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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。

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36話 速さ勝負

 残る獲物は爆速ヤマメと人食いウナギ。ボス的ポジションにいる人食いウナギに1人で挑むのはリスクが高いし、爆速ヤマメは俺の速さでは捉えられない。というわけで、陸で休んでいるマモルの力が必要なわけだが、もう立ち直れているのだろうか。


「おーい、マモル。もう大丈夫か?」


 ラニットアユをアイテムボックスに入れてからマモルの方へ近づく。

 俺に気がついたマモルも、すぐにこちらへ駆けてくる。手の届く距離にきたので頭を撫でると嬉しそうに尻尾を揺らした。


「これからまた湖で魔物を狙うから、できれば手伝って欲しいんだ。でも、無理はしなくて――――」


 無理はしなくていいから。そう言い終える前に、マモルは尻尾で地面をバチンと叩いて戦えるアピールをしてきた。

 流石は骨で狼だ。立ち直れたのかはわからないが、肝は据わっている。


「そうか、やれるか。だったら、一緒に行こう。頼りにしてるからな相棒」


 復活したマモルを連れて、再び湖へと潜る。狙うは爆速ヤマメ。これはマモルとターゲットの速さ比べになるので、俺にできることはほとんどない。


 俺と同じくスキルで爆速ヤマメの位置を把握したマモルは早速、捕獲へ向かう。


「あれ? マモルさっきより泳ぐの上手くなってないか」


 潜水スキルのおかげで水中で自由に動けるとはいえ、慣れた地上と全く同じように能力を発揮するのは難しい。マモルも1度目に潜ったときは陸にいるときより明らかにパフォーマンスが落ちていた。

 しかし、今はどうだろう。移動の仕方は犬かきで可愛らしいが、その速さは陸にいるときと遜色ない。もう水中での動きに慣れたらしい。


 そんなことを考えているうちに、マモルは爆速ヤマメとの距離を詰めていた。移動速度はほぼ互角だが、マモルが相手の進路を予想して先回りするような動きをすることで少しずつ差を縮めているようだ。

 さっきまでマモルのことを察知していなかった獲物も、常に自分の進路を先取りしようとしている存在がいれば流石に気づく。それならば複雑に進行方向を変えながら泳ぐのかと思ったのだが、爆速ヤマメはそうしなかった。

 むしろ今まで以上に直線的に泳ぎ、ひたすら速さだけを追求し始めた。1段階ギアをあげた爆速ヤマメ相手では流石のマモルも速さ負けするらしい。少しずつ、だが着実に2体の距離は広がる。

 もちろんマモルは全力で食らいついているが、どうにもならない。


 何か手を打たなければ。

 俺が今、爆速ヤマメにできることは――――。


「スラッシュ!!!」


 これしかない。

 たった1つの斬撃を飛ばすくらいしかできない。

 でも、それで十分だった。


 直線的な動きの先を読んで放った武技。これ自体がかなりの速度で飛んでいるはずなのだが、爆速ヤマメは避けてしまった。だが、流石に余裕があったわけではないようでかなりの減速を強いられた。うちの相棒がこのような好機を見逃すはずもなく後ろから追いつき、白い腹へと牙を突き立てる。


「よくやったよ、マモル! お前は最高のスピードスターだ!!」


 獲物を仕留めたマモルが満足そうにこちらへ泳いできたので、頭をわしゃわしゃと撫でて褒めちぎった。


 残るは人食いウナギだが、倒しに向かう前に他のメンバーの進捗を確認したい。


「バガード~、狩りは終わったー?」


 畔に戻った俺は、丁度バガード飛んでいる姿が目に入ったので、こちらへ呼び寄せることにした。


 アーアー。


 なるほど、余裕だったか。

 スライムもレッドボアもバガードからすれば物足りないレベルの魔物だったみたいだ。自分の狩りが終わった後、妻とすらっちコンビのことが心配になり空から見ていたらしい。危なくなったら、いつでも助けられるようにと。

 スニークマンバとスリーピングアゲハは湖畔で発見済みなので、2人の狩りが終わったら、自分で倒しに行こうと考えていたようだ。


 バガードの優しい行動を知り、俺はオスである彼からママみを感じてしまう……いや、いっそママを通り越してババみか?


 カァ?


「あ、ごめん」


 アホか、と突っ込まれたので素直に謝っておく。


 ちなみに左後ろで控えているマモルからも微妙な視線を向けられている。それ地味に心にくるからやめてくれ。


「ハイトー! 一足烏、倒したよ~」

「おぉー、流石! お疲れ様!!!」


 妻が丁度良いタイミングで戻ってきた。

 嬉しそうにこちらへ走ってきたので、全力でその対応をする。うちの従魔の意識は早く別の話題に向けさせたい。


「でしょでしょ? 最初は攻撃してきたと思ったらすぐに空に逃げられるから手こずってたんだけど、降りてきたタイミングですらっちに液状化して纏わりついてもらってからは簡単だったよ。溶解液でじわじわ溶かされるのをほとんど見てるだけだったからね!」

「そ、それは……恐ろしいね」


 なんと惨い作戦だろうか。流石は称号<外道>持ちとその主人だ。

 仮にゲーム内で喧嘩でもしたら、俺も同じ道を辿ることになるのかな。ヤバい、鳥肌が立ってきた。


「どうしたのハイト? 急に腕擦ったりして」

「いやっ、なんでもないよ!」

「そう? だったらいいんだけど」


 心臓がキュッとなるような最悪の想像をさせられたが、妻たちも無事ターゲットを狩ってきたようだ。これであとはスニークマンバにスリーピングアゲハ、人食いウナギだけ。魔物各種討伐のラストスパート、がんばりますか!




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