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夫婦で営むモンスターファーム~目指せ、まったりスローライフ~  作者: 三田 白兎
1章 ペットが飼いたいので、VRMMO始めました。
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117話 師匠誕生?

「おはようございます、アネットさん」

「おはよう、かわいい坊や。あらっ、今日はダークエルフちゃんがいないのね」


 ドワーフさんにクランハウス内を案内してもらった翌日。外に作る畑とお風呂について、アネットさんと軽く話すためにゲームへとログインした。


 今日、妻がこの世界にいないのは仕事の締め切りまで少し余裕がないためだ。彼女は普段締め切りまでに余裕を持って仕事を終わらせるタイプなのだが、今回は締め切りまでの期間がかなり短い仕事なためゲームをしている余裕がないらしい。いつもならそういった仕事はお断りしているようだが、今回は知り合いからどうしてもお願いと言われたため受けたようだ。


「リーナは最近、忙しいみたいなので。今日は俺1人です」

「へえ~。種族的にも特殊な方だし、いろいろあるみたいね」


 リアルの用事なので、ダークエルフであることは関係ない。だが、それをアネットさんに言ったところで余計な混乱をさせるだけだ。彼女の言葉を肯定しておこう。


「まぁ、そんなところです」


 それから2人で少し世間話をする。アネットさんからは今のファーレンの様子を教えてもらった。


「そろそろ本題に入ろうかしら」

「そうですね」

「じゃあ、まずはお風呂について。やっぱり排水を湖に流すのは嫌よね?」

「もちろんです。せっかく綺麗な湖なのに、それを俺達の生活の影響で汚れてしまうのはもったいないと思うので」


 この経営地は近場に町がない。つまり下水管も通っていなければ、下水の処理をする場所もない。

 よって湖から水を引いて使用し、環境汚染を気にせずそちらへ垂れ流すというのが1番簡単なため質問されたのだろう。だが、聞き方からして俺はNOと言うのはわかっていたみたいだ。


「だったら、魔法を使うしかないわね」

「魔法ですか。もしかして生活魔法的な便利な奴があったりします?」


 ファンタジーものライトノベルなどで、そこそこ登場する魔法。唱えると一瞬で掃除ができたり、風呂を沸かしたりとか。とにかく便利なやつだ。


「そんな夢みたいな魔法ないわよ。あったら、世の中の主婦や一人暮らしがどれだけ助かることか。だれか開発してくれないかしら」

「そ、そうですか」


 俺と妻は家事を2人で分担しているため、それほどしんどいと思ったことはない。だが、相手のいないアネットさんは1人で全てをこなすことの大変さを身を持って感じているのだろう。切実に生活魔法を欲しがっているように見える。


「そんなありもしない魔法のことは放っておいて。実際にお風呂のお湯を処理するのに使うのは火魔法よ」


 アネットさんの得意な炎魔法。それの下位互換であり、俺が唯一覚えている魔法だ。SPの無駄遣いをせずに済むので、新たに別の魔法を取得しなくていいのは有難い。


「……湯船に貯めた水を温めるってことですか?」

「そうよ。少し弱火を出すのにコツがいるけど、慣れれば簡単だからがんばってね。あと使用後の排水は高火力の火で蒸発させてしまえばいいわ。細かいゴミとかはその過程で燃えてなくなっちゃうから」


 弱火で温めるってことは結構な時間、火を出し続けなければならないんだよね。俺が使える火魔法ってヒートラインとファイヤーボールしかないんだけど、それでいけるのだろうか。

 俺には魔力操作という便利な魔法がある。だが、今の俺では10秒そのスキルを発動し続けるので精一杯だ。その程度では、風呂の水は温まらないだろう。これでも持続時間は伸びた方なんだけどね。


「あの俺まだファイヤーボールを使えるようになったところなので、それ以上の難易度の魔法は無理ですよ?」

「あら、そうなの? 見習いとはいえ錬金術師だから、それなりに魔法は育てているかと思ったけど」

「すみません。一応、戦闘時は俺が前衛やってます。だから魔法は使わないとは言いませんけど、特化しているとは言い難いですね」


 今、サラッとアネットさんがネタバレしました。錬金術に火魔法を使うときがくるようです。おそらくより難度の高い作業として今後登場するのだろう。

 そうなると、見習い錬金術師のレベルが5になったあたりで、火魔法と同時に取得可能になった水魔法も取っておいた方がいいのだろうか。

 う~ん……でも、妻と同属性の魔法を取るのって少しもったいない気がするんだよなぁ。


「――――決めたわ。だったら、私が直々に火魔法を教えてあげる。そうすれば、自分で手探りで学ぶより早く必要な魔法を習得できるはずよ」


 何か考えるような表情のアネットさんはしばらく沈黙していた。そして口を開いたかと思えば、俺に火魔法を教えると言った。


「えっ……その、いいんですか?」

「何が?」

「アネットさんって王都で国の魔法使いとして働いていたんですよね? そんな人に魔法を教わっていいものかと思って」

「そんなこと? 気にしなくていいわ。あくまでも元だから。でも、現役の頃には弟子になりたい子たちがそれなりにいた人気者だったから……ありがたみは感じて欲しいわね」


 自信あり気な顔で語るアネットさん。

 もしかしなくても、彼女はすごい人だったのだろう。そんな魔法使いから指導してもらえるなら、喜んで受けるか。


「それじゃあ、指導お願いしてもいいですか? 毎回感謝するので」

「任せなさい。その代わり、弟子にする以上は厳しくいくわよ」

「もちろんです! よろしくお願いします」


 この後、風呂や畑についての話の続きをした。風呂は大きめの物を頼み、畑は妻から言われた要望をそのまま伝える。


「これで話はおしまいね。お風呂と畑周りを完成させるのに2週間もかからないから、その間に必要な火魔法の習得までいってもらうわ。明日からビシバシいくから、覚悟しておきなさい」


<新たに称号を獲得しました>




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