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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。
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130話 夫婦仲は円満です

「はぁ~。久しぶりにログインできたー!!!」


 妻が例の仕事から解放されたので、久ぶりに2人揃ってフリフロの世界へと降り立った。


「相変わらず景色はいいし、空気もおいしい。やっぱりここって最高だよね~」


 湖畔に腰を下ろして大自然を満喫しているようだ。


「ねぇ、ハイト。すらっちたちはどこにいるの? 久しぶりにふにふにしたいのに、見当たらないよ」

「あー、リーナの従魔たちはみんなクランハウスが気に入ったみたいでね。共有スペースでくつろいでいることが多いよ」


 妻のところのすらっち、スラミン。うちのバク丸。スライム系統の従魔たちはクランハウス内にいることの方が多い気がする。マモルとバガードは狩ったり食べたりで忙しいので基本外。ぶーちゃんは一緒に遊んでいる仲間に合わせている感じだ。


「そうなんだ。クランハウスのお披露目以降、ほぼログインできてなかったから知らなかったよ。じゃあ、早速みんなに会いに行ってくる!」


 バッと立ち上がった妻は、クランハウスの方へと走って行く。今日の予定は彼女に合わせるつもりなので、背中を追う。


 クランハウスの共有スペースに足を踏み入れると、妻がすらっちとスラミンを抱きしめているところだった。


「すらっちー! ごめんね、長い間ほったらかしにして」


 大人しく抱きしめられているところから、すらっちは再会を喜んでいるように見える。


「スラミンも寂しかったよね。今日からまたたくさん遊ぼ?」


 スラミンの方はというと、少し体をよじらせている。

 どういう反応だろう?

 スライムにそういう感覚があるのかは分からないが、くすぐったいとかかな。まぁ、嫌がっているようには見えないから何でもいいか。


「あとは、ぶーちゃんだけど……あっ! きた!!」


 プップゴッオオオオオオオオオオオオオオ!!!


 妻の臭いを嗅ぎつけたのか、従魔用の玄関を通ってぶーちゃんが現れた。

 いや、待て。勢いあり過ぎ!

 それ突進を発動していないだろうな!?


 とにかく猛ダッシュ。ぶーちゃんはそれほどに妻がいない時間が寂しかったのだろう。流石に涙を流したりはしていないが、これだけ大きな反応があるとその気持ちもなんとなく推し量れるというものだ。


「はははっ! もー、喜び過ぎだよ。でも、ありがとね。ぶーちゃんの方からきてくれて」


 妻の目の前で器用に急ブレーキをかけて止まったぶーちゃん。従魔の方から会いにきてくれたことがよっぽど嬉しかったのか妻は柔らかい笑顔を浮かべている。


 カーカー!


 今度はなんだ?

 バガードが鳴きながら、クランハウスへと入ってきた。いつもはあまり屋内にはこないのに。


「それはラニットアユ……リーナの復帰祝いに取ってきたって?」


 賢い子ではあるが、食い意地がすごく経営地にいるときは基本何かをつまんでいるバガードが……人にご飯を分けるとは。これは一大事だ。


「リーナ、バガードがラニットアユをくれるってさ」


 俺の言葉に合わせて、バガードが妻の目の前に着地。嘴で掴んでいたラニットアユを床へと置く。


「えっ、ほんと? もらっていいの!? ありがとうバガード!!」


 妻は感謝を述べると共にバガードを捕獲。全力で頭をよしよししている。


 カァ―!?


 そういうことを普段されないバガードは大慌て。恥ずかしがって飛び去ろうとするも、逃がしてはもらえず。結局、最後はされるがままになった。


 そんなバガードを見て他の従魔たちがニヤニヤしているような感じがするのは気のせいだろうか?


「あれっ、マモルまでいる。どうしたの?」


 俺たちがログインしたばかりのときには影を纏った状態で湖で遊んでいたのだが、いつの間にかクランハウスに入ってきていたらしい。


 マモルは鳴き声すら出すことができないので、妻に直接気持ちを伝えることは難しい。ここは俺が伝達係をしてあげた方がいいだろう。


「へっ? そ、そうかな。別にそこまで違った気はしないけど――――って、それをそのまま伝えるの? 俺がちょっと恥ずかしいんだけど」

「マモル、なんだって?」


 興味津々といった様子の妻がこちらへ歩いてくる。


「いや、その。マモルがリーナがいない間、俺が少しだけ寂しそうだった。だからあんまり放っておかないでって言ってる」

「へぇ~、寂しかったんだ? かわいいね、ハイト」


 すっごいにやけ顔で妻が見てくる。


「う、うん? どうだろうね。あんまり意識してなかったから、わかんないなー」


 実際はリアルの方では毎日顔を合わせているわけだから、それほどゲーム中の俺に違いはなかったはずだ。あったとしても、ほんのわずか!


「そっかそっか。じゃあ、意識してなくても私がいないとテンションが下がっちゃうんだ。ふ~ん。悪い気はしないね」


 ピョン! プルプル。プルプル。


 どういうつもりか、このタイミングでバク丸が俺の頭に飛び乗ってきた。

 こいつは絶対におもしろがってちょっかいかけにきたな!

 普段はゴロゴロしているだけの癖に!!


 今すぐに頭上のスライムを放り投げてやりたいが、今はそれどころではない。とにかく妻のニヤニヤと周囲からの生暖かい視線をどうにかせねば。


「…………そうだよ。従魔たちがいるから楽しかったは楽しかったけど。やっぱりリーナが一緒にいてくれた方がいいなーって思ってたよ! ほら、言ったよ? これでいいでしょ!!」


 はい、もう勝てないと思って開き直りました。


「うんうん、素直に言えたね。じゃあ、そんなかわいいハイト君とは今度デートしてあげる!」


 デートはするよ?

 ゲーム内でも観光的な感じいつか、してみたいなと思っていたし。

 でも、この流れは聞いてない!!!



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