

「はい、いますよ?」

「嘘だ、ろ・・・」

 イガグリ君がその言葉を聞いて膝から崩れ落ちる。

「そ、そんな・・・。彼氏がいるのは想定済みで、最悪、奪い取ろうと思ってたが、ま、まさか既婚者だったとは・・・」

 絶望の表情を浮かべながらそんなことをつぶやいていた。

 え、えぇ・・・。奪い取るつもりだったのかよ・・・。

 それにしても、アフロディーテの子供かぁ。それなら男子が見惚れてしまうのも致し方ないというもの。


 アフロディーテ。その名前なゼウスにとってなじみの深い名前だった。

 美を司る神ということで、容姿は天界一二を争うほど美しかった。

 よくおねだりされて、色々あげてたなぁ・・・。

 彼女はその美貌と裏腹にかなり腹黒い性格。自身の容姿が男神の目を引くものだと理解しており、それを武器にかなり無茶なお願いを他神にしていた。

 お陰で、一部の女神からは嫌われてたみたいだけど。

 今は彼女を信仰していたラーティ王国にいるんだろうか。今度時間がある時に行ってみようかな。


 ところでこの学園、成績優秀クラスの人にはかなりゆるゆるだ。テストで点数を出せば授業は出席しなくてもいい。

 理由は、神の子たちの中には忙しくて中々学園に来れない者もいるからだ。

 そんな子たちのために学園長が考えられた制度だった。あとは、単純に親同士の仲が悪く、その子やその国の王族が来れないことがあるらしい。

 全く、何やってんだか。天界ではみんな仲良かったのに。

 しかし、そのおかげで、世界を巡る計画を実行できそうなんだから何も言えない。

 

「ほかにありませんか?」

 周りを見ながら確認するアピディ先生。

 その姿だけでも絵になるね。

「では、始めますので名前を呼ばれたら土人形の前に立って始めてください。それまでは好きにしていて構いません。成績最優秀者にはいろいろな"と・く・て・ん"がありますので、頑張ってくだいね!」

 特典と言うときの先生の勢いがすごい。

 でもその特典の中身、あまり良いものじゃない気がする。面倒ごとの臭いがプンプンする。

 目立ちすぎて変な役目を負わされても面倒だし、ギリギリ成績優秀クラスに入れるぐらいの順位になるように頑張んないとな。

 


 ふむふむ。大体みんなの実力が分かってきたぞ。

 俺の順番はかなり後の方だったから、周りの子の観察をしていた。

 平均的な子は土人形を揺らす程度にとどまり、優秀な子は土人形を傷つけるぐらい。

 そして、先ほど試験を行った二人はなんと、土人形を粉々に破壊していた。

 顔が瓜二つだったから、双子かもね。

 人形が粉々になった時は生徒ならず、先生も驚愕していたことから、二人がかなり優秀ということが分かる。

 さらに、俺の見立てでは、まだ力を隠してると思う。

 まとめると、人形を壊さず、かすり傷を付けるぐらいの実力を出せば成績優秀者にギリ入れるだろうという見立てだ。

 「次、エレスさん」

 お、次は俺だな。

 呼ばれた場所へ向かう。目の前には一体の土人形。

 いくつもの攻撃を耐えてきたのが明確に分かるぐらい手負いの状態だ。

 目標は壊さず傷つけるだけ。

 何度も言うが、目立ってもいいことがないからね。本当の目的はこの世界を巡って満喫すること。

 学園も楽しみの一つはあるが、多くの国を巡るには大きな障害になりかねない。

 目的のためにもここは慎重に。

 一度深呼吸をして、気合を入れなおす。

 ちなみに、魔法というのは体内に巡っている魔力を操作して発動させる技術だ。

 操作するといっても、簡単なものは幼児でも使えるぐらいで難しくはない。

 上位者になるとスキルという能力を使った方法が一般的になった来るになるのだが、それはまた今度。

 今回はスキルを使って魔法を行使する。

 万が一があっては困るからね。

 若干、自分で練ってみたかったっていう思惑が無くはないけど・・・。

 背に腹は代えられない。

 

 手に意識を集中させる。イメージが大切とかそんなものは必要ない。大事なのは魔力の操作だけ。

 スキルで魔力を操作してる為、何もしなくても魔法は使えるんだけど、こういうのは雰囲気も大切なのだ。

 考えてる間にも順調に魔法は形成されていく。

 大きさは予定通り小さいけどが、なんか白いな。

 もうちょっと赤い火の玉を想定してたんだけど・・・。

 まあ、いっか。

 作った火の玉をそのまま土人形にぶっ放す。

 「バーンッ」

 衝撃波とともに砂埃が舞う。

 どうだ・・・よし!

 見ると土人形の所々が傷つき、凹んでいるところもあった。予想通りの威力だ。

 これならギリギリ成績優秀クラスになっただろう。

 「ふむふむ。威力も練度も申し分ないですね。よしっと」

 傷ついた土人形を観察しながら評価していくアビディ先生。

 手に持つボード版に記録していく。

「今のが最後ですね。皆さんお疲れさまでした」

 俺が最後だったのか。最初と最後は注目を集めやすいけど、大丈夫だね。

 辺りを見渡すが誰もこっちを見てない。

「これからお昼まで自由時間になります。時間になりましたら噴水前にまた集合してください。それでは・・・解散!」

 先生の掛け声とともに、それぞれ好きなところへ散っていく子どもたち。

 これから何をしようか。

 お昼まではまだまだ時間がある。

 折角だし町の観光をするか。

 来るときは急いでいて全く見れなかったからな。

 そうと決まれば早速レッツゴー!

 

 善は急げの言葉通り早速行動を開始するゼウス。

 軽い足取りで歩く姿は傍から見てもいいことがあったと分かる。

「あのー、すいません。」

 不意に後ろから声を掛けられた。

 一瞬、別のやつにかけられた言葉かと思ったが、周りには俺以外いないため、俺で間違いないようだ。

 え、俺?何の用だよ。

 少し気分を落胆させながら声のした方を振り返る。

 振り返った先には、二人の女子がこちらを窺がっていた。

 着ている服は着物風で、二人で白と黒の対象のものを着ていた。

 うーん、なんか見たことあるきがするなー。

 それこそさっきの双子のような・・・。

 「あなた、力隠してますよね?」

 そう、声をかけてきたのは、先ほど関わらない宣言をした双子だった。

 あれ、俺なんかやっちゃいました?

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