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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。
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121話 修業は苦行?

 低級マジックポーションを作成後。通常の低級ポーションなども作成し、時間を潰した。レベルアップはしなかったが、それなりに経験値は貯まったと思いたい。


「お疲れ様です」


 夕方になったので外に出てみると、大工さんたちが引き上げるところだった。これから俺に火魔法の指導をする予定のアネットさんを除いて。


「おつかれ~。これ飲んだら、早速火魔法の指導始めるから。少し待ってね」


 アネットさんの手には1つのグラスが。中にある液体はオレンジ色をしている。


「わかりました。ちなみにそれってどんな飲み物ですか?」

「オレンの実果汁100%ジュースよ」

「オレンの実ですか?」


 名前的にオレンジのような果実なのかな。


「ええ。この辺りじゃ、あまり取れないんだけど……遠方に住む友人がわざわざ送ってくれたのよね」


 そう言うとグラスに残っているジュースを一気に飲み干した。


「さっ、それじゃあ始めましょうか」

「はい! よろしくお願いします」


 炎魔法を操るアネットさんの指導。いったいどんな内容なのか、とても楽しみだ。


「とりあえずファイヤーボールを200発。湖面にぶっ放して頂戴」


 え?


「どうしたの、キョトンとした顔して」

「いや、その200発って正気ですか?」


 敵との戦闘ならまだしもただただ湖面に向かってファイヤーボールを撃ち続けるなんてどんな拷問だ?

 途中で精神的に死ぬと思う。


「当たり前じゃない。このくらいできないと話にならないわ。それともちろん期限もあるわよ? 3日後までにノルマをこなして見せなさい」


 追加で期限まで設けられました。

 まさかこういう方向できつい指導がくるとは思ってもいなかった。ちょっとだけ後悔しています。


「……分かりました。お願いしますと1度言った以上はやり切るつもりなので」


 ここで引いたら男が廃る。おそらく虚無の時間が続くだろうが、どうにかやり切ってやろうではないか。


「これ聞いて逃げ出す子もそれなりにいるんだけど……いいわね。その挑戦的な姿勢。じゃあ、がんばってね。ちゃんとクリアできたら、かわいい坊やにはご・ほ・う・び、用意してあげるから」


 なぜかご褒美だけ強調するアネットさん。


「それは嬉しいんですけど、俺にはリーナがいるので。彼女が嫌がらないことでお願いします」

「ふふっ、相変わらずつれないわね。わかったわ。私もなんやかんやでダークエルフちゃんのこと、気に入ってるし……彼女も喜んでくれそうなことを考えておくわ」


 つれない。と言いつつも、アネットさんはどこかこの返事を予想していたような感じがするね。


「それが無駄にならないように、期限までにノルマをこなせるようがんばります」

「いい返事。もうそろそろ暗くなりそうだし、私はもう帰るから。また明日ね?」

「はい、また明日」


 大工さんたちに遅れること30分。

 アネットさんもファーレンへと帰っていった。


「よし――――やるか」


 朝からちょくちょく錬金術を使っていたため、現在のMP量はMAXの6割ほど。まずはこれが1割くらいになるまで続けてみるか。


 最初の1発目。目の前に魔法陣を展開。完成までの数秒は待機時間だ。それが終わると目の前に火の玉が現れる。


「ファイヤーボール!」


 湖面に向かったそれを発射。高熱を宿した球体が大質量の水とぶつかる。

 ぶしゅ~っと、なんとも情けない音と共にファイヤーボールは一瞬にして消火された。


「消えたというより、吞み込まれたって言った方がしっくりくるね。これは」


 やる前からこうなることは分かっていた。

 だが、いざやってみて自分の魔法がいとも簡単に無効化されると少し悲しい。


 まぁ、1回1回そんなことを思っていたらキリがないか。次、いこう。


 ――――それから2時間ほどが経過。

 俺は見事に目標にしていた量までMPを減らすことができた。時間経過でMPが徐々に回復していた分も合わせて20発撃ったところ。


 正直、きつい。事前に分かっていたことではあるが、ただただ作業をこなしているだけのようで精神にくる。

 これをあと180発分もやるとなると、考えるのも嫌になる。


 何か、気持ちを楽にする方法はないのか?


 畔に腰を下ろして水を飲む。湖の景色を眺めながらそんなことを考えていると、ふとバガードが飛んでいる姿が目に入った。


「あれは……狩りをしてるのかな?」


 湖の周りをぐるぐると飛行しているかと思えば、次の瞬間には湖面にダイブ。そして水中にぶっ刺さった顔を引き抜くと、嘴で魚を咥えているところが見えた。


 これをマネしてみようか。

 ただ目的もなくファイヤーボールを湖面へぶつけるのではなく、泳いでる魚目がけて放つのだ。これならシューティングみたいな楽しみ方ができるし、何より上手く着弾して魚を倒せればドロップアイテムも手に入るから一石二鳥ではないか。


 問題は畔からだと、しっかりと目を凝らさないと魚の姿が見えないこと。

 でも、これは気配察知を使ってしまえば解決できる。追加でMPを消費することにはなるが、気配察知は省エネなスキルなので許容範囲だろう。


 今日は一旦、ログアウトする。そして明日から本格的にこの方法で訓練をしよう。




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武器装備不可縛りで始まるVRMMO 新作のリンクになります。
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― 新着の感想 ―
[一言] 狙いすまして焼き魚を即時そのまま量産計画?
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