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171話 コトウノウミガラス

 まさかのタイミングでモフアイさんがコトウノウミガラスをテイムしてしまった。

 それを見た妻が自分も早くテイムしたいと目を輝かせ始めたため、俺たちは次なるコトウノウミガラスを探している。


「それにしてもコトウノウミガラスはどうして俺の気配察知をすり抜けたんだろう」

「確かに理由が気になるよね」


 あのペンギンのような見た目をした魔物が姿を現したときのことを思い出す。

 砂浜にきてからモフアイさんに抱き着くまであの魔物の姿はなかった。そして俺の気配察知でも存在に気づけなかった。


「ん? もしかして気配察知に引っかからなかったんじゃなくて、気配が多過ぎて俺が勘違いしてたのか?」

「えっと、ハイトそれってどういうこと?」

「あのとき俺は砂浜に魔物の姿が見えなかったから全ての反応をコトウノスナガニだと思ってたんだ。でも、実際はその反応の一つがコトウノウミガラスだったんじゃないかってことだよ」

「なるほど~。でも、姿が見えなかったのはどんな仕掛けがあるんだろう? やっぱりスキルなのかな」


 こういった特殊な現象はだいたいスキルによるものである。そのため妻の言う通りコトウノウミガラスは何かしらのスキルを持っているのだろう。


「うんうん。どうやらお二人の言う通りみたいですね」


 妻とコトウノウミガラスについて考察していると、近くにいるモフアイさんが納得したような顔でそう口にした。


「ステータスを確認したんですね?」

「はい。ハイトさんたちが考えていた通りコトウノウミガラスはカモフラージュスキルを持っているみたいです」

「ということは……気配察知にはしっかりと引っかかっていたってことですね?」

「ええ」


 これからはこういったスキルを持った魔物も現れるのならより一層注意が必要だ。

 コトウノウミガラスの攻撃方法がHPをじわじわと吸収するというものだったから、モフアイさんは寸でのところ生き残った。だが、一撃の火力が高い魔物が同じようなスキルを持っていたとしたら彼女は今頃HPが0になっていただろう。


 今回のような場所と状況はそれなりに特殊であるため、必要以上に警戒はしなくて良いが頭の片隅に置いておくくらいはした方が良いだろう。

 周りを警戒することばかりに気がいってゲームを楽しめなくなっては意味がないから良い塩梅を見つけたいところだ。


「よければ一緒に見ますか? リーナさんが自身でテイムしてから確認するならそれはそれで良いと思いますが」

「俺は見たいです。リーナはどう?」

「私も先に見たい! スキル構成とかどんな感じなのかなって気になるもん!!」


 二人とも同じ意見だったためモフアイさんがコトウノウミガラスのステータスを見せてくれた。




名称未定 (コトウノウミガラス)

Lv.1

HP:230 MP:30

力:6

耐:10

魔:10

速:8

運:20

スキル:密着吸収(HP)、擬態

称号:―


密着吸収(HP)……体を密着させた対象のHPを2秒につき1%吸収する。自身のHPが満タンになると使えない。


擬態……周囲の景色に溶け込むように体色を変化させる。




 モフアイさんが見せてくれたコトウノウミガラスのステータスはこんな感じだった。

 姿が見えなかったのは擬態のせいだ。

 ただ透明化ではないということは、よく目を凝らせば存在に気づけたりするのだろうか?

 あとスキルによる攻撃方法が例のHP吸収のみらしい。ステータス面を考慮してもアタッカー役は難しそうだ。HPが多いことと密着吸収(HP)の効果を考慮すると自身のHPを消費して攻撃したり、バフデバフを振り撒く手段でもあれば化ける気もする。

 ただ、現状はマモルやパルム、バガードといった優秀な子が俺にはいるからテイムはしなくて良いかな。まぁ、元々妻がテイムする予定だし、あまり種族被りが多くなってもおもしろくないしね。


「ハイトさんどう思います?」

「え、何がですか?」


 俺がコトウノウミガラスについて少し考えているとモフアイさんから声がかかる。


「コトウノウミガラスのステータスについてです。正直、戦闘面を考えると微妙だと感じませんか?」

「えっ、まぁそれはそうですね……」


 同じことを思ってはいたものの言葉には出していなかったのだが、まさかのモフアイさん側からそれを言われるとは。

 普段の魔物大好きですぐに跳びつこうとする彼女からは想像できなかった。


「あ、もしかして私が魔物に対して辛口なことを言うのに驚いちゃいましたか?」

「ええ。意外だったので」

「やっぱりそうでしたか。でも、これは魔物が大好きだからこそなんです。コトウノウミガラスだってこんなにかわいいんですから戦闘にも連れて歩きたいじゃないですか! だからこそ!!! ステータスやスキルの評価は厳しくして、どうすればその子のポテンシャルを最大限まで引き出してあげられるかを考えるようにしているんです」

「なるほど。そういうことでしたか」


 ある意味好きな子をテイムして好きな子を連れ歩く妻に近い考えなのかもしれない。

 ただ、エンジョイ勢で強さをあまり考慮しない妻と違ってモフアイさんは攻略することも考慮しているようだが。


「はい! ですからコトウノウミガラスのスキルを活かした戦い方などを思いつきましたら、是非教えて欲しいです!!」

「もちろんですよ」


 この後、俺たちは再び二体目のコトウノウミガラス探しを始めるのだった。





読んでいただきありがとうございます。

よければ、ブックマークや下の☆☆☆☆☆で評価をつけてもらえると嬉しいです。

これからもよろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
好きだからこそ活用してあげる。言い方は上から目線と言うかアレですが、主人としてただ手にするだけに留まらないのは重要だよね
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