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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。

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31話 候補地発見


 新たな仲間、バガードを肩に乗せて森の中を進んでいるがあまり良い結果は得られていない。もうかれこれ1時間くらいクラン経営地候補を探しているのに。


「やっぱりそう簡単に見つからないのかな?」

「かもしれないね。このまま闇雲に歩き回ってもあんまり良い結果を得られるとは思えないし、やり方を変える必要があるか」

「何かいい方法でも思いついたの?」


 実はさっき思いついた方法が1つだけある。

 バガードに空を飛んでもらい、開けた場所を見つけ次第案内してもらうというやり方だ。木や草ツルに邪魔されて先の見えない地上を進むより、遥かに効率良く目的の場所を見つけられるだろう。ただし、俺たちがバガードと遭遇した場所のようなハズレも混ざってくるので絶対に経営地候補を見つけられるというわけでもないが。そこらへんはバガードの頭の良さにかかっている。


「うん、バガードに頼ることになるけどね」


 俺の考えた作戦を皆に伝える。


 カァー!


「バガードも張り切ってるように見えるし、それやってみようよ!」

「そうだね。早速、頼むよバガード。空から見て開けている場所があったら教えてくれ」


 漆黒の翼をはためかせ、バガードは大空へと飛び立つ。すぐさま気配察知の範囲から外れる高度まで到達した。

 大翼で空を自由に舞うバガードの姿はなかなかにかっこいい。そんなことを思いながら、俺はバガードを見送った。


 それから30分ほど経っただろうか。俺と妻、それからすらっちももしかしたら自力で目的地を見つけられるかもと、地上を彷徨い歩いたが成果をあげられず、全員そろって意気消沈しているとバガードが戻ってきた。


 カァーカアー!


 ドヤ顔で鳴く彼の様子を見るに、無事目的を果たしたようだ。


「見つけたのか! よくやったよ、バガード!!」


 感謝の意を込めてバガードの頭を撫でるが……少し不満げだ。この視線はもしかして……またご飯をくれと言っているのか!?

 さっき食べたばかりなのになんて大食いなんだ。


 ずっと変わらない緑の中を彷徨っていた俺たちにとって、バガードが目的地を発見したのは朗報である。それの報酬としてなら、フライドラビットの1つや2つ喜んであげようではないか。


 フライドラビットをアイテムボックスから取り出すと、バガードはスッと嘴で奪い取り、空へと向かった。

 どうやら食べながら案内してくれるらしい。行儀が悪い気もするが、魔物なんだしこのくらいなら注意しなくてもいいか。




 ――――バガードに導かれた俺たちを迎えてくれたのは美しい湖畔だった。

 畔には色とりどりの花とそれに誘われた蝶々。澄んだ水で満たされている湖には蓮らしき植物が浮いていて、その影に魚の姿が窺える。そして山の木々よりも更に立派に育った樹木たちについた葉が互いに重なり合い、湖の西側に日の当たらない涼しげな場所を作っている。


「綺麗……」


 苦手なはずの虫もいるんだけど、妻は気にも止めていない。指摘するのは野暮なので、間違っても口にはしないが。


「ここをクラン経営地に使えたら、とっても楽しいだろうなぁ」


 町というより長閑な村みたいな場所にしたいな。元からある自然をできるだけ残しながら、最低限クランハウスや畑を作ったくらいの田舎っぽいところ。従魔たちも自由に過ごしてくれればいい。俺たちが別の場所へ出かけるときにはパーティーに加わってもらうことになるけど。


「本当にここがクラン経営地として選べる場所なんだったら、誰にも譲りたくないね」

「同感だよ。他のプレイヤーに運良くここを見つけられたりしたら、たまったもんじゃない。あと、クラン経営地として選ぶことができる場所とそうでない場所。それにどれくらいの範囲を手中に治められるのかも事前告知だけじゃわからないから……プレイヤーと関係ないところにも不安要素はたくさんあるね」


 事前に全てが明かされていないのは、しらけるプレイヤーも一定数いそうだから配慮したって形かな?


「アプデが待ちきれないね」

「そうだね。おーい、バガード」


 いつの間にか俺たちから離れて、湖で喉を潤していたバガードを呼ぶ。声が届くとすぐに反応してこちらへ飛んできた。着地点は俺の肩。完全にここが定位置のようだ。


「よし、きたね。バガード、俺たちはメンテを町の外で迎えるわけにはいかないから一度全員で町に戻る。それが終了すれば、全員でまたここを目指すことになるんだけど……次は最短でここまで案内できるかい?」


 流石に厳しいかなと思いつつも、聞いてみた。


 カァーアー。


「え、できるの?」


 若干、呆れたような表情で答えたバガード。

 うちの烏はとてもかしこいようです。これは今からご褒美を考えていた方がいいかもしれない。まぁ、バガードは食べることが好きみたいだから何をあげるかはだいたい決まってるんだけどね。


「リーナ、クラン経営地が手に入った暁には、バガードに手料理を振る舞ってあげて欲しい」

「もちろんいいよ」

「だってさ、バガード。きっとお前が食べまくっているフライドラビットよりおいしい料理が出てくるから楽しみにしているといいよ」


 カァ!? カァァアア!!!


「マジ!? 絶対最速でここまで案内する!!! だってさ。これで他のプレイヤーが先に到着する可能性はかなり減ったね」


 やる気満々のバガードを肩に乗せた俺は、メンテ明けの予定を妻と考えながらファーレンへと帰還した。



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― 新着の感想 ―
[一言] 優秀すぎるぜ!バガード!
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