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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。

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55話 騎乗スキル

 ぶーちゃんの名前を間違えてつけたわけではないと確認したあと、俺は2度も自身をえらい目に合わせてくれた突進というスキルの詳細を見た。

 突進の威力は力と速さのステータスを参照。そして敵に当てることができれば、仮に相手の耐久が高くてダメージが入らなくてもノックバック効果が発生する。マイナス面は、突進発動中は何かにぶつからないと進行方向を変えられないことのようだ。


 なるほど。どうしてブラックボアはわざわざ木にぶつかってから方向転換をするのかと思っていたが、それも突進というスキルの効果だったらしい。

 おそらく最も威力を出せるスキルを不発で終わらせたくなかったので、ああいう無茶をしていたのだろう。妻の魔法や俺の武技もそうだが、スキルにはクールタイムが存在するので短時間で同じ技を何度も連発できない。ものによってクールタイムはバラバラだが、突進は割と良い効果を持っているので少し長めに取られているようだ。なので1度の不発が負けに繋がることは大いにあり得る。

 自傷ダメージをかなり受けていたので、賢い動きではない。だが、これでぶーちゃんの意図がわかった。


 ちなみにスラッシュのクールタイムは18秒。妻のウォーターボールなんかもそんな感じだと思う。でも、ダークバレットなんかは威力が高そうだし、もう少しクールタイムが長いかもしれない。

 詳しくは本人に聞くか、今度ステータスを見せてもらったときに確かめなきゃわからないけど。


「ねぇねぇ、ハイト。ぶーちゃんのこと触ってみてよ」


 考察をしていると妻から声がかかった。


「ん? どうして?」

「それは触ったらわかるよ」

「理由は自分で確かめろってことか。ぶーちゃん、俺が触っても大丈夫?」


 プゴッ!


「大丈夫だよ! だって」

「わかった。それじゃあ、失礼します」


 俺はゆっくりとぶーちゃんの方へと腕を伸ばし、軽く指先でその毛に触れる。


「……柔らかい」


 ぶーちゃん、というかブラックボアは体高がだいたい160cm前後でオレの身長よりちょっと低いくらいだ。それでいて、パッと見るとゴワゴワしていそうな真っ黒な毛がびっしりと体中に生えている。

 得意な攻撃も突進ということもあって、体毛が柔らかいとは全く予想していなかった。


「びっくりしたでしょ? 見た感じ黒くて堅そうなのに、実際に触るとぜんっぜん違うの!」


 妻はぶーちゃんの背中側に顔を埋めながら話す。


「うん、これはいい……ちょっと癖になりそうだよ」


 自分の従魔ではないのであまり好き勝手するのは良くないが、手が止まらない。俺はぶーちゃんの腹側をひたすらこしょこしょする。


 それから30分ほど俺たちはそこから動かなかった。


「危なかった。ぶーちゃんの魔性の体毛に落とされるところだった」

「30分もモフモフし続けていたんだから、もう落ちてるんじゃない? 認めなよ~、私の従魔に骨抜きにされちゃったって!」


 妻はニヤニヤしながらこちらを見てくる。

 自分だって骨抜きにされてた癖に、どうして俺だけそんな視線を向けられなきゃいけないんだ。

 ここで素直に答えるのはちょっと癪だね。


「……そろそろ戻ろうか。あんまり帰るのが遅いとアネットさんたち心配するかもしれないから」

「あ~、話題逸らした」


 露骨に話題を変えたので、妻にはすぐに狙いがバレたが問題ない。このまま強引に押し切ってしまえばいい。


「いいから帰るよー」


 俺は独り、小走りで湖のある方角へ移動し始める。妻をおいて行くふりをしてやろうと思う。今なら気配察知に敵性存在の反応は引っかからないので、多少離れても問題ないだろう。


「えっ、ちょっと待って。私も帰る! 先に行っちゃったよ……そうだ、ぶーちゃん! 背中に乗せて。逆に追い抜かそう」


 妻が大声でぶーちゃんに乗せろと頼んでいるのが聞こえた。


 ……そういえば、掲示板で騎乗スキルを取ればボアに乗れるって書いてあった気が。


「うわああああああああああああああああああ。ちょっ、ぶーちゃんストップストップ!!! 1回、止まってえええええええええええ」


 黒い巨体が俺の横を猛スピードで通り過ぎるのと同時に、大きな悲鳴が山に響いた。


 ああなるから騎乗スキルが必要なのか。掲示板ってやっぱりこまめに見ておくべきだね。でも、従魔に乗るために騎乗スキルが必要なら、俺がマモルの背に普通に乗っていたのはおかしくないか?

 気になるから、テイマー板の過去ログを漁って騎乗の効果を確認してみよう。


「え~と、これだ」


 ――――なるほど。そういうことか。

 だいぶ前にレッドボアに乗るために騎乗スキルを取った人が、魔物の知能に関する考察と騎乗スキルの説明を載せてくれていたのを見つけた。

 まず魔物は種族によってAIの賢さの最低ラインが決められていると思われると。そしてそのラインがボア系は著しく低い。なのでスキルなしの状態で乗ってしまうと騎乗者のことにまで意識が回らず、とんでもない危険走行をするようだ。

 騎乗スキルはそういった種族が主人へ意識を回しやすくなるようにアシストがかかるという。

 そのプレイヤーいわく、逆に元からある程度賢い種族は騎乗スキルなしでも安全に移動してくれるだろうとも。だが、そういった魔物を持つプレイヤーが騎乗スキルを取る必要はないのかと言われるとそうでもないらしい。騎乗スキルには先に挙げた効果以外にも、騎乗状態でのプレイヤーのステータスを上昇させる効果などが熟練度アップで手に入るからだそうだ。


「熟練度をあげれば、騎乗時のステータス上昇か……取るか迷うな」


 今後、どこかでマモルに乗って戦うこともあるかもしれない。そういったときにために、スキルを先んじて取得し、熟練度を上げておくのもいいなと思った。


「はぁ、はぁ…………ハイト」


 顔が青くなった妻と、シュンっと落ち込んでいるぶーちゃんが俺の元へと戻ってきた。


「騎乗楽しかった?」

「死ぬかと思った」


 このあと、妻に騎乗スキルのことを教えてあげるとすぐに取得していた。



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― 新着の感想 ―
振り回されてた人に楽しかった?って聞くのは煽り性能〇やな
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