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169話 転職後、初レベルアップ

 アムリの言葉通り、シメジマペングインが恐ろしい顔でこちらへと走っていた。

 隙をつかれて対応が遅れるプレイヤーたちと違い、アムリはすぐに魔法を唱えた。


「燃えちゃえ! ファイヤーランス!!」


 紅蓮の槍が標的に向けて放たれた。

 シメジマペングインはまさか反撃されるとは思っていなかったらしく、顔を青くして回避に移る。間一髪で避けた魔法の一撃がすぐ近くの砂地を焦がしたのを見た魔物は驚愕の表情を見せた。


「一々反応が大袈裟だな」

「表情がコロコロ変わってちょっとおもしろいかも!」

「ですね。私、もし本編で見かけたらテイムしてみようかな。ちょっとかわいく見えてきました」

「「モフアイさんがギャップにやられた!!」」


 あの厳つい顔の魔物をテイムしたいと言い始めたモフアイさん。

 今回のイベントでテイムできるのは名前に「コトウノ」とついている魔物のみ。そのため今日はシメジマペングインをテイムすることはできない。だが、いつか本編であれが登場したとき彼女の従魔に加わる可能性があるらしい。

 うちの妻と同じく魔物大好きな人だから、かわいいの定義がかなり広いのかもしれない。

 ん? ちょっと待て。そう考えると同じく魔物が大好きなうちの妻もテイムしたがったり、する?


「ちなみにリーナは――」

「テイムしないよ? ギャップ込みでも今いるうちの子たちには敵わないし」

「よかった……」


 うちの従魔にあのなんとも言えない強面の魔物が加わることはないようだ。俺は安堵し、静かに息を吐く。


「だ・か・ら! みんな話してる場合じゃないってば。またあいつ走り出したよ!!」

「えっ!? ほんとだ! じゃあ、とりあえず……闇魔法、ダークバレット!!」


 アムリの声で再び、シメジマペングインが動き出したことに気づく。妻はその声に反応して咄嗟に闇の弾丸を放つ。


「では、私はこれで。土魔法、マッドショット!!」


 少し遅れる形でモフアイさんが泥の塊を飛ばした。


「俺は――」

「ハイト、ストップだよ。今撃ったって、さっきみたいに避けられる」


 俺も続いて、ファイヤーボールを撃とうとしたところで、アムリから止められる。


「だったら……俺たちはあいつの左右にヒートラインを出そう。それなら逃げ場はなくなる」


 あの速さで走っているところから急に反転して真後ろに逃げるのは難しいだろう。仮にできたとしてもヒートラインが発生している範囲にいる間、背後に迫る魔法からずっと逃げ続けるというのはかなり足が速くないと無理だ。


「分かったよ! いけ、ヒートライン」

「火魔法ヒートライン!」


 俺とアムリは目測で魔法陣の場所を決める。妻とモフアイさんの魔法はすでにシマジメペングインのすぐ近くまで迫っている。それを避けるとなるときっとギリギリになるため、衝突するであろう地点の左右に魔法陣を設定しておけば上手くいくはずだ。


 それから少しの間を置いて、俺たちの作戦が成功する。

 真正面から迫る魔法を避けるためにシメジマペングインが横っ飛びに動こうとする。そのタイミングで、やつの左右に火が吹き上がり壁ができあがる。

 突然の出来事にシメジマペングインは眉毛らしき部位を大きく釣り上げて、動きを止める。


<テイマーのレベルが1あがりました。SPを3獲得>




ハイト・アイザック(ヒューム)

メイン:テイマー     Lv.2

サブ1:見習い錬金術師  Lv.9

サブ2:見習い戦士    Lv.11

HP:415/415 MP:375/375

力:36

耐:38

魔:45

速:20

運:36

スキル:テイム、火魔法、水魔法、魔力操作、錬金術、剣術(初級)、槍術(初級)、格闘術(初級)、盾、気配察知、聴覚強化、鑑定、解体、採取、潜水、伐採、採掘、口笛、挑発、癒しの手、緋色の紋章

称号:<ラビットキラー><紅蓮の魔女の弟子>

SP:9




 レベルアップのアナウンスが、妻とモフアイさんの魔法によってシメジマペングインが倒れたと告げる。


 アナウンスによるとどうやらテイマーはレベルが1つ上がるごとにSPが3手に入るらしい。これからは手に入るSPの量が少し増えるようだし、スキルだけでなくステータスへも定期的にポイントを振ることを考えても良いかもしれない。


「やったー! ついに私も見習い卒業~!!」

「おっ、もしかしてテイマーに転職できた?」

「うん! ハイトが抜け駆けしちゃったから早く追いつきたかったんだよね~」

「あっ、それは……ごめん」

「別にいいよーだ」


 妻は拗ねたように口を尖らせて見せた。


「これからはなるべくタイミングとか合わせようね」

「うん! でも、そこまで気にしなくて良いよ。流石に毎回一緒にログインはできないし。それに、次は私がハイトより先に転職したりかわいい魔物をテイムしたりしちゃうから!」


 よし、俺も置いてかれないようにがんばろっと。


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読んで頂けるとありがたいです!!

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