はじめての異世界
あのクソ女神、ユニークスキルもチートスキルもないままこの世界に来させやがった。
俺はスーツ姿で街の中に佇んでいた。
明らかに不審な格好の俺に周りの目が痛い。
周りの街並みや人の姿を見て、俺は本当に異世界転生したんだなと直感でわかった。
本当はこれを異世界転生とは呼ばないということは異世界転生小説を読み漁っている俺はよく知っている。
生まれ変わってないわけだし、異世界転移のが言葉としては正しいだろうな。
まぁそんなことはどうでも良い。
「まじでチートなんもねぇのかな…」
いやそんなことはない。断言できる。
まずはギルドだ!
こういう定番イベントはステータスを見て覚醒っていうオチになるんだよな。
そして、ユニークスキルや驚愕のステータスで周りがざわつくはずなんだ…。
ギルドへは簡単に着いた。
結論だけ書く。
俺は平凡な戦士だ。
力もそこそこ、魔力もそこそこ。
体力も器用さも俊敏性も、はたまた運さえもそこそこのな。
あとは…スキルだな。
スキルは言語理解とパワーショットだ。
パワーショットとはおおよそ1.3倍の威力と速度で剣や斧を振ることが出来るスキルなんだぜ!
ダメスキルだと思うか?
異世界転生ものを見ている者からすればダメスキルだろうな。
でもこの世界だと一応レアスキルらしい。
そもそもスキルを持っている者の方が少ないとのこと。
この世界では農業系スキルが6割、鉄などを扱う製造関係のスキルが3割、戦士魔法職のスキルが1割と言った具合だ。
例えば農業スキルだと「成長促進」というものがあり植物を育てる速度がちょっぴりだが早くなるらしい。
またギルドの受付に聞いたがこの世界では職業選択の自由があるらしく、どんなスキルを持っていたとしても冒険者になることは可能とのことだ。
魔物という存在は狩っても狩っても湧き出てくるらしく、ギルドという存在は必ず必要なのだが魔王のような人間の生活を脅かすような巨悪は存在しないらしい。
害虫駆除のような立場なのかなと勝手に理解した。
あまりの現実に俺はギルドを飛び出し
俺の唯一の切り札になるであろうパワーショットのスキルを試すために
町外れに降り立った。
いい感じの木の棒を持ち、スライム辺りを狩ろうとしたのだ。
「スライム、いねぇかな」と辺りを見ると
いるではないか!
「パワーショット!!」
一目散に飛びかかりスライムに渾身の一撃を放つ。
ぱちゅん、と弾けるスライム。
なるほど。
確かに速さと威力があるのかもしれない。
潰れたスライムからキラリと光るものを見つけた。
なるほど、これは魔石だな?
俺の異世界物語はここから始まるのだ!




