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2話 列に並んでるだけで起こる事件

「ふぅ、間に合った」


 馬車で追いつけないなら、走って追いつくしかないという結論に至った。

 道中、魔物に襲われて、足を止められてしまったが、以外と間に合うもんだな。

 地味に転生してから家の敷地内でしか行動してなかったため、新しい世界を見れて新鮮だった。 


 天界では、全て自分が中心だったから走る事すらあまり出来ない。

 会議をしようにも俺の都合のいい時間に。

 会食をしようにも俺が来たら始まる。

 それまではどんなにお腹が空いていようとも我慢する。

 それはもはや崇拝の域に達していた。

 そんなに俺の望み道理になってしまうと逆に詰らない。

 紆余曲折しながら暮らしていくのが楽しいってのに。

 どこで狂ったんだか。

 しかし、転生してから自分を心配してくれるのは両親だけだからな。

 思う存分動き回る事ができる。転生最高ー!

 

 俺は今、王立ジーニアス学園の校門前の列にいる。

 世界中から様々な種族、階級の人がこの学園に来るため、入学者の数がかなり多い。

 先に校門前で書類検査を終わらせて余計な事故を防いでいるのだとか。

 そういえば、天界で観察していた時は大体決まって此処で事件が起きていたんだけど・・・ない?

 少し楽しみにしてたんだけどな。

 ガラの悪いヤツに絡まれる少女。

 周りが見て見ぬふりをする中、自身の正義感から助けに入る好青年!

 つまり、学園イベント。その絵本の中でしか見られないような場面を実際に見られると思ったのに・・・

 

 「邪魔だ、どけ」

 おっと、危ない。妄想に浸っていたら目の前に人が割り込んできた。

 反応するのが遅れて、危うく倒れて怪我するところだった。

 危ない危ない。俺じゃなきゃ転んでるね。

 ・・・って、おい!

 事件起きてるじゃん!しかも、被害に遭ってるの俺だし!少女じゃ無いけど!


 客観的に見たらただ割り込みをされただけに見えるだろう。

 実際、周りは気づいてもいない様子。

 しかし、ゼウスは夢の学園の舞台にいることもあり、視野がかなり狭くなっていた。

 過剰に興奮するのも仕方がなかった・・・。


 ふむ。

 ぶつかってきた相手は大柄の男だ。

 此処ですぐに文句を言ってもよかったが、今の俺は王様じゃ無い。ただの学生未満だ。

 もし、相手がどっかのボンボンだった場合、最悪、退学になるかもしれない。

 冷静な判断が試されるとき!

 

 この学園の制服は白を基調としたものになっていて、所々に黒いラインが入っている。

 比べて目の前の男はシャツを着ていなく、素肌の上から真っ赤に染めた制服を羽織っていた。

 その赤さは火のように鮮やかで、炎のように深く情熱的な色合いをしていた。

 この学校は神の子供も通うとあって、制服は割と自由にカスタマイズできる。

 寧ろ、神の子供は自分の親を象徴する為に変えることを推奨していたりする。

 え?俺?

 俺は目立ちたくないから、改造はしない。

 それに結構この制服気に入ってるし。

 この白い生地にスッと筆で描いたような黒いところとかが特にいいね!

 閑話休題。

 赤を象徴するような神は幾人かいるが、彼はかなり偉い神様の息子だろう。

 身に纏うオーラから出自が大体予想できる。

 尚更慎重に行動しなければ・・・。

 うーん、どうしよう。


 「そこのあなた、今割り込みをしましたね?」

 へ?

 考えている間に俺の後部から声が聞こえてきた。

 この声は、まさか・その道徳心に欠ける行い、とても看過できるものではありません。すぐにそこを退いて最後尾に並び直して下さい。・・絵本から飛び出してきた好青年?!

 振り返った先にいたのは、頭部がハゲ・・・坊主頭の少年だった。

 「その道徳心に欠ける行い、とても看過できるものではありません。すぐにそこを退いて最後尾に並び直して下さい。」

 その青年は五条袈裟(ごじょうげさ)を着ている。

 五条袈裟は確か、ブドハ帝国という大帝国の者が来ていた服だったはず。


 「あ?なんだテメェ。」

 「おや、申し遅れました。私、如参(にょさん)と申します。以後お見知り起きを。」

 男の威圧に対し、高圧的な態度を取る如参。

 あの男に正面から言うとは中々堂々としたものだ。

 今の世界での生活に慣れてしまったゼウスは王だったころの感覚は既に忘れ去っているため、この二人の間に挟まることはできないのだ。

「で、退いていただけないのでしょうか?もし退かないというので有れば・・・」

「・・・!」

 言葉の途中で如参の目が光る。

 何かスキルのようなものを使ったのだろう、赤髪の男は一瞬怯む。

 しかし、赤髪も負けていなかった。

 彼のプライドが一瞬でも怯んでしまった事をことを許さなかった。

 それが彼の心に火をつけることになる。


「テメェ、殺すぞ!」

 

 赤髪は相手の眼光に対抗するように、周りに赤いオーラが溢れていく。

 二人が睨み合い、周囲に緊張が走る。

 気が付けば、周りには人だかりができていた。

 ここで戦いが起きるのはまずいな。

 辺りに緊張が走る。

 どうしよう、どうしよう。

 なんだよ、如参とか言うやつ!

 さっきより事態悪化してるよね?なんで助けに入った側が問題起こしてるんですかね?

 俺がやるしかないの?

 なにか、他に方法は?!・・・うん、ないな。

 周りは止めようとしない。

 彼らの実力では二人の領域に入れないのだろう。

 はぁ、仕方ない。


 「「、!」」

 一触即発の緊張状態だった空気が、一瞬にして消え去る。

 まるで、最初から何もなかったかのように。

 周囲は急に怯んだ二人を見て困惑していた。


 よし!作戦成功!

 二人が怯んだ理由。それはエレスの軽い睨みであった。

 いくら強くても所詮は子供。ゼウスに睨まれて平然としているだけの精神力はなかった。

 そのため、エレスが少し威圧するだけで簡単に喧嘩をやめさせる事が出来たのだった。

 完璧だ。

 誰にも悟られず、ただのヤジを装いこの場を収める。

 仕上げにエレスは此処ぞとばかりに二人へ近づき・・・

 「君達ぃ〜こんなに大勢の学生が居るなかでぇ〜、喧嘩は良く無いと思うな〜」

 二人の肩に手を回しながら笑みを深めて言う。

 我がら過去最大級に悪い笑みを浮かべてたと思う。

 ポイントは声に抑揚をつけること。なるべくウザい感じに。

 

 「チッ、わかったよ」

 睨みが効いたのか、今回は素直に従う赤髪君。

 最後にこちらを一瞥すると、そのまま最後尾へと向かっていった。

 あれ、意外と物分かりがいいじゃないの。

 

 「すみませんでした。助けるつもりが喧嘩になってしまって」

  如参が謝罪の言葉を述べて来る。

 「いえいえ、こちらこそ助けていただきありがとうございました。」

 本当は、全くだよ!って言ってやりたかったが、仮にも如参はこちらを助けてくれた身。

 ぐっと我慢する。

「お名前を伺いしても?」

 如参が名前を聞いてきた。

 そういえば、両親以外でまともに喋る人はこれが初めてかも知れない。

 「俺はエレスって言うんだ、よろしくね」

 学園で最初の友人になるかも知れない相手。出来れば長くお付き合いしたい。

 できるだけ好印象を与えられるように、声のトーンをいつもより釣り上げる。

 「はい、よろしくお願いしますね、エレス」

 

 その後、如参は最後尾に並ぶと言って列を抜け出していった。

 あんなことを赤髪君に言ったんだから、自分も。ってコトらしい。

 真面目なヤツである。

 あれ、そういえば、今最後尾には赤髪君がいるんじゃなかったっけ・・・?

 また衝突が起きないことを願おう。

 学園イベントはあったが問題なく受付を終えることができた。

 

 「うわぁ、凄いな。300年でどれだけ文明発展させてんだよ!なんだよあれ、デカすぎだろ!」

 門を潜ると中が見えてきた。その光景は300年前の一般的な学園とは大きく異なっていた。

 校舎は倍以上の大きさに。土が主流だった地面は全てレンガに変わっている。噴水なんか、300年前は王都の中央にしかなかったぞ。

 これも神が降りてきた影響だろう。

 人間だけではここまで発展させるのにもう100年はかかるだろう。

 

 観察している間に校舎の方から5人の人が出できた。

 頭には角帽(かくぼう)を被り、いかにも先生って雰囲気。

 手には紙を持っていることから、今回の試験管だろう。

 

 彼らは、校舎から真っ直ぐこちらに向かい、噴水の前で止まった。

 書類に書かれた『噴水前集合』の文字通り、予め全員が噴水の前にいた。

 

 一人の男が一歩前に出てくる。

 男は手に持った紙とこちらを交互に見ながら、説明を始めた。

「これから試験を始める。各々秘めたる強さを遺憾なく発揮してもらいたい。以上」

 うん、説明というより、挨拶だね。

「それでは別れてください。」

 説明後、別の試験管の合図により、入学生たちの移動が始まった。

 さあ、ついに学園生活が始まるぞ・・・!

 

なかなか物語が進展しませんが、次からようやく魔法などが出てきますので・・・

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