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154話 夏イベント開始!


「夏がきたああああ!!!」


 赤のビキニから小麦色の肌を覗かせる妻が大声で叫ぶ。


「ははは……リーナさん、朝から元気ですね」

「前回イベントの目玉である春祭り当日、俺が寝坊したせいで十分に楽しめなかったみたいなので……夏のイベントは絶対楽しむぞって予告がきた時点で張り切ってましたね」


 海パンを履いた俺とイッテツさんは、木陰で涼んでいた。


「ハイト、リーナすごい」


 肌の露出がほとんどない子供用水着をきたミミちゃんがイッテツさんの背後から顔だけを出して、妻へ羨望の眼差しを向けていた。


「大人だからね~」


 俺がなんと返せば良いものかと考えていると、イッテツさんが代わりに答えてくれた。ナイス、無難な返答!


「大人、はやくなりたい」


 ――――現在リアルだと7月頭。そのため今日から夏イベントが開催されることになっている。

 今回のテーマは『常夏の無人島で冒険しよう!』というものらしい。

 ルールは至って簡単。プレイヤー100人で島1つ。そこに選択したアイテム1つだけ持って乗り込み、1週間生き残る。なお、ゲーム内時間は普段の七倍。つまり現実での六時間がゲーム内での一週間となる。その間、倒した魔物の種類や数、また生産職は作製したアイテムの種類や質によってイベントポイントがもらえるようだ。ここまでは前回のイベントと似たようなもの。だが、今回はよりストーリー性やイベント特有の楽しみを増やしたいということで、運営はこの島に何か仕掛けを施しているらしい。それが何かは告知等でも発表されていなかったので、実際に体験してからのお楽しみということだろう。


 あとイベント開始と同時に初めて課金要素が追加された。それこそ俺たちが今着ている水着スキンである。子供用はリアルマネーで300円。大人用は2000円となっている。子供用のスキンが安い理由は、運営がイベントは年齢関係なく楽しんで欲しいためお小遣いでも買えるようにしたということだそうだ。


 俺たち夫婦はその値段を払えば好きな水着が確定で手に入るなら、ということで即購入。イッテツさんも夏イベントを全力で楽しみたいからという理由で課金をしたらしい。なお、ミミちゃんは一緒にプレイしているおかあさんに夏休みの宿題を7月中に終わらせるからとお願いして、なんとか買ってもらえたようだ。


「みんなお待たせ~。ごめんなさいねぇ、旦那の朝食を作っていたからログイン遅れちゃったわ」


 俺たちの方へ1人のプレイヤーが歩いてくる。黒のビキニと対照的な純白の肌。尖った耳が特徴的なエルフ。全体的にスレンダーで同性から憧れられるスタイルの女性といった感じだ。


「お母さん!」


 彼女こそ、ミミちゃんの母親である優子さんだ。プレイヤーネームも俺たち同様に捻りがほぼなくユーコとなっている。


「あらっ! ミミ水着、とっても似合ってるじゃない」

「ほんと? うれしい」


 やはり実の母だからだろう。ミミちゃんがいつもよりも柔らかい表情になっている。赤の他人と比べれば俺たちも懐かれているようだが、それでも家族には勝てないね。


「あの、はじめまして! リーナ・アイザックです」


 妻がユーコさんが現れたのに気がついて挨拶をしにきた。俺は昨日顔合わせしているが、妻はそのときいなかったからだろう。


「はじめまして。あなたがハイト君の奥さんね……なんというか、負けた気がするわ」


 妻の全身を一通り見たユーコさんはがっくりと肩を落とした。


「おばさん、いい歳して何を言ってるんですか。そもそもその体型だって現実とは違うでしょうに……」

「ちょっと、イッテツ! あなた、それはバラさないでって言ったのに!!」

「別に俺が言わなくても、そのうちバレますから」


 続けて、イッテツさんが聞いてもいないユーコさんのヒミツを話した。何でも彼女はリアルだと恰幅の良いおばちゃんといった感じなのだが、ゲーム内でくらい超絶美人になりたいということで外見を理想の姿で作ったらしい。その結果、最初はバランスを取るのが難しく歩くのですら苦労したらしいが、今は戦闘も十分にこなせるようになったようだ。


「あれ? でも、理想の体型にしたなら、ユーコさん的には胸元は慎ましい方が好みだったからそういう肉体にしたんじゃないんですか?」


 妻が不思議そうに首を傾げる。


「そうなんだけどね。でも、好き嫌いと勝ち負けは別なのよ」


 よく分からないが、そういうことらしい。妻も微妙に納得のいっていない顔だが、それ以上追及はしないようだ。


「分からないけど、分かりました! とにかくイベント期間中はよろしくお願いします!!」


 こうして俺たち5人の夏イベントが始まる。



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