172話 飽きと提案
あとがきの下にあるリンクを今日連載開始した新作<武器装備不可縛りで始まるVRMMO>のものに変更しました!
VRMMOを題材にという部分は同じですが、内容は全く異なりつつも面白いものに仕上げていけるようがんばりますので読んで頂けると嬉しいです。
よろしくお願いいたします!
モフアイさんと俺たちはコトウノウミガラスの二体目を探しつつ、そのテイム条件について話し合っていた。
「ハイトさんたちはテイム条件についてどう考えていますか?」
「俺はあの状況からしてHP吸収させることが関わっていると考えています」
「私も! あ、コトウノスナガニかぁ。ダークバレット」
口を動かしつつ手も止めない。
俺が大まかな気配の反応がある場所をみんなに伝えているため、その場所で砂浜を掘り起こしているのだ。もしコトウノスナガニが出てくれば倒して食材に。出てこなければお目当てのコトウノウミガラスがその近くにいるということになる。
残念ながら今回、妻が調べていた場所にいたのはコトウノスナガニの方だったようだ。残念そうな表情で闇魔法を使用している。
ドロップアイテムは以前、俺がコトウノスナガニを倒したときのように同名の食材だったようだ。ただ火魔法と違い闇魔法で倒すと品質が低になることはないようだが。
ここにきてからすでに十数匹のコトウノスナガニを倒してきたが他のドロップアイテムは出ていないため、他の種類は存在しないのかもしれない。もしくはかなり出現率を低く設定されたレアアイテムがあるとか。
「またカニちゃんでしたか。なかなかコトウノウミガラスは見つかりませんね」
グエグエッ!
モフアイさんの言葉に先程テイムされたコトウノウミガラス――――グエンが鳴いて返事をする。
同族なのでもしかしたら擬態を見破れるのではないかと思い探索に参加してもらっているが、今のところそのような様子はない。
「ファイヤーボール!」
俺も足元にいるコトウノスナガニを魔法で倒す。
火魔法でやるとドロップアイテムの品質が落ちてしまうが、最優先すべきは新たな野生のコトウノウミガラスを見つけること。そのため品質に関しては妥協している。
武器さえあれば魔法を使わずに倒せるのだが、今イッテツさんが作製してくれている最中である。ないものねだりしても仕方ない。
「それにしてもなかなか見つからないなぁ」
「だよね~。私、ちょっと気分転換したいかも」
「私もです」
二体目のコトウノウミガラス探索開始から既に三時間以上が経過している。
ひたすら同じ作業を繰り返すと流石に飽きがくる。
「リーナさんが良ければ、一旦今日は別のことしませんか? イベントはまだ続きますし、もちろんコトウノウミガラス探索はこれからも手伝うので!」
「そうですね! 流石に私も飽きてきたので、別のことしちゃいましょ!! ハイトいいよね?」
「もちろん」
俺としても気分転換したいところだったため、嬉しい話だ。
「でも、何する? もともと俺がする予定だった海中探索はスキルがないと厳しいから他のことになると思うけど」
オトナシさんと遭遇して中断した海中探索をしてみたいところではあるが、妻は潜水スキル等を持っていない。一緒に、というのは少し難しい話だ。というか普通のテイマーは潜水スキルを手に入れる必要はあまりないのでモフアイさんも持っていないと思う。
「海中探索ってちょっとロマンだけど、流石にそのためだけにSPは使いたくないもんね~」
「では、マップ埋めしませんか?」
モフアイさんから一つ提案があった。
「マップ埋めか。いいですね! 俺は自分たちの拠点とモフアイたちの拠点。あとスタート位置周辺と今いる場所くらいしかマップを解放できていないので」
「私も拠点とあと例の池くらいだし、マップ開け賛成です!」
「ではでは、早速移動しちゃいましょうか! 少し歪な楕円の島を十の字で四分割すると私たちの拠点、ハイトさんたちの拠点があるのは右下の区域になります。なので行くならそれ以外を目指しましょう!!」
少し話した結果、俺たちは自分たちのいる区域の上にある場所へ向かうことにした。
左隣にある区域についてはモフアイさんたちがすでにある程度情報を持っているとのことだったため、後で共有するということで一旦終わり。左上の区域は距離的に少し移動時間がかかりそうだったため消去法で真上にある区域へ行こうという話になったのである。
「さてさて、どんな魔物が待ち受けているのか……楽しみですね!」
「私もー!」
魔物大好きなモフアイさんとリーナは楽しそうに歩き始めた。
「俺としては美味しい食材が手に入ると嬉しいですね」
置いて行かれないように俺はその背中を追うのだった。
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